京みやげ

少し時間がたってしまいましたが、京阪神ツアーの時に手に入れたおみやげをご紹介します。記憶が正しければ、どちらも京都大学生協の店頭で手に入れた小冊子です。

まず左は《京大的作家の在学時の愛読書》というフェアの冊子。さすが京都大学、まだまだほんの一部でしょうけれど、これだけの作家を輩出しているのですね。表紙には綾辻行人さんの名前が見えますが、冊子を広げると両面に25名のおすすめ作品が並んでいます。残念ながら、あたしの勤務先の刊行物は一冊も選ばれていませんでしたが、それよりも25名の方が選んだ書籍は一冊も読んだことがなかったのが我ながら衝撃でした。この「選書フェア製作委員会」ってどんな方たちなのでしょう。

写真右は慶應義塾大学出版会さんのフェアのようです。《レポート・研究に役立つ! アカデミック・スキルズ》なんていかにも大学生協向きなフェアですね。フェア(選書)の内容は「学ぶ」「考える」「調べる」「読む」「書く」「聞く」「話す」「撮る」に分かれていて、「書く」には番外編として「Write」というのもあります。英語で書く技術などを扱った書籍が紹介されています。

最後の「撮る」は動画製作や映像編集など、いまどきのカテゴリーですね。あたしが学生の頃には予想もできなかった分野です。また紹介されている書籍には初級から上級まで、難易度を示すマークも付いていて、どれから手に取ればよいのかわかるようになっています。

リアルイベントは楽しい

今日の午後は梅田の丸善&ジュンク堂書店でイベントでした。大阪でのイベントは何年ぶりでしょう。

昨年くらいから、オンラインではなくリアルでのイベントも徐々に復活してきていましたが、文芸のリアルイベント、あたしとしては久々でした。

リアルにお客様を迎えつつ、オンラインも併用することで、より遠方の方でも参加できるようになり、イベントの可能性を広げたのではないかとも思います。

そして本日のイベントですが、同展で開催中のボラーニョ・フェアに合わせてのもの。ボラーニョの翻訳者の一人である松本健二さんと作家で翻訳家でもある谷崎由依さんとの対談。ボラーニョってどんな人だったの、どんな一生を送ったの、といった入門的なところから始まって、谷崎さんが感じるボルヘスとボラーニョの違いなど、脱線のような、むしろそれが最も重要な本筋であるかのようなトークのやりとりがとても楽しかったです。

オンラインで視聴された方がどのように感じられたのかはわかりませんが、ライブならではなの楽しさ、空気感を久々に味わうことができて、とても楽しいひとときでした。

それにしても、邦訳されているボラーニョ作品、あたしは『野生の探偵たち』だけ未読なんです。でも今日のトークを聞いていると、これこそがボラーニョらしい作品のようなので、早く読まなければと思った次第です。

生憎の天気になってしまいましたね

昨日、今日と、あたしの勤務先は神保町ブックフリマに参加しております。

あたし自身は店頭に立ったりしたわけではなく、ちょっと私用もありましたので、自宅にいたわけですが、ちょっと天気がよくなかったですね。お客様の来場人数はどうだったのでしょうか。

今回は全部で22社の参加でしたけど、神保町界隈にある出版社はもっとあるはずです。これ以上は増えないのですかね。まあ、会社としては社員に休日出勤をさせるわけですし、人数の問題もありますし、そもそもフリマをやれるようなスペースが出版社の社屋にあるのか否か、そういった多くの問題があると思いますので、言うは易しではありますが、行なうは難しなのだと思います。

なので、実際のフリマがどんな感じになっているのかわかりませんが、本が好きな方であれば、多少の雨などものともせず、出かけてくださるのでしょうか。逆に本にとって雨は大敵ですから、ついつい出かけるのが億劫になってしまうものなのでしょうか。

春に、新年度にピッタリな(?)フェア

書店営業の途次、あるお店でやっていたフェアのチラシです。

「どれが私の生きる道?」というタイトルで、いろいろな生き方、職業に関する本を集めたフェアのようです。

チラシを見ますと、晶文社、平凡社、ミシマ社という三社の合同フェアのようです。各社5点ずつ、三社で計15点のフェアです。新しい年度が始まって、自分の将来を考えようという学生に向けたフェアだとは思いますが、必ずしも学生だけではなく、大人にも読んで考えさせられるラインナップです。

そして、同じくこんなチラシで展開中のフェアもありました。「3年目の壁」フェアとでも呼びましょうか。

3年目と聞くと、あたしの世代では「3年目の浮気」という懐メロが思い出されますが、このフェアの見て、あの曲を思い出す人が果たして何人いるのでしょうか?

それはともかく、こちらは柏書房一社のフェアのようです、柏書房の営業部、3年目の方が壁にぶち当たって悩み抜き、そんな悩みを何とかしたいとすがった書籍たちを集めたもののようです。こちらは柏書房の本ばかり20点のフェアです。

どちらも、普通に並べたら、書店の中ではそれぞれ別の棚に行ってしまうような本を、こういう切り口で一堂に集めると、また違って面白さや発見が見えてくるのではないでしょうか。春先にとてもよいタイミングのフェアでもありますね。

記憶に残る愛の本

東京の西側、京王線沿線に展開する書店チェーン、啓文堂書店の店頭でこんな小冊子を配布していました。「記憶に残る愛の本」というタイトルで、各店でフェアを展開中のようです。

もともとは「記憶に残る本」というテーマで、昨年フェアを開催したところ好評だったので、こんどは「愛の本」に絞って「記憶に残る本」フェアPart2として開催していることらしいです。

愛なんて言葉、久しくどころか生まれてこの方使ったことがあるのでしょうか、というくらい愛に飢えているあたしには、なかなか魅惑的でもあり、切なく感じるフェアでもあります。

冊子を開くと各店が選んだ書籍が紹介されていて、コメントも載っています。どんなのが選ばれているのかは、店頭で展開しているフェアを見ればわかりますが、この冊子を見ればお店を離れても反芻することができます。

そんな店頭のフェアを眺めていて飛び込んできたのが、あたしの勤務先の刊行物、リディア・デイヴィスの『話の終わり』です。選んでくださった書店員さんの名前が明記されていないのが残念ですが、下高井戸店の選書です。ありがたいことです。

『話の終わり』は確かに愛をテーマにしていますが、果たして「愛の本」というタイトルでイメージするような「愛の本」なのでしょうか。いや、愛にはいろいろな形があるものです。「話の終わり」が描く世界も、一つの愛の形なのでしょう。と、愛とは無縁に半世紀以上を生きてきたあたしが語っても何の説得力もありませんが……

ちなみに、Twitterにもフェアの様子がいろいろアップされていますので、そのうちの一つ、吉祥寺店のつぶやきを引用しておきます。『話の終わり』は左下の方に並んでおります。

社会を変えるための(?)フェア

書店店頭でミニフェアをやっていて、こんなチラシが置いてありました。

なんとなく閉塞感の漂う現代社会にピッタリの企画ですね。ハッシュタグは「社会運動の現在形」となっています。SNSで検索すれば、いろいろヒットするのでしょうか?

チラシを広げてみますと、

そういえば、知ってたら協力できたのに…と思ったことはありましたよね。

そういえば、理不尽なこと、耐え続けてる人いますよね。

そういえば、非暴力で戦ってる人、いますよね。

そういえば、民主主義って ことば ありましたよね。

という惹句が踊っています。これだけを見ると、あたしの勤務先から刊行している書籍も一緒に並べてほしいなあと思ってしまいますが、このフェアはその書店の方が企画したものなのでしょうか? それともどこかの出版社が企画したフェアなのでしょうか?

このチラシには主催者とか問い合わせ先、発行元が書いてありませんが、多くの書店でやっているフェアなのでしょうか?

これくらいはフツーのことなのでしょうか?

何回もご紹介している近所の黄葉です。例年どおり、四本のうち二本が先に黄色くなってきました。毎年思うのですが、黄葉に時差が生じるのは何故なのでしょうね?

そして電信柱が邪魔だとか、電線を地中に埋設して欲しいとか、何度かこのダイアリーでも書きましたが、そういったものが写らない角度を探して撮ってみたのが右の写真です。如何でしょうか? 我ながらよい出来だと思っています。空に雲がないのがよい感じです。

さて話は変わって、先日書いた紀伊國屋書店新宿本店の件。3階のアカデミック・ラウンジで「渋谷教育学園渋谷中学高等学校 図書委員会の皆さんが選んだ<イチオシ洋書>フェア」が開催中です。中高の図書委員会がポップを書いて本をお薦めするという取り組みは、紀伊國屋書店に限らず多くの書店で見かける光景です。ですから珍しいことではないのですが、今回はちょっと驚きました。

まずタイトルをよく見てください、「洋書」なんです。あたしが高校の頃、洋書を手に取るなんてことはありませんでした。外国語に接するのは英語の教科書くらいでした。それなのに、ここの学校の図書委員の皆さんは洋書を推薦できるレベルなんですね。もう驚愕です。

そしてさらに驚いたのは展示されているポップです。なんと英語で書かれているのです。洋書を推薦するのだけでもすごいと思ったのに、さらにその推薦の辞が英語で書かれているなんて、どんな生徒たちなのでしょう?

リニューアルオープンです

紀伊國屋書店新宿本店は、長いこと耐震工事をしていました。3階の人文・社会のフロアがここしばらく閉まっていたのですが、ようやく工事も終わりオープンとなりました。

3階に足を踏み入れた瞬間、ぷーんと木の香りが漂ってきました。什器が一新されたのですね。新しい家に入ったときに、新しい畳の匂いを嗅ぐのに似た感じです。そして、長いこと新宿本店の3階を利用していたお客さんにとっては装いがガラッと変わってしまったので、最初は少し戸惑うかもしれませんね。でも、フロアは非常に明るくなりました。

さて、そんな同店の新装なった3階の一角で人文会のフェアが始まりました。写真はその様子です。会員各社のここ最近のヒット作が並ぶさまは壮観です。

ところで3階はトイレもきれいになったとか……

トイレの入り口にはこんなマークがありました。女性用トイレもほぼ同じデザインで、手に本を持った人文が描かれています。

このイラストを見たら、本を持ってトイレに入ってもよさそうな印象を受けますが、トイレの入り口扉にはしっかりと書かれていました、清算前の商品を持ち込むことはできないと。しかし、このイラストを見たら誤解を招きそうな気がします。

それは揚げ足取りかもしれませんが、こういう場所のトイレ、やはり日本はまだまだジェンダーフリーにはならないのですね。海外ドラマなどを見ていると、トイレに男性用も女性用もない場面が散見されるので、日本も徐々にそうなっていくのかなあ、なんて思いました。

生誕390年です

来月11月24日は哲学者スピノザの生誕390年にあたります。スピノザって、現在の哲学史ではどれくらいの重要人物として扱われているのでしょうか? 高校の倫理社会では必ず取り上げられる名前でしょうか?

そのあたりのことはわかりませんが、新書の世界では写真のとおり、これだけの書籍が刊行されています。最新のは岩波新書『スピノザ』です。講談社現代新書にも同じタイトルの『スピノザ』がありますね。

講談社現代新書は、同書以外にも『はじめてのスピノザ』『スピノザの世界』と三点もスピノザ本を出しています。編集部内によほどスピノザ好きの方がいらっしゃるのではないでしょうか? そして、あたしの勤務先からは文庫クセジュで『スピノザ入門』が刊行されています。

これだけ刊行されているにもかかわらず、中公新書からは出ていないのというのがちょっと不思議です。また、写真以外にも平凡社ライブラリーからも『スピノザ』という一冊が出ています。その他、著作の翻訳も加えたら、十二分にフェアの書目が揃いそうです。

チベット文学のいま

紀伊國屋書店新宿本店でこんなフェアをやっていました。

題して「チベット文学のいまを知る」です。

チベットと聞くと、多くの方はダライラマを思い出されるでしょうか? あるいは鳥葬の国をイメージされるでしょうか?

ちょっと海外事情に関心がある方なら、中国共産党による弾圧、そしてチベット亡命政府などのことを思い起こされることでしょう。

そんなチベットに文学なんてあるの? という疑問が浮かぶかもしれません。もちろんチベットにだってその土地の文学があるのだろうけど、日本語で読めるものはあるのですか、というのが多くの方の感想だろうと思います。あたしも確かにそんな印象を持ちがちです。

でも、このところチベット文学の翻訳もそれなりに増えてきているのです。このリーフレットにも「この10年で日本語で読めるチベット文学の作品が一気に増え、この春ついに10冊を超えました」とあります。

英米文学などに比べたら微々たる数ですし、SFを中心に盛んに翻訳されている現代中国文学と比べてもかなり少ない数ではあります。それでもチベットの文学作品が10作品も読めるというのは、さすが翻訳天国・日本という気がします。

政治情勢に絡めてチベットに関心を持たれる方も多いでしょうけど、文学作品からその土地や文化、そこに暮らす人々に興味を持つのも王道です。この機会に一冊でも手に取ってみては如何でしょうか?