ヴァネッサ・スプリンゴラ 著/内山奈緒美 訳
物語は、V(ヴァネッサ・スプリンゴラ)14歳、G(ガブリエル・マツネフ)49歳から始まる。彼女は、出版社で働いていた母の紹介でGと知り合い、以来Gは、中学校の校門で彼女の下校を待つようになる。「声望のある大人の作家」という幻影は、彼女の判断力を奪い、彼女はGと関係を持つようになった。ただ、この時彼女は14歳であり、フランスの法律が認める性交渉の下限である15歳を下回っていた。Gは確信犯だった。彼女はGのアパルトマンに入り浸り、学校を休みがちになる。Gは彼女を、作家の集まり、映画、芝居に連れ出したが、「私たちの生活の中心はセックスだった」。
小松謙 著
エリートではなかった庶民が楽しみのために本を読み、彼らの言葉や暮らしが文字として現れるようになった時代はいつ始まり、どのように続いてきたのか。戯曲・小説の創作が大いに盛んとなった元・明期を中心に、話し言葉で書かれる文学が生まれた金の時代から近代文学の誕生につながる清代までの文学を通観する。
レコンキスタ
「スペイン」を生んだ中世800年の戦争と平和
黒田祐我 著
8世紀の初めにジブラルタル海峡を渡ってイベリア半島さらにフランスにまで勢力を伸ばしたイスラーム。その後はキリスト教徒側が少しずつ押し戻し、1492年のグラナダ陥落でイスラーム勢力を駆逐した。この800年に及ぶ「聖戦」は「レコンキスタ」と呼ばれる。だがキリスト教徒勢力もイスラーム勢力も一枚岩ではなく、戦争と平和、寛容と不寛容、融和と軋轢に彩られていた。レコンキスタの全貌について語る初めての通史。
荷午、王小和 著/島田荘司 訳
動物王国の首都・動物城一番の探偵・ブレーメンのもとに、ワニのネロ将軍がやって来た。人類から派遣された大使が殺害されたという。いち早く真犯人を見つけ、正しい手はずで公表しなければ、新たな戦争につながりかねない。ブレーメンはカエルのアグアとともに不可解な事件の調査に乗り出す。
安田峰俊 著
現実の中国は歴史の積み重ねの末に生まれ、社会の底流に歴史が流れ続けている。中国共産党すらそれを意識して政策を決定し、習近平は演説に古典を引用し続ける。諸葛孔明、始皇帝、孔子、孫子、元寇、アヘン戦争、毛沢東まで。現代の中国社会と中国共産党は、自国の歴史をどう見ているのか。令和日本の中国報道の第一人者による、渾身の中国史論。
ニーチェ
ツァラトゥストラの謎
村井則夫 著
ある日「永劫回帰」の思想がニーチェを襲う。この着想をもとに一気呵成に書き上げられた『ツァラトゥストラはこう語った』は、二〇世紀の文学者・哲学者の多くを惹きつけ、現代思想に大きな影響を与えた。文学の伝統的手法を駆使しつつも、ときにそれを逆手にとり、文体の実験までも行うニーチェ。一見、用意周到な筋立てや人物造形とは無縁と思われるこの物語は何を目論んでいるのか。稀代の奇書に迫る。
田川純三 著/井上文則 解説
武帝から西域出使の命を受け、未知なる国へと出立した張騫(ちょうけん)(?-前114)。13年もの旅を経て帰国後、下級官僚から大中大夫への大昇進、失態から死罪宣告されるも、並ぶ者なき唯一の「西域専門家」として復権を遂げる――! 文化・物資の東西交流の大道を築いた英雄の波瀾万丈な出使記録と、シルクロード開通の功績を丹念に考察。
観光消滅
観光立国の実像と虚像
佐滝剛弘 著
東京、京都、ニセコ……訪日観光客の増加によるオーバーツーリズムの弊害が日本各地で問題となっている今、日本政府が目指した「観光立国」とは一体何だったのか、検証すべき時期に来ている。人口減による人手不足や公共交通の減便といった問題をはじめ、物価の高騰、メディアの過剰報道など、観光を取り巻く環境は楽観を許さない。観光学の第一人者が豊富な事例をもとに、改めて観光の意義と、ありうべき日本の観光の未来を問い直す。
松沢裕作 著
史料の山に埋もれ、ひたすら解読している? 過去の出来事の是非を論争する? このようなイメージがある歴史学では実際に何が営まれているのか。明らかしたいのは様々でも、歴史学には共通のプロセスがある。史料とはなにか。それをどう読んでいるのか。そこからオリジナルな議論をいかに組み立てるのか。歴史について語る前に、最低限知っておきたい考え方を解説する。
シルヴィア・プラス 著/小澤身和子 訳
優秀な大学生のエスター・グリーンウッドはニューヨークのファッション誌でのインターンを勝ち取ったとき、夢がついに叶うと信じて喜んだ。しかし、退屈なパーティー、偽善的に感じられる恋人、空虚なだけのニューヨークでの生活に違和感を覚え、世界が支離滅裂なものに感じられる。そして、とあることをきっかけに精神のバランスが徐々に崩れていく。世の中は欺瞞だらけだと感じる人、かつてそう思ったことがある人たちに刺さりつづける、英米だけで430万部以上を売り上げた世界的ベストセラー、待望の新訳。