ちょっと気になるんですけど、お値段が……

講談社現代新書の『ドイツ誕生』を読みました。

この場合の「ドイツ」とは「ドイツという概念」「ドイツ人という意識」といったもので、そういう「ドイツ」というまとまりが出来るきっかけになったのが、神聖ローマ帝国を作ったオットー1世であり、彼の一代記が本書です。

神聖ローマ帝国という名称はもちろん知っていましたけど、その初代が誰であったかなんてすっかり忘れていました。その一方でオットー一世という人物名は頭の片隅にあり、これまではその両者がまったく結びついていなかったわけです。あまりにも不勉強でした。

ところで、このオットー一世は広範囲にヨーロッパを駆け巡っていたようですが、特にイタリア遠征は大きな仕事だったようで、紙幅も多く費やされています。

そんなイタリア遠征の記事になると頻出するのがラヴェンナという都市の名前です。この地名には聞き覚えがあります。先日、勤務先から刊行された『ラヴェンナ』です。『ドイツ誕生』を読んでいると、やはりラヴェンナが気になります。どんなところだったのだろう、どういう役割を持った都市だったのだろう、当時の地政学的な位置というのはどんなものだったのだろう、などといった疑問、興味が次々に沸いてきます。

では『ラヴェンナ』も買って読んでみますかと言いたいところですが、ちょっとお値段が張るのですよね。本体価格8700円、税込だと9570円です。すぐには手が出ません(涙)。ただ、カラー図版も豊富で、頁数もありますから、値段以上の価値がある本であることに間違いはないのですが……

令和の文学全集?

姪っ子に小学館の『小学館世界J文学館』を買ってあげました。姪っ子たちは静岡に住んでいるので、ネットで購入して、姪っ子の家へ配達するように注文しましたので、あたしは現物を見ていません。

やや大型本のようですが、これで100冊以上の世界の名作が収録されているのですから驚きです。現物の本は解題集で、実際の作品は電子書籍の形で配信されているのだそうです。となると、姪っ子だけでなく甥っ子も別々の端末で読むことも可能なのでしょうか? ふりがなの振り方や文字の大きさなどもいろいろ選べる、電子書籍の特長を活かしたものになっているようです。

小学館の特設サイトに収録作品の一覧が載っていましたが、あたしもほとんどの作品を読んだことがありません。情けないことです。姪っ子たちはどれくらい読んでくれるのでしょうか? まあ、タイトルを見て気になったものからランダムに読んでいけばよいのでしょう。

この作品リストの中に見覚えのある作品名がありました。

片目のオオカミ』です。この本、あたしの勤務先から出しています。あたしの勤務先から出ているものは、現在品切れなのですが、訳者は末松氷海子さんです。『世界J文学館』に収録されているのは平岡敦訳となっていますので、うちのとは訳文もずいぶんと異なるのでしょう。

読みたい本がどんどんたまっていきます

月末に配本予定の海外文学の新刊『家の本』と『エバ・ルーナ』の見本が出来てきました。装丁はこんな感じです。

『エバ・ルーナ』はアマゾンなどでも装丁が出ていますが、『家の本』はまだだったと思いますので、一足早くご覧に入れました。如何でしょう?

ところでオーウェルの『動物農園』が新しく刊行されました。吉田健一訳、ヒグチユウコ画という組み合わせです。

動物農場』は早川epi文庫版を持っていますが、他にも多くの文庫に翻訳が入っているようですね。読み比べたら相当違うのでしょうか?

あとわが家の書架にはちくま文庫版の『アニマル・ファーム』もあります。こちらは石ノ森章太郎によるものです。

また書きますけど、知るのが遅すぎた!

写真は、昨日の朝日新聞朝刊です。カントの『人倫の形而上学の基礎づけ』が引かれていますが、その訳者が野田又夫でしたから、中公クラシックス版でしょうか?

あたし、野田又夫って読んだことがあります。岩波文庫の『哲学の三つの伝統 他十二篇』です。内容紹介に中国とあったので、なんとなく興味を持って手に取ったのが最初です。

そのあたりの経緯は、かつてこのダイアリーに書いたことがあるので詳細はそちらに譲りますが、本当にもう少し早くに知っていれば、勤務先で『野田又夫著作集』の復刊を訴えていたかもしれません。野田又夫の名前を見るたびに、そう思ってしまいます。

ところで、この岩波文庫、まだ品切れになっていませんよね。この手の渋い著作って、少し油断しているとすぐに品切れになってしまう傾向にあるので非常に心配です。

ゴーリーの挿絵が入っています!

欅坂46から櫻坂46に改名してどのくらいたったのでしょう? その櫻坂46に、新二期生として加入した守屋麗奈のファースト写真集をゲットしました。

守屋麗奈、ファンの間では「れなぁ」の愛称で親しまれているメンバーです。今回は通常盤カバーと楽天ブックス限定カバーの二冊です。容姿については、人それぞれ好みがあるでしょうけど、まあふつうにカワイイ、きれいだと言われるタイプだと思います。

女子大生らしいですが、きちんと大学に通えているのでしょうか? 見てくれはともかく、身長はちょっと低め、モデルのような抜群のプロポーションというわけではありませんが、愛嬌はバッチリです。坂道ファンの間では「れなぁは櫻坂というよりも、乃木坂タイプではないか?」という意見も聞かれますが、彼女が加入した合同オーディションでは、乃木坂46はスラッとした高身長のメンバーを選んだようなので(例外が数名いますけど)、そのためにれなぁは乃木坂に選ばれなかったのかもしれません。もちろん、本人が三つの坂道グループのどこを志望していたかはわかりませんが……

と、アイドルの写真集についてはさておき、勤務先の新刊のご案内です。

来月初旬に配本予定の海外小説『アーモンドの木』の見本が出来てきました。エドワード・ゴーリーの挿絵があしらわれた一冊になっています。

本書のタイトルは『アーモンドの木』ですが、それで思い出したのが韓国の小説『アーモンド』です。こちらは大ヒットしたガイブンです。

ただ単に「アーモンド」という言葉が共通しているだけで、作品世界に何の関連もありませんが、「海外小説は何を読んだらいいかわからない」とぼやいている人には、こんなタイトル繋がりで次の作品を選んでみるのも面白いのではないでしょうか?

半分ほど読み終えたのですが、非常に切ないです

《エクス・リブリス》の『アイダホ』を読んでいます、ちょうど半分を超えて、3分の1くらいまで読み進んだところです。読了まであと一息です。

主人公夫婦の夫の方がウエイドという名前なのですが、彼が若年性の痴呆を煩っています。ここへ来て症状が進行している様が描かれます。55歳だというのに、かなり進んでいます。

55歳って、今のあたしと同い年なんですよね。幸いにして、今のあたしには、そんな症状はまったくありませんが、あたしの亡父は思い返すと50を過ぎたころから脳梗塞の症状が少しずつ出て来て、50代半ばで勤め先を退職することになり、その後は自宅療養とデイサービス、ショートステイや入院などを繰り返しながら徐々に症状が進み、62歳で亡くなりました。

本書を読んでいると、そんな父を思い出してしまいます。最後はほとんどあたしや母のこともわからなくなっていたみたいですし、あたしもそんな風になってしまうのかな、という恐怖心はあります。

そして、ウエイドの、歳の離れた妻、後妻なんですが、彼女もまた症状が進行する夫を見守りながら、この先の人生について思いを馳せています。わが家にも、80歳目前の母がおりまして、いまのところ元気で、ボケたりもせず、家事もやっていますが、この状況がもう何年も続くとは思えません。

本書の妻の感情を思うと、あたしもこの先、母がどうなってしまうのか、その時あたしはどうしたらよいのか、と途方に暮れてしまいます。

あっ、本書は、そんな内容だけの物語ではないので、念のため。

 

いつか読み比べをしてみたいと思います

光文社の古典新訳文庫で『毛皮を着たヴィーナス』が刊行されました。マゾッホの代表作です。

ただ、情けないことに、あたしはこれまで読んだことがありませんでした。なんたる不覚!

そこで旧訳である河出文庫版の『毛皮を着たヴィーナス』も一緒に購入し、時間を作って読み比べてみたいと思います。

ところで、このように翻訳が複数ある海外文学って、どのくらいあるのでしょう? 海外文学とは呼ばないとは思いますが、あたしが学生時代に専攻していた中国古典ですと『論語』や『老子』、あるいは『史記』などは片手では足りないくらい、たくさんの翻訳が刊行されています。近代ですと魯迅も複数ありますね。

それに比べると、欧米の作品で翻訳が複数あるのって、シェイクスピア、カフカといったところでしょうか? 哲学・思想の著作ですとプラトンやカントなど複数出ていますよね。

 

真夏に冬の子?

ジャネット・ウィンターソンの新刊が、河出書房新社から刊行されました。『フランキスシュタイン』です。

ジャネット・ウィンターソンと言えば、あたしの勤務先からも『さくらんぼの性は』『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』の三作品が刊行されています。邦訳が出るのは久しぶりなので楽しみです。タイトルを見れば、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』に着想を得た作品であることがわかりますが、果たしてどんなストーリーなのか、読むのが楽しみです。

ところで、ウィンターソンって「冬の子(息子)」という意味になるのでしょうか? 毎日のようにほぼ猛暑日が続いている現在の日本で「冬」が名前に入っている人の作品が刊行されるのは、一服の清涼剤になってくれるのでしょうか?

ところで海外文学ではもう一つ気になる作品を落手しました。

李琴峰訳『向日性植物』です。あたし、不勉強のため著者の李屏瑤って知らないんですけど、台湾ではヒットメーカーなのでしょうか?

そして、内容はまるで異なる作品だとは思うのですが、あたしの勤務先から刊行している『房思琪の初恋の楽園』と似た空気感を感じるのです。『向日性植物』の方はレズビアン小説だと書いてありますが、『初恋の楽園』はレズビアン小説ではありません。ただ、主人公のファン・スーチーと語り手の関係を考えると、プラトニックなレズビアンという感じがしないでもなかったです。

まあ、この二作品に通じるものを感じるのは、あたしだけだろうと思いますし、これから『向日性植物』を読んでみたら、全然異なる読後感が生まれるかもしれませんけど。

現実がオーバーラップしたような……

勤務先の新刊『帰りたい』を読了しました。読み始めたころに予想したのとはまるで異なる結末でした。ちょっと衝撃的です。

簡単なあらすじは、イギリスに住むパキスタン出身のムスリムの姉妹が主人公で、姉と少し歳の離れた双子の姉弟の三人です。

幼くして家族を捨てて家を出た父親はジハード戦士となり既に亡くなっているようですが、その死因は小説中でははっきりしません。ただ、そのせいで姉妹はテロリストの子供という目で見られているようです。母親も姉妹が幼いころに亡くなっていて、姉が幼い双子の妹・弟の世話をしてきたようです。

姉は双子の妹弟が高校を卒業したのでようやく肩の荷を下ろし、学問を続けるためアメリカへ留学します。イギリスに残った双子の弟の方が、社会常識的に考えれば「悪い仲間」に誘われて「イスラム国」へ加わってしまいます。それを知った双子の姉、そして長姉も弟を連れ戻そうといろいろと手を尽くすのですが……

この三人姉妹に、やはりムスリム出身の英国内務大臣、その息子がかかわることになるのですが、日本でも「イスラム国」が盛んに報道されていたころに本書を読んだとしたら、どんな気持ちになったでしょう。「イスラム国」に旅立った日本人がいたのか否か、あたしは正確なことはわかりません。ただ欧米ではかなりの数の若者が加わったと報道されていました。たぶん、本作に描かれたような家族が欧米にはたくさん存在する(存在した)のでしょう。

果たして二人の姉は弟を無事に助け出せるのか。そして弟はどんな気持ちで「イスラム国」へ向かったのか、そこで何を見て、何を感じ、どういう思いを抱いたのか。内務大臣の息子(双子の姉の恋人)は内相の息子という立場と、恋人の弟がテロリストになってしまったという立場の間でどう振る舞うのか。内相は父親としての立場と内相としての立場にどういう線を引こうとしているのか。本当に衝撃の結末でした。

そんなイギリスを舞台にして、「イスラム国」をテーマとしつつも、西洋社会に暮らすムスリムという社会のある断面を切り取った重い作品でした。これからは日本も国際的に開かれた国にならなければと言うのであれば、こういう作品は読んでおかなければならないでしょう。

イギリスの作品と言えば、新潮クレスト・ブックスの『』もEU離脱という英国の大きな社会変化を背景にした作品でした。刊行されたころに購入して読んでいたのですが、四季四部作として『』『』『』が先頃完結したので、未購入の三冊を落手しました。時間のあるときに読んでみようと思っています。

The Boys Of Summer

夏になると、ついつい聞きたくなる曲の一つがこちらです。

「ホテル・カリフォルニア」で有名なイーグルスの元メンバー、ドン・ヘンリーの「The Boys Of Summer」です。邦訳すると「夏の少年」ですかね? 学生時代にこの曲を知ったとき、歌っているのがイーグルのメンバーだとは知りませんでした。イーグルスはもちろん知っていましたが、個々のメンバーの名前までは知らなかったので(汗)。

さてさて、こちらは「夏の少年」ではなく、『台湾の少年』です。岩波書店から第一巻第二巻が発売されました。

少し前の時代の台湾を扱っている本なので、『台北歴史地図散歩』を横に置いて読むといいのかな、なんて思ったりしております。

ところで、この『台湾の少年』の主人公は蔡焜霖なのですが、どっかで見た覚えのある名前です。ということで自宅の書架を漁ってみましたら出て来ました。

小学館文庫の『台湾人と日本精神』です。本書の著者が蔡焜燦です。一文字違いの名前ですね。はい、蔡焜燦は、蔡焜霖の兄に当たるそうです。

司馬遼太郎の『台湾紀行』や李登輝の著作もよいですが、こういう一市民が歩んだ台湾史も興味深いものがありますね。