松浦友久 著
詩歌の歴史は、人々の美感や美意識の歴史である。とりわけ、中国古典詩は、「抒情の器」として数多の名詩を生み出してきた。本書は、そうした歴史のなかから、「詠懐」「山水」「情愛」「飲酒」「自適」など12の章に分類し、主要作品を紹介。個々の作品の鑑賞を通して、それぞれの主題に関わる詩的時間の推移が追体験されることを目指している。詩の選択にあたっては、中国の詩歌史における源泉的作品、典型的な表現効果のある作品、独自の表現効果をもつ作品、という3つの観点からなされた。中国詩の広さと高さを伝える珠玉のアンソロジー。
沖森卓也 著
中国で生まれた漢字は日本語と邂逅し、日本文化に大きな影響を及ぼした。字形・字音・字義は日本独自に発達した面も少なくない。本書は日本における漢字の歴史を言語の側面のみならず、日本の文化や人々との係わりを通して描き出す。古代における漢字の受容、漢文・漢語の定着と万葉仮名の展開、中世の漢字・漢文の和化、和漢混淆文と字音の独自変化、江戸時代の漢学・漢字文化の隆盛、そして近代以降の漢字簡素化・字形整理――より深い日本の漢字文化理解のための必携の通史。
張学東 著/関口美幸、倉持リツコ 訳
過酷な時代を生きた普通の家族、純朴に生きる少年少女、飼い主に忠実な二匹の犬、時代の波に翻弄されながらも、生きることを諦めず、時にぶつかり、友情を育み、ともに成長していく。
王蒙 著/李海、堤一直 訳
舞台は中華人民共和国建国まもない1950年代の北京。青春の活力に満ちた明るく元気で楽観的な女子高生たちが、新旧中国の異なる社会制度下でさまざまな人々と出会い、時には悩み、もがきながらも、自身の人生を切り開いていく姿を描く。
ケリー・リンク 著/金子ゆき子 訳
奇想の天才が放つ、7つの童話を基にした、万華鏡のような新作短篇集。2024年のローカス賞短篇集部門受賞作品。
大野萌子 著
近年、電話が原因で心身症状が現れたり、仕事に支障を来したりする若者が増えているという。その心理的背景を豊富な事例で解き明かす。Z世代の理解の一助にもなる一冊。
ハン・ガン 著/井手俊作 訳
1980 年5月18 日、韓国全羅南道の光州を中心として起きた民主化抗争、光州事件。戒厳軍の武力鎮圧によって5月27日に終息するまでに、夥しい数の活動家や学生や市民が犠牲になった。抗争で命を落とした者がその時何を想い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのか。その一人一人の生を深く見つめ描き出すことで、「韓国の地方で起きた過去の話」ではなく、時間や地域を越えた鎮魂の物語となっている。
小山聡子 著
モノノケは、古代・中世において、正体不明の死霊を指した。病気や死をもたらす恐ろしい存在で、貴族たちを悩ませた。近世に入ると幽霊や妖怪と混同され、怪談や図案入りの玩具などで親しまれるようになる。近代以降、根拠がないものとして否定されつつも、怪異は根強い人気を博し人びとの興味をひきつけてやまない。本書は、モノノケの系譜をたどりながら、日本人の死生観、霊魂観に迫る。
陳柔縉 著/田中美帆 訳
日本統治時代に台湾南部の港町・高雄で生まれた孫愛雪。戦後の政治的弾圧で父と夫は国を去り、やがて愛雪も夫を追って日本へ渡る。「良妻賢母」の価値観を教え込まれた愛雪は、その通りに家の仕事をこなし、台湾独立運動に奔走する夫を支えながら、自らも実業家として道を切り拓き強く生きた。そして晩年、家族を陥れた意外な真実を知る……。
ジョン・コナリー 著/田内志文 訳
もしも小説の登場人物に会い、その物語を変えられたら……。シャーロック・ホームズ、ドラキュラ伯爵などが暮らす図書館で起きた大事件を描き、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短編賞を受賞した表題作ほか、同図書館で語り継がれるホームズの逸話、『失われたものたちの本』の世界から贈る短編、次々と怪現象を起こす奇書にまつわる中編の四編収録。本と物語がテーマの作品集。