30年以上前の作品だとは信じられない!

少し前に役者の岸本佐知子さんをお連れして、サイン本を作りに行った紀伊國屋書店小田急町田店。そこでは毎月のように、ちょっとしたテーマで文芸書や文庫を集めたフェアをやっていて、本好きの中で密かに楽しみにしている方も多いようです。

いま開催中なのがご覧のようなフェア。題して「文芸・文庫担当者による2025年下半期ベスト10」です。どんな作品が選ばれているかと言いますと……

金原ひとみ『マザーアウトロウ』(U-NEXT)/金原ひとみ『YABUNONAKA』(文藝春秋)/朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP)/古賀及子『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』(晶文社)/柴崎友香『帰れない探偵』(講談社)/マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ』(白水社)/梅﨑実奈『鴉は硝子のフリルで踊る』(河出書房新社)/小川洋子『続 遠慮深いうたた寝』(河出書房新社)/大崎清夏『いいことばかりは続かないとしても』(河出書房新社)/ゲアダルーペ・ネッテル『一人娘』(現代書館)

順位は付けていない10作品です。情けないことに、あたしが読んだことがあるのは『帰れない探偵』だけです。確かに面白い小説でした。面白いだけでなく不思議な読後感でした。

そして訳者訪問があったことがどれくらい効果があったのかはわかりませんが、『ダンシング・ガールズ』もランクインしています。ありがたいことです。

せっかく撮らせていただいた写真がピンボケなのはご愛嬌として、本書は30年以上前に発表された作品なのですが、最近の新作と言われても信じてしまうほどの作品です。こんな作品を30数年前に書いていたアトウッド、恐るべし。

担当さんのコメントに応えるわけでは、あたしもこの本を復刊できてとてもよかったと思っています。

三社フェアは人文会会員社でした

このダイアリーでも以前にご紹介した、東京の町田にある久美堂本店の三社フェア。現在はどんな三社で開催中なのかと覗いてみましたら、なんと人文会会員の三社が揃ってフェア開催中でした。

その三社とはご覧のように、春秋社、創元社、晶文社です。すべてサ行で始まる会社ですね。それを意図していたのか、たまたまの偶然なのか、あたしには判断する材料はありません(笑)。

それにしてもこの三社フェア、定着してきましたね。お客様も「次はどの出版社だろう?」と楽しみにしているのではないでしょうか。書店の棚には限りがありますから、ふだんはなかなか並べられないような本が、フェアだからこそ並んでいる。読者にはたまらない体験ではないでしょうか。

そんな三社フェアと背中合わせで開催中なのが朝日文庫のフェアです。こちらの文庫や新書のほぼ全点フェアもスタートして何年になるのでしょう。完全に久美堂の名物として、地元のお客様だけでなく、出版界でも知られたフェアになりましたね。

あたしの勤務先も三社フェアには参加しましたが、いつかは文庫・新書のほぼ全点フェアにも声をかけてもらいたいものです。とはいえ、出せるものも限られた中小出版社ではありますが……

そんな小田急線沿線の営業、町田の一つ先、相模大野駅の改札を抜けた先の広場に大きなクリスマスツリーが出現していました。あたしの記憶が正しければ、毎年出現しているはずです。

ツリー本体やデコレーションが毎年変わっているのか、それとも毎年使い回しなのか、そんなことはわかりませんが、毎年きれいに飾られているのを眺めているような記憶があります。たぶん過去にも写真を撮ったことがあるはずです。

多くの人が立ち止まってツリーを見上げ、そしてスマホを取り出して写真を撮っていました。少し離れないと上から下まで入らないくらい大きなツリーです。

脱線しながら?

書店回りをしていたら、店頭でシェイクスピア関連の書籍を集めたフェアをやっているのを見かけました。その棚のところに置いてあったのが画像の小冊子(パンフレット)です。

北村紗衣さんのセレクションによる「シェイクスピアを楽しむためのブックガイド」です。頭には「脱線しながら」とまで書いてあります。

シェイクスピアの翻訳はいくつか出ていますが、ちょっと視点を変えた選書になっています。朝日出版社から発売された北村さんの『学校で教えてくれないシェイクスピア』刊行記念のフェアのようです。

選ばれている16冊の中に、あたしの勤務先の『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』も選ばれています。これは北村さんの著作になります。

昔の名前で出ています?

もう行ってきて一週間になろうというのに、相変わらず金沢旅行のことばかり書いているので、ここらで心機一転、ちゃんと仕事をしていることを示すかのようなことを書きたいと思います。とはいえ、先週の今ごろは金沢で兼六園にいたのか、夕飯を食べに行く前でのんびりしていたのか、などと思い出してしまうのは致し方ないところです。

というわけで、業界のニュースでも大きく取り上げられているのでご存じの方も多いかと思いますが、東京の啓文堂書店府中本店が紀伊國屋書店府中店に変わりました。

啓文堂書店がチェーン全体で紀伊國屋書店になったので、それに伴う屋号変更の第一弾です。よりによって啓文堂書店の本である府中本店が一番最初に変わるとは驚きです。それを記念してなのでしょうか、同店で紀伊國屋書店のフェアが行なわれていました。

意外と知られていないのかもしれませんが、紀伊國屋書店は本屋ですが、出版社でもあるのです。その出版社としての紀伊國屋書店のフェアです。

そのお隣では晶文社のフェアが大きく開催中です。創業65周年のフェアなのですかね。並んでいる書籍全点にポップが付いていますし、既に売り切れてポップだけが置かれているアイテムも散見されました。

それにしても紀伊國屋書店府中店と言えば、かつて存在したのをご存じの方はいらっしゃるでしょうか。府中駅の南口、現在は喜久屋書店が入っているビルが、かつては伊勢丹府中店でして、その中に紀伊國屋書店が入っていたのです。伊勢丹府中店の閉店と紀伊國屋書店府中店の閉店、どちらが先立ったのか、あるいは同時だったのか、もう記憶が定かではないのですが、そういうわけで紀伊國屋書店府中店と聞くと、啓文堂書店が名前を変えたと言うよりも復活したという印象を受けてしまうのです。

駅ビルに啓文堂書店が出来、百貨店の退潮もあって紀伊國屋書店が閉店となり、府中では啓文堂書店の一人勝ち状態になっていたわけです。しかし時は流れて啓文堂チェーンが紀伊國屋チェーンと一緒になり、紀伊國屋書店を追いだしたはずの啓文堂が紀伊國屋になってしまうとは、治乱興亡、盛者必衰といったところでしょうか。

さて、金沢旅行が終わって日常の労働が戻ってきたあたしですが、その疲れを癒すかのように注文しておいた、与田祐希卒業コンサートのブルーレイが届きました。このコンサート、与田ちゃんの盟友、桃子がサプライズ登場したのが話題でしたよね。これはなんとも胸アツの演出ではないでしょうか。あの頃の泣いてばかりだった「よだもも」が懐かしいですね。

桜の森の満開の下

タイトルがカッコイイ作品ってどんなのがある? 営業に行った時に店頭で聞かれたのは何ヶ月前のことでしょうか。タイトルがカッコイイ小説を集めたフェアをこんどやるんだ、と教えてもらいました。

タイトルがカッコイイと言っても、それは人によって感じ方が違うし、完全な主観の問題です。だからある意味、何でもアリと言ったらアリなのかも知れません。もちろん内容と装丁と相俟ってタイトルが格好よく見える、感じられるものもあると思います。

そんなこんなでどんな本を選ぶかな、と思っていたら、いよいよそのフェアが始まるということを聞きました。冊子もできたということなので一部いただきました。それが右の画像です。フェアのタイトルは「タイトル魂」です。

表紙をめくると「開催の辞」が載っています。なんと559作品が集められているようです。もちろん(自画自賛?)、あたしの勤務先の刊行物も何点か選ばれております。順当に選ばれたものもあれば、へぇー、こんなのを選んでくれたのかとちょっと驚かされたものもあります。

たぶんこの週末からスタートだと思いますので、ご興味がおありの方は新宿東口へ足をお運びください。ちなみに、あたしは読んだことはないのですが(汗)、昔から坂口安吾の「桜の森の満開の下」というタイトルに惹かれます。桜が好きだからかもしれませんし、西行の辞世「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」が好きだからなのかもしれません。

本店で開催中です

少し前にこのダイアリーでご紹介した、久美堂玉川学園店の三社祭(柏書房、筑摩書房との三社合同フェア)ですが、少し前から町田駅前の本店へ移動して開催中です。

というわけで、同店を訪問してきました。このフェアは一階のレジ前という一等地どころか、特等地で開催されています。

お話を聞いたところでは既に補充をした銘柄もあるとのこと。玉川学園店とはまた異なる客層だそうで、売れ方にどういう違いが出るのか愉しみでもあります。

そして、この三社祭の裏側では、いやこちらが表なのでしょうか、まあ、どちらでもお店のいちばんよい場所であることに変わりはありません。

そこでやっているのは、ご覧のとおり、集英社新書の全点フェアです。横の方でちっちゃく岩波文庫のフェアも同時開催です。

この場所での文庫、新書の全点フェアをいろいろと見てきましたが、集英社新書は初めてではないかと思います。間違っていたらごめんなさい。集英社新書も興味深いタイトルが多いシリーズですよね。

10代の心を鷲摑み?

営業回りの書店の店頭でこんな冊子が置かれていたので、いただいてきました。「第一回 10代がえらぶ海外文学大賞」の冊子です。

第一回とあるように今年初めて行なわれた文学賞だそうです。2024年に刊行された、10代が主人公の海外文学が大賞なのだそうです。

そう言われてしまうと、あたしの勤務先の作品は10代が主人公の作品、最近は少ないですね。残念ながら、この冊子に載っている22作品に、あたしの勤務先の刊行物は含まれていませんでした。

『スモモの木の啓示』は主人公の少女は10代ですが、2022年刊行の作品です。『房思琪の初恋の楽園』は2024年刊ですが、実は親本の刊行が2019年なので対象にはならずでした。いま売れている『本と歩く人』の主人公の一人は9歳の女の子ですが、2025年の刊行ですから、やはりダメですね。

『歩き娘』は対象内だったかもしれませんが、10代が読むには重い内容だったでしょうか。こうして見ると、なかなかピタッとくるものがないものですね。来年に乞うご期待です。

早く買って読まなくちゃ、と思った次第です

テレビでも盛んに報じられているように、今日は土用の丑の日です。土用は、もちろん土曜ではなく土用で、実は土用は年に四回あるということも、ちょっと調べれば簡単にわかることでしょう。

また土用の丑の日に鰻を食べるという習慣も、江戸時代に平賀源内が考案したキャッチフレーズだということも、諸説あるかもしれませんが、比較的知られたエピソードではないでしょうか。とりあえず鰻は大好きです。

そんな暑さ厳しき今日この頃、書店でこんなフェアを見かけました。買わなきゃ、読まなきゃと思いつつまだ未入手、柴崎友香さんの新刊『帰れない探偵』のファです。東横線学芸大学駅前の今日文堂書店で見かけました。

同店では、四六判宣言やノンフィクションフェア、あたしの勤務先の110周年フェアを開催していただいているのですが、それらとは別のフェアで、ただあたしの勤務先の本が目に付くなあと思ってよくよく見てみたら柴崎のフェアだったというわけです。

店頭では、ご覧のようなチラシを配布されていました。写真ではわかりにくいかも知れませんが、A4判の大きさのチラシです。A3判二つ折りという、こういうチラシではかなり大きなものです。

表紙には「聞き手:講談社文芸第一出版部」とあり、講談社で柴崎さんにインタビュー(?)してまとめたもののようです。内容は柴崎さんによる各書籍に関するコメント、感想、推薦文です。

まずはポール・オースターの作品が三つ取り上げられていて、あたしの勤務先の『鍵のかかった部屋』が載っています。柴崎さん曰く、「初めて読んだオースターの小説は『鍵のかかった部屋』でした」とあります。

その他に、あたしの勤務先の刊行物ではゼーバルトの『移民たち』と『アウステルリッツ』、ジーナ・アポストル『反乱者』が取り上げられていました。また、あたしの勤務先の刊行物ではありませんが、パク・ソルメ『影犬は約束の時間を破らない』、呉明益『自転車泥棒』という、縁のある作家の作品も載っています。

話は戻って土用の丑の日。今日は鰻ではなく、穴子を食べてもよくはないでしょうか。鰻と穴子って煮ていません。ウナギ目アナゴ科ですから、ほとんど鰻と言ってもよいのではないでしょうか。夏バテ防止にスタミナをつけるのに、穴子と鰻でどれくらい栄養価が違うのかは知りませんが。

アジアへのとびら

アジアの本の会という団体をご存じでしょうか。その名のとおり、アジアに関する書籍を出している出版社の集まりです。毎年のように合同のフェアをやっていて、小冊子などもフェアの場で配布されています。

そして、その小冊子の2025年版と言うのでしょうか、こんな冊子が書店の店頭で配布されていたのでいただいてきました。題して「アジアへのとびら」です。

巻頭言に書いてありましたが、アジアの本の会が出来て、昨年で30年だったそうです。なので、本の紹介もありつつ、多くの方に寄稿してもらい、冊子に仕上げているのでしょう。

あたしは学生時代以来、中国学を専門にしていましたので、もちろんアジアにも関心を持っています。ですので、さらに視野を広げてくれる存在としてアジアの本の会のフェアはとても興味深いものです。ちなみに、アジアの本の会の会員社は(創立以来出入りがあったのかは知りませんが、現状では)明石書店、亜紀書房、花伝社、かもがわ出版、現代書館、高文研、春秋社、新泉社、新評論、築地書館、梨の木舎、めこんの12社です。

湘南にて

久美堂本店でのフェアの模様をご紹介しましたが、ジュンク堂書店藤沢店ではあたしの勤務先の創業110周年フェアが開催中です。

一枚目の画像がその様子です。拡材の一つ、特製しおりが早々となくなってしまったそうで、なかなかの注目度です。ありがたいことです。

最終的に書籍の売り上げがどのくらいになるのか、そちらも愉しみですが、まずは来店されたお客様がフェアに注目していただくの第一です。しおりやリーフレットがよく捌けているというのはよいことではないでしょうか。

そんなジュンク堂書店藤沢店ですが、語学書コーナーの一角では、雑誌ふらんすの創刊100周年フェアも同時開催中です。

こちらはふらんすのれんんさくから生まれた書籍を中心としたフェアとなっています。雑誌のふらんすもなんと創刊100年ですから長い歴史のある雑誌ですね。

抽選で当たる読者プレゼントの応募も順調に伸びているようで、神奈川の湘南方面にお住まいの方であれば、同店で購入いただければ応募ができますので、どうぞよろしくお願いいたします。