木下昌規 著
室町時代の研究、なかでも将軍に関わる女性たち--御台所、妾、女房など--の研究が近年、飛躍的に進展している。環境に左右され、選択肢も限定されるなかでも、求められた役割を果たし続けたことがわかってきたのだ。“日本三大悪女”とも称される室町幕府第八代将軍・足利義政御台所・日野富子をはじめ、十五代にわたる足利将軍家に「影」として扱われがちだった女性たちが、どのように働き、貢献してきたのか。本書は、足利将軍の時代を「女性たちの仕事」という視点から通史的に叙述した初の書籍である。
ムガル帝国
インド・イスラームとペルシア文化
青木健 著
広大なインド亜大陸の一三世紀から一七世紀の思想史は複雑である。インドとパキスタンの分離独立など政治的な影響から、いまの南アジアは、イスラームとヒンドゥーという宗教アイデンティティーに依拠して、解説されることが多い。けれども言語に注目して歴史を概観すると、従来と異なる景色も見えてくる。本書は、西アジア、中央アジア、南アジアの文化的共通言語として一八世紀まで機能した「近世ペルシア語文献」から、ムガル帝国で花開いたスーフィーたちの神秘主義思想と、ペルシア文化を概説する。
中澤克昭 著
日本の城といえば、姫路城のような天守閣のある建築物。だが、このような形の城郭が成立したのは信長・秀吉の時代になってからである。古代の城柵から近世の御城まで、史料に現れる城をたどってみると、日本という国のかたちが見えてくる。国家の平安を乱す野蛮な軍事施設から、地域の秩序を保つ平和の要へ――。城をめぐる日本人の思考様式を探る、文献史学からみた城郭の歴史。現代人の城郭観も変わる!
イーヴリン・ウォー 著/小山太一 訳
先祖代々の屋敷を愛する夫をよそに、田舎暮らしに退屈した妻は年下の愛人に走り、結婚生活の破綻は思いもよらぬ展開へ。英国上流階級の社交喜劇に侵入する一抹の恐怖。
ロジェ・マルタン・デュ・ガール 著/山内義雄 訳/野崎歓 解説
前巻「少年園」からおよそ5年。ジャックは兄アントワーヌと親友ダニエルらとともにエコル・ノルマル(高等師範学校)の合格発表を待っている。ジャックは見事な成績で合格を果たすが、実感がわかず、自らの進路に確信がもてない。オペラ座界隈の酒場で合格祝いの席が設けられ、こうした店に不慣れなジャックは落ち着かず、かたやダニエルは新入りの若い娘リネットに目をつける。
平井靖史 著
あなたはまだ本当の〈時間〉を知らない。ぐいぐい読めて世界が変わる。時間哲学の第一人者による、私たちの常識を揺さぶるベルクソン入門。
朱和之 著/前野清太朗 訳
台湾出身の音楽家・江文也をモデルにした音楽小説。東京で声楽家、作曲家として活躍し、波乱万丈の人生を送った。戦前から戦後にかけて東アジアをかけめぐった芸術家たちの境遇や葛藤、置かれた状況を等身大に描く。
范曄 著/李賢 注/渡邉義浩 訳
大好評「後漢書」シリーズ第11巻は「列伝」の7巻目。皇甫嵩が黄巾の戦いを平定したのち、群雄割拠の後漢は、袁紹が官渡の戦いで曹操に敗北し終焉へと突き進む。後漢を事実上滅ぼした董卓は、『三国志』よりも、さらに悪が強調される。
峯田淳 著
「体重が500グラムも減っている」――獣医師は猫の500グラムは人間にすると10倍の5キロ、とも言った。勧められた検査の結果、10年連れ添った愛猫はガンと判明する。無我夢中で過ごした闘病47日間、その間に胸をよぎった出会いの思い出、孤独な少年期にそばにいてくれたかつての飼い猫のこと、そして考えた猫という存在の意味。言葉はなくても大事な何かを教えてもらえた、そんな「猫のいる人生」。
ミランダ・ジュライ 著/岸本佐知子 訳
アーチストとして成功し、ハンサムな夫と可愛い子とともに暮らす45歳のわたし。新たな自分に出会うための単独ドライブ旅行をきっかけに、人生が思わぬ方向に転がりだす。はたして自由を目指す旅路の先に見えたものとは――。中年期の魂のジェットコースターを描き切り、全米図書賞ファイナリストにも輝いた著者最高傑作。