本日、見本出しです。(7月16日配本予定)
カテゴリーアーカイブ: Rockfield Diary
『ムーア人による報告』を読んだ日本人の報告
先日、朝日新聞の読書欄でも紹介された『ムーア人による報告』を読了しました。16世紀のスペインによる新大陸探検隊(征服隊?)の行程を描いた作品です。
ナルバエスが率いたこの探検隊はほぼ全滅し、8年後に生き延びた四名が現在のメキシコにあったスペインの植民地に辿り着き、探検隊の顛末を報告したものが公式記録として残っているそうです。これは史実です。そして生き残った四名のうち三名なスペイン人なのですが、残る一人がスペイン人に奴隷として仕えていたアフリカ人(ムーア人)だったというのも史実です。
公式記録はスペイン人によるもので、当然のことながら自分たちに都合のよい記述になっています。そこで著者は、たった一人のムーア人、エステバニコも探検記録を残していたという設定で描いたのが本作となります。
ウィキペディアにある「エステバニコ」の項によりますと、彼は8年間のインディオ暮らしの経験を買われ、次の探検隊の案内人になったけれどもインディオによって殺された、ということになっています。しかし著者は想像を逞しくして、彼のその後を希望に満ちたものに仕上げています。
作品はとても長い物語ですが、中だるみもなく、グイグイ読ませる作品です。当時のアメリカからメキシコにかけての地理があたしの頭に入っていなかったので、地名に少し手こずりましたが、メキシコ湾をめぐる北中米をウロウロしていたのだな、くらいの想像力で一気に読み通せました。
むしろ問題なのは、あくまで個人的な問題なのですが、ちょうど同時並行で読んでいた『アテネに死す』も中米が舞台となっている箇所があり、話と地理がゴッチャになってしまったことです。でも、どちらの作品も本当に読みやすく、引き込まれる作品でした。
ところで探検ものなので、過酷なシーンや描写もあります。食人のところなどは読むのがつらくなる人もいるのではないでしょうか。そういう点では同じ《エクス・リブリス》にある『緩慢の発見』と通じるものがあります。こちらも史実をベースとしたフィクションという共通点もあります。是非読み比べてみてください。
昔話のおじいさんは山へ柴刈りに行きましたが、うちの母親は庭で芝刈りを試みました
本日の朝日新聞のGLOBEにはフランスのベストセラーランキングが掲載されていました。その第三位はジュリアーノ・ダ・エンポリの『L’Heure des prédateurs』でした。
ジュリアーノ・ダ・エンポリと言えば、あたしの勤務先から刊行した『ポピュリズムの仕掛人』が好調ですが、本作はその次の作品のようです。
そして今月下旬には、その邦訳『リベラリズムの捕食者』が刊行になります。原題をそのままGoogle翻訳してもらいますと「捕食者の時間」となるようです。今回の邦題は少し意訳しているのですね。
フランスのベストセラーランキングにも入っている作品なので刊行を楽しみにしている方も多いと思います。邦訳の刊行まで、いましばらくお待ちくださいませ。本体1900円の予定です。
ところでそんな日曜日ですが連日の猛暑でわが家の庭の芝生もグングン伸びています。今日午後の様子が二枚目の画像です。
ちょっとわかりにくいかも知れませんが、かなり伸びています。あたしはゴルフ場に行ったことはないのですが、ラフってこんな感じなのではないでしょうか。
6月14日に投稿したダイアリーで、芝生シートを庭に敷き詰めたと書きましたが、あれからまだ一か月経っていませんが、この季節だとこんなにも伸びるのですね。しかし先月末、6月29日のダイアリーでは少し伸びてきている状態をご報告しましたが、そこからの生長はまさに怒濤の勢いです。
ここまで伸びると、少しカットしないとダメなようです。そうしないとよい芝生にならないみたいです。芝刈り機を用意した方がよいのでしょうか。
わが青春のYOU&I
季刊のPR誌『白水社の本棚』、その2025年夏号が出来上がりました。その巻末の人気連載、小指さんの『偶偶放浪記』を読んでいたら懐かしい名前を見つけました。
ちなみに今回の放浪先は千葉県の高根木戸です。なんとなく薄ぼんやりと聞き覚えのある地名ですが、どこにあるのかよくわかっていませんし、もちろん行ったこともありません。船橋の近くじゃなかったかなあ、というまるで根拠のない記憶があるだけです。
で、話は戻って懐かしい名前の件。それは「レンタルショップ 友&愛」です。懐かしのスポットとして訪れたものの、跡形もなくなっていたというありがちなオチですが、この「友&愛」はあたしにとっても想い出のお店です。
もちろん高根木戸ではなく、あたしが高校時代に行っていたのは杉並区浜田山駅前にあった「友&愛」です。忘れていましたが、『偶偶放浪記』にもルビが振ってあるように「友&愛」は「ユーアンドアイ」と読みます。ただ、あたしがよく利用していた「友&愛」は「YOU&I」と表記されていたように記憶しています。なおかつ、あたしたちクラスメートの間では「ゆーあい」と略して呼ぶのがスタンダードでした。
『偶偶放浪記』では「借りてきたCDをカセットテープにダビングしてた時代」と書いてありますが、あたしの頃はCDではなくレコードでした。借りるのはもっぱらLPレコードで、だから専用の大きな袋がありました。
日本のアイドルやロックなども借りたと思いますが、記憶に残っているのは洋楽です。なにせ洋楽全盛の80年代ですから、カルチャー・クラブにデュラン・デュラン、マドンナにシンディ・ローパー、ジャーニーやTOTO、さらにはマイケル・ジャクソンにプリンスなど、それこそ綺羅星のごとき時代でした。
いまも大して変わらないあたしの語学力では、これら洋楽アーチストの歌は理解できません。そこでそこの「ゆーあい」ではライナーノートのコピーサービス(と言っても有料だったはず)があって、借りた時には一緒に歌詞のページのコピーを取るのが習慣となっていました。
そんな懐かしい記憶が蘇ってくる今回の『偶偶放浪記』でした。
今日の配本(25/07/04)
アテネに死す
マックス・フリッシュ 著/中野孝次 訳
50歳を超えた有能な技師ウォルター・フェイバーは、ユネスコの仕事で世界を飛び回っていた。パリに向かうため豪華客船で大西洋を渡る途中、芸術を愛する女学生エリザベスと出会う。技術だけを信じ、芸術に無関心なフェイバーは好奇心旺盛な彼女に戸惑いながらも、次第に強く惹かれていく。パリ、ローマと旅をともにするうちに2人は心を通わせ、深く結ばれる。しかしエリザベスには、フェイバーの運命を大きく揺るがす秘密があった……
予約はいつから?
このところ年に一度くらいの割合で、母を連れて旅行に出かけています。既に京都と奈良に行きました。
京都も奈良も、まだまだ訪れていないところはたくさんありますが、主だったところは一応は行っていますので、母が「ここは行ってみたい」と言っていたところに行こう、というのが主たる目的でした。
京都では金閣寺です。あたしも行ったことがなかったところでした。それと金平糖の緑寿庵清水、京漬物の村上重なども行ってみたいと母が言っていたので訪れました。
奈良は、母が一度も行ったことがない土地で、大仏が見たいと言っていたのと法隆寺にも行ってみたいとのことだったので行きました。法隆寺は、金閣寺同様、あたしも行ったことがなかったので楽しめました。その他に春日大社や二月堂、興福寺を回り、柿の葉寿司を堪能して帰京したのはこの年初のことでした。
そしてこの夏と言いますか、秋と言うのでしょうか、夏が終わる頃に北陸の金沢へ、これまた一泊二日で出かける予定です。茶屋街と金沢城、兼六園を見るくらいの予定です。母も歳ですので、あまりあちらこちらへ連れ回すことはできませんので。
既に旅行会社に往復の新幹線とホテルの予約は済ませてあります。あとは食事です。昼は適当に入ればよいかと思っているのですが、夕食はちゃんとしたところで食べたいと考えています。
その予約をそろそろした方がよいのか、最近、思案しております。京都の時にちょっとお高いのですが、行ってみたいと思っていた料理屋に二か月くらい前に電話をしたところもう予約で埋まっていたという前科がありまして、どれくらい前から予約しておくものなのか悩んでおります。まあ、京都の方は席数も少ないお店でしたから半年くらい前には予約しないとダメだったのでしょうね。
庶民はコーヒーを飲み、貴族は紅茶を嗜む
あたしの記憶が正しければ、元乃木坂46の山下美月が自信のインスタで食べましたと紹介していたので、あたしも買ってみたハーゲンダッツです。
定番のバニラはいつでも売っていますが、こういう限定商品というのは、これまでにどれくらい発売されたのでしょう。人気があって長く売られていたフレーバーもあれば、あっという間に消えてしまったものもあるのではないでしょうか。
今回は「紅茶&クッキー」フレーバーです。似たようなフレーバーは前にも売られていたような気がしますが、近所のスーパーで売られていたので買ってみました。
蓋を開けると、こんな感じです。相変わらず、カチンコチンのアイスです。紅茶と聞いてどんな色を想像していたかわかりませんが、蓋に描かれているのはミルクティーのようなイラストで、中もそのままの色合いです。
そして食べてみると、これがまた見事にミルクティーです。ロイヤルミルクティーと言うよりも、ただの紅茶に牛乳を加えた、家庭で作るようなミルクティーの味を感じました。ただクッキーは控えめで、「どこに入っているの?」という感じでしたが(笑)。でも、美味しいアイスでした。
そんな近所のスーパーでもう一つ、こんどはドリンクを買ってみました。それが三枚目の画像です。
台湾ライチスカッシュとあり、ラベルには不二家のマークが描かれています。スカッシュとあるとおり炭酸飲料です。
飲んでみた感想としましては、果物のライチを食べながらレモンスカッシュを飲んでいる感じです。美味しいのか美味しくないのかちょっと微妙です。ライチがお好きな方であれば、美味しく飲めるのだと思いますが、冷たく冷やしたライチを食べた方が美味しいのかもしれません。
まあ、連日真夏日や猛暑日が続いている日本のこの季節にはちょうどよいのではないでしょうか。でも、ソルティライチでよいのかも?
隣ではなく、わが家の芝生も青いのか?
昨日のダイアリーでは、藤沢で開催中のフェアの模様をご紹介しましたが、もう一つ、他社さんのフェアの様子もご紹介しましょう。それがこちらです。
はい、みすず書房のフェアです。開催場所は東戸塚の紀伊國屋書店です。東戸塚ですと「湘南」という呼び方はできるのでしょうか。ジモティーではないので、湘南がどの地域を指すのか、厳密なところは知りませんが……
それにしても、この「はじめてのみすず書房」というフェア、ここ以外でも見たことがあります、昨年あたりから社を挙げて取り組んでいるフェアなのでしょうか。そして、これほどよく目にするということは、みすず書房のフェアをやってみたいと思っている書店がどれほど多いかということがわかります。羨ましいかぎりです。
腐り始めていたウッドデッキをすべて片付けたことは少し前に書いたと思います。すっきりした庭をどうしようかということで、芝生を植えようということにしたことも、このダイアリーに書いたと思います。
二枚目の画像は、およそ二週間前、ネットで購入した芝生シートを庭に敷いた時の様子です。ちょうどよいサイズでした。このシートに芝生の種が含まれていて、10日から二週間で発芽すると説明書には書いてありました。
毎日水やりをすること二週間、現在の様子が三枚目の画像です。だいぶ青々としてきました。発芽していない部分もありますが、全体的には順調に伸びてきています。
この調子で伸びれば夏真っ盛りには、パターの練習ができるような芝生の庭が完成するのではないかと期待しています。とはいえ、あたしはゴルフは全くやりませんし、ゴルフクラブもゴルフボールも持っていませんが(笑)。
順調に伸びている芝生ですが、ところどころ雑草も伸びています。雑草取りをしないとなりませんが、雑草を抜こうとすると芝生がシートごと剥がれてしまいそうになるので(母談)、もう少し芝生が根付くまでは雑草も放置しておくことにします。
それにしても「隣の芝生は青い」と言われますが、他社のフェアも素敵に見えるものですね。
エスファハーンは世界の半分、なのかしら?
米国がイランの核施設をミサイル攻撃したというニュース。国際法違反だといくら多くの国が言ったとしても、トランプ大統領には馬耳東風なのでしょう。ここまで世界の秩序を壊したリーダーというのも歴史上数えるほどではないでしょうか。
それはさておき、今回攻撃された三か所はフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンだそうです。多くの日本人にとって、この三か所の地名はほとんど馴染みのない、聞いたこともない地名だったのではないかと思います。あたしにとってもそうです。ただ一か所、イスファハンはエスファハーンのことですよね、これだけは見覚えがありました。
それが新刊『盲目の梟』所収の紀行文「エスファハーンは世界の半分」です。これを読んだ時、さらに思い出したのは『傷ついた世界の歩き方』です。同書はニコラ・ブーヴィエ『世界の使い方』を読んだ著者が自分も同じようにイランを旅した記録です。この中にもエスファハーンが出てくるのです。
政情不安やイスラム革命など、いろいろ問題を抱えるイランですが、両書とも歴史ある国の時の流れを感じられる紀行文で、現在のイスラエルや米国との戦争の影は見えません。こういう文学作品を読めば、今回のような攻撃をしようなどと思うことはないと思うのですが。