氏名の誕生
江戸時代の名前はなぜ消えたのか
尾脇秀和 著
私たちが使う「氏名」の形は昔からの伝統だと思われがちだが、約150年前、明治新政府によって創出されたものだ。その背景には幕府と朝廷との人名をめぐる認識の齟齬があった。江戸時代、人名には身分を表示する役割があったが、王政復古を機に予期せぬ形で大混乱の末に破綻。さらに新政府による場当たり的対応の果てに「氏名」が生まれ、それは国民管理のための道具へと変貌していく。気鋭の歴史研究者が、「氏名」誕生の歴史から、近世・近代移行期の実像を活写する。
ホフマン、ティーク他 著/遠山明子 編
18世紀末ヨーロッパ興隆したロマン主義運動。その先陣を切ったドイツロマン派は、不合理なものを尊び、豊かな想像力を駆使して、怪奇幻想の物語を数多く紡ぎだした。本書はティーク「金髪のエックベルト」、フケー「絞首台の小男」、コンテッサ「死の天使」、アルニム「世襲領主たち」、ホフマン「砂男」など9篇を収録。不条理な運命に翻弄され、底知れぬ妄想と狂気と正気の狭間でもがき苦しむ主人公たちの姿を描く、珠玉の作品集。
ザミャーチン 著/松下隆志 訳
地球全土を支配下に収めた〈単一国〉では、24時間の各人の行動は、食事から性行為まで、すべて合理的に管理されている。その国家的偉業となる宇宙船〈インテグラル〉の建造技師であるД-503は、古代の風習に傾倒する女I-330に執拗に誘惑され……。『一九八四年』『すばらしい新世界』に先駆けるディストピア小説の傑作。
ニコラ ブーヴィエ 著/ティエリ・ヴェルネ 絵/山田浩之 訳
1953年、ニコラ・ブーヴィエはポンコツのフィアットに乗ってジュネーブを発つ。旅の手持ちは2年という月日と4か月分の現金。ベオグラードで親友の画家ティエリと落ち合い、ロマの旋律に導かれるように東へ東へとつき進む。旧ユーゴスラビア、トルコ、イラン、アフガニスタン・・・・・・世界から世界へ、道はどこまで続いていくのか。
女の氏名誕生
人名へのこだわりはいかにして生まれたのか
尾脇秀和 著
江戸時代の女性名は現代とどう違ったのか?「お」の付く女性名はどこに消えたのか? 近代女性名の「子」とは何か? 何が今日の「夫婦別姓」論争を生み出したのか? アイデンティティとして名前に執着する現代の常識は、どのように生まれたのか? 男性名とは別物だった江戸時代の女性名が、明治期に男女共通の「氏名」となって現代の諸問題を抱えるまで、近代国民国家の形成、文字の読み書きや捺印、戦後改革など様々な事象を通して、日本人名文化の歴史的変遷を明らかにする。
楽園の夕べ
ルシア・ベルリン作品集
ルシア・ベルリン 著/岸本佐知子 訳
ロングセラー『掃除婦のための手引き書』(2020年本屋大賞翻訳小説部門第2位)、『すべての月、すべての年』に続く待望の短編集。
三野博司 著
世界の美しさと、人間の苦しみと――双方に忠実であろうとしつつ、生きる意味を探求し続けた作家、カミュ。『異邦人』『ペスト』をはじめとする作品は、時をこえて私たち自身の生をも映し出している。アルジェリアでの出生から不慮の死まで、生涯に沿ってテクストをよみとく。「不条理」の先に作家は何を見ていたのか?
安藤信廣 著
その時どきに、人は時代や自分の内面とどう向きあい、言葉にあらわしてきたのか。甲骨に刻まれた占いの記録から、『詩経』、『楚辞』、曹操・曹丕・曹植、建安七子、「志怪小説」、陶淵明、杜甫、李白、「伝奇小説」、歐陽脩、蘇軾、『全相平話三国志』などへと続く「詩詞」「文学」の系譜のみならず、『論語』、『荘子』、『史記』、「出師表」、『朱子語類』など思想を著した「文章」の系統も概観。先秦時代から宋代まで具体的な作品をたどることで、多彩な文学形式を生み出した、表現することへの強い思いが見えてくる。
島津氏
鎌倉時代から続く名門のしたたかな戦略
新名一仁、徳永和喜 著
本書は、鎌倉時代から幕末まで島津家歴代当主の政策に焦点を当て、700年の歴史を紡いできた島津氏の「生存戦略」に迫る。巧みな交渉術、政権との距離感、敗北後の危機回避能力――、隠れた名家・島津氏に学ぶ「外交の神髄」に迫る! 専門家による「島津氏」通史の決定版。
大恵和実 編集/円城塔、十三不塔、立原透耶、灰都とおり 著
豪華絢爛、大唐帝国を魔改造せよ――ラッパー李白が、怪獣パンダが、キチン質の李世民が、空海が、三蔵法師が大暴れ! 日本と中国の8作家が織り成す、国境を越えた奇跡のアンソロジー。