ライラックの花香るころ 中国語を生涯の友として

ライラックの花香るころ
中国語を生涯の友として

神崎多實子 著

中国語通訳の第一人者として国交正常化前、高校在学中から60年以上にわたり活躍してきた著者の自伝。2歳で満洲にわたった著者は、敗戦後の中国長春で初めてきちんと中国語と向き合い、60年以上の交誼を結ぶことになる中国人の恩師、学友とも出会う。1953年帰国。貿易代表団の来日を皮切りに、京劇代表団の日本公演、原水爆禁止世界大会(長崎)、日本商品展覧会(広州、武漢)などで通訳を務め、中国語教師、銀行勤務などを経て、1990年からはフリーランスの通訳者として様々な国際会議やニュース番組を支えてきた。許広平(魯迅夫人)、曹禺(劇作家)、廖承志(中日友好協会会長)、江沢民(元国家主席)、細川護煕(元総理大臣)など折々の登場人物も圧巻である。

2025年7月24日

見果てぬ夢 満州国外史

見果てぬ夢
満州国外史

星野直樹 著

満州国の実力者「二キ三スケ」の一角を占めた大蔵官僚による満洲国回顧録。1932年の満州国建国に際し、新しい「国」の租税制度や通貨制度をどう作ったのか。「満州五ヵ年計画」をどう実行したか。執政溥儀、東条英機、岸信介、鮎川義介らの人物描写も興味深く、具体的かつ軽妙に読ませる貴重な記録。

2025年7月23日

三位一体 父・子・聖霊をめぐるキリスト教の謎

三位一体
父・子・聖霊をめぐるキリスト教の謎

土橋茂樹 著

キリスト教の三位一体とは、父なる神、子なるイエス、聖霊の三者は、本質的に同一だとする説である。ユダヤ教から分派したキリスト教が世界宗教へと発展を遂げる過程で、教会は神とイエスの関係の解釈に苦慮した。教会内の様々な派閥がしのぎを削った異端論争を経て、四世紀後半に三位一体の教義は確立を見る。初学者が誰しも躓く、この謎の多い教えについて、専門家が丹念に解説。キリスト教の根本思想に迫る。

2025年7月23日

日本軍慰安婦

日本軍慰安婦

吉見義明 著

一九九一年の金学順さんの告発に衝撃をうけた著者は関係文書を丹念に収集分析し、九五年刊行の『従軍慰安婦』で「慰安婦制度」の主体が軍であったことを明らかにした。しかし「軍慰安婦」たちの苦難を否定する声は今も後を絶たない。前著刊行後明らかになった多数の資料や証言も用い、あらためてその全体像と実態を描き出す。

2025年7月23日

四維街一号に暮らす五人

四維街一号に暮らす五人

楊双子 著/三浦裕子 訳

酒呑み大家に見守られ、賑やかだった共同生活は、百年前の台湾料理レシピの出現とともに、ある家族の歴史と五人の孤独を溶け合わせていく。いま最も注目される台湾人作家が贈る、忘れがたい台中ローカル食卓物語。

2025年7月23日

賽の河原 供養の宗教学

賽の河原
供養の宗教学

村上晶 著

死別した、愛する人はどこにいってしまったのか。人間はその答えを求めて、 死後の世界についてあれこれ考えを巡らせる。 日本では、亡くなった子どもの行先として、独自の「賽の河原」が考えられた。著者は、10年以上にわたって、死者の口寄せなどで知られる津軽地方の「シャーマン」たちの調査をしてきた。本書は、「和製の地獄」とも言われる賽の河原を中心に、日本の供養を考えるものである。

2025年7月23日

室町史の新論点 混沌の時代を読みとく研究最前線

室町史の新論点
混沌の時代を読みとく研究最前線

渡邊大門 編

三代将軍足利義満の栄華から応仁の乱を経て戦国時代へと突入する約100年間は、政治・社会の矛盾が顕著に現れた激動の時代だった。南北朝時代初期の足利一門の軍事制度、幕府の家格、守護の権力拡大が複雑に絡み合い、戦国時代への道を開く。天皇継承を巡る「正統」の争いは幕府の介入によってさらに複雑化し、後土御門天皇の葬儀が遅れる悲劇も生じた。一方、荘園の衰退で地方へ下向した公家は和歌や古典をその他に伝えた。また、コシャマインの戦いは蝦夷地を決定的に変容させた。本書は、気鋭の中世史研究者たちが最新の研究と史料をもとに、室町時代の混沌を鮮やかに解き明かした論稿集である。

2025年7月23日

五胡十六国時代 王朝の乱立と権力闘争

五胡十六国時代
王朝の乱立と権力闘争

小野響 著

三国時代の後、西晋の統一は瞬く間に崩れ去り、中国は多くの政権が林立する「五胡十六国時代」へと突入した。匈奴・羯・鮮卑・氐・羌などの胡族と、後漢末以来の動乱を経てもなお中原に居住していた漢族が衝突・融和を繰り返し、既存の秩序や常識が更新され、奴隷が皇帝に成り上がりもした激動の時代。304年の匈奴漢の建国から439年の北魏による華北統一までの136年間、人々はなにを求めて戦い、なにを成し得たのか。時代を駆け抜けた英雄たちの事績とともにその実像を活写する。

2025年7月20日

京劇 「政治の国」の俳優群像

京劇
「政治の国」の俳優群像

加藤徹 著

中国の伝統劇として真っ先にイメージされる京劇。しかしその始まりは、中国文明の歴史を考えると意外に新しい。本書は清朝期に京劇が成立し、日清・日中戦争や国共内戦、文化大革命を経て現代に至るまでの歩みを、主要な俳優たちの波乱の人生と共に活写する。

2025年7月20日

板垣征四郎の満洲事変 本当に独断だったのか?

板垣征四郎の満洲事変
本当に独断だったのか?

関口高史 著

1931年9月18日の柳条湖事件を機に満洲を侵略したのちに「満洲国」建国を宣言し、戦争拡大、日米開戦への道を決定づけたともいえる満洲事変。後世からは「軍部の暴走」と評されることが多いが、本当なのか? 歴史のターニングポイントであるこの事件を、関東軍高級参謀として石原莞爾とともに決行した板垣征四郎にスポットライトを当て、その人間像や思考、彼を中心とした人間関係から分析し、真実を浮かび上がらせる。

2025年7月20日