光井渉 著
法隆寺や姫路城はじめ、日本には世界遺産に指定された歴史的建造物が多い。だが、役割を終えた古い建物でしかなかったそれらに価値や魅力が「発見」されたのは、実は近代以降のことである。保存や復元、再現にあたって問題となるのは、その建造物の「正しい」あり方である。歴史上何度も改築された法隆寺、コンクリート造りの名古屋城天守閣、東京駅、首里城……。明治時代から現代に至る美の発見のプロセスをたどる。
司馬彪 著/劉昭 注/渡邉義浩 訳
大好評「後漢書」シリーズ第4巻は、前巻に引き続き、制度史に当たる「志」を取り上げる。「天人相関説」による自然哲学、地方行政制度、官制・職制、宮中での乗りものと装束についての礼制――後漢帝国、激動の196年間を読みとくための、もう一つの視角がここにある。
日ソ戦争
帝国日本最後の戦い
麻田雅文 著
日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後にソ連軍が侵攻してくるなど、戦後を見据えた戦争でもあった。これまでソ連による中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国によるソ連への参戦要請から、満洲など各所での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
山本文彦 著
ドイツを中心として領域を広げた神聖ローマ帝国。弱体と見られがちなこの国が長く存続したのはなぜか。捉えにくい大国の実像に迫る。
戦後フランス思想
サルトル、カミュからバタイユまで
伊藤直 著
第二次世界大戦後、ナチ・ドイツから解放されたフランスの思想界には綺羅星の如き群像が台頭。サルトルを筆頭にカミュやボーヴォワール、メルロ=ポンティ、バタイユらが次々と作品を世に問い、論戦を繰り広げた。本書は、彼らが哲学と文学を架橋するかたちで活動を展開した点などに着目。実存主義が世を席巻し、知識人や芸術家の社会運動(アンガージュマン)が促された時代精神を描き出す。
ヘンリー・ジェイムズ 著/行方昭夫 訳
〈アメリカ的なもの〉と〈ヨーロッパ的なもの〉の対立を扱い、一躍ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)の文名を高からしめた〈国際状況もの〉の代表作「デイジー・ミラー」。その解釈をめぐってまさに議論百出の感のある、謎に満ち満ちた幽霊譚「ねじの回転」。ジェイムズの最もポピュラーな中篇2篇を収録。新訳。
加地伸行 著
本文18章と付篇1章から成る小篇である『孝経』は、孝道を論じた儒教の経書で、古来永く読み継がれてきた。しかし、単に親への孝行を説く道徳の書ではなく、中国人の死生観・世界観が凝縮された書である。『女孝経』『父母恩重経』「法然上人母へのことば」など中国と日本の『孝経』周辺資料も多数紹介・解読し、精神的紐帯としての家族を重視する人間観を分析する。
乃至政彦 著
「織田信長×森蘭丸、上杉謙信×直江兼続、武田信玄×高坂昌信……戦国武将が麗しい小姓を寵愛するのは当然の嗜みで、人々はその関係を心から礼賛した──」とする「常識」は、どこまで事実なのだろうか。本書では、史料をベースに、俗説と実像を区別していく。男心と歴史を動かした武家衆道の盛衰史。解説:井上泰至。
桃崎有一郎 著
清少納言や和泉式部が仮名文学で雅な貴族の世界を描いていた裏では、暴力が支配する武士の世界があった。それは地方だけでなく、都のすぐ隣でも人が殺されるような状態だった。しかも、その雅な世界は武士による収奪によって成り立っていたのだ。この凄惨な時代、拡大・縮小を繰り返しながら、源氏と平氏が武士の代表格として確立してゆく。その背景にある、血の入れ替えと相剋の過程を克明に綴る。
ファン・ボルム 著/牧野美加 訳
ソウル市内の住宅街にできた「ヒュナム洞書店」。会社を辞めたヨンジュは、追いつめられたかのようにその店を立ち上げた。書店にやってくるのは、就活に失敗したアルバイトのバリスタ・ミンジュン、夫の愚痴をこぼすコーヒー業者のジミ、無気力な高校生ミンチョルとその母ミンチョルオンマ、ネットでブログが炎上した作家のスンウ……。それぞれに悩みを抱えたふつうの人々が、今日もヒュナム洞書店で出会う。