別にホラーではありません

月末に配本予定の『すてきなモンスター』はこんな装丁です。著者自身のイラストをあしらっています。

「モンスター」というタイトルですが、決してホラー作品ではありません。古今東西の小説の登場人物に関するエッセイです。知らない登場人物もいると思いますが、「えっ、こんな人まで取り上げているの?」という登場人物も出てくると思います。

カバーを外すと表紙にはご覧のように、これまた著者によるイラストがあしらわれています。本書で取り上げた登場人物たちを描いたものです。

このイラストは本をひっくり返した裏表紙にまで続いています。担当編集者曰く、二人ずつ向かい合うように配置しています、とのこと。どうぞこんなところもお楽しみください。

ここでちょっと目次をご紹介しますと、

ムッシュー・ボヴァリー/赤ずきんちゃん/ドラキュラ/アリス/ファウスト博士/ガートルード/スーパーマン/ドン・ファン/リリス/さまよえるユダヤ人/眠れる森の美女/フィービー/性真/逃亡奴隷ジム/キマイラ/ロビンソン・クルーソー/クィークェグ/独裁者バンデラス/シデ・ハメーテ・ベネンヘーリ/ヨブ/カジモド/カソーボン/サタン/ヒッポグリフ/ネモ船長/フランケンシュタインの怪物/沙悟浄/ヨナ/人形のエミリア/ウェンディゴ/ハイジのおじいさん/かしこいエルゼ/のっぽのジョン・シルヴァー/カラギョズとハジワット/エミール/シンドバッド/ウェイクフィールド

こんな感じです。「ああ、これはあの作品ね」とすぐわかるものもあれば、「こんなの聞いたことないよ」というものまで、あたしの知識では半分もわからないです。

表紙と裏表紙のイラストは、各登場人物の最初の部分に乗っていますので、どれが誰なのか、読みながら答え合わせをしてみてください。

この本で取り上げられた人物に興味を持って、そこから作品へ向かうなんていう方も多く現われることを密かに期待しています。あたしもちょっと気になる人物が数名おります。

半年でお釈迦になりました(涙)

ここ数年、仕事で使っているカバンはリュック型です。時にノートPCを持ち歩くことも踏まえると、肩掛けのカバンは体力的にもキツいなあと感じたのがその理由です。

ただ、使いやすいカバンというのは、なかなか見つかりません。お店で見ても、帯に短し襷に長しというものが多く、なかなかこれというカバンが見つかりません。

騙し騙しいろいろなカバンを試しましたが、リュックは肩掛けタイプよりも選択肢が少ないと感じます、特にビジネスユースでは。やはり書店営業という、重たい注文書を持ち、お店に着くごとに出し入れをするという用途ですと、使いやすいものは肩掛けにしろ、リュックにしろ見つからないものです。

で、これも満足というわけではありませんが、そこそこ気に入って使っていたリュックが壊れました。写真をよーく見ていただくとお気づきになるかと思いますが、ファスナーの片一方が外れてしまったのです。こうなってしまうと素人には直しようがありません。購入したお店で修理してもらえるのでしょうか。

買ってから、つまり使い始めてからまだ半年なのですが、こうも呆気なく壊れてしまうとはちょっと困りものです。明日からは以前使っていて今は使わなくなったカバンを部屋の奥から引っ張り出してきて、臨時的に使おうと考えています。早いうちに新しいリュックを見つけなければ!

海外文学はブームなのか?

あたしの勤務先の海外文学シリーズ《エクス・リブリス》は今年刊行15年を迎えました。目標であり、モデルでもある新潮社の《新潮クレスト・ブックス》は1998年スタートなので、既に四半世紀を超える歴史があります。両シリーズの切磋琢磨で、書店の海外文学の棚の活性化にそれなりの貢献ができているのではないかと手前味噌ではありますが、そう自負しております。

ただ、ここ数年、新しい海外文学のシリーズが各社から続々と登場しております。台湾文学では、書誌侃侃房から《現代台湾文学選》、作品社から《台湾文学ブックカフェ》が刊行されました。

人気の韓国文学では、晶文社《韓国文学のオクリモノ》、亜紀書房《となりの国のものがたり》、クオン《新しい韓国の文学》があります。

そしてつい最近刊行がスタートしたのが、まずは春秋社の《アジア文芸ライブラリー》で、現在のところ3冊刊行されています。そして晶文社からは《I am I am I am》がスタートしたところで、現在二冊刊行されていて、11月に三冊目が刊行されるそうです。

実際のところ、海外文学には根強いファンがいますが、市場として大きいかと言われると微妙です。もちろん『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)のように社会現象を巻き起こす大ヒット作品も生まれていますが、そういう作品は稀です。しかし、こうして多くの出版社が参入してくることで、いろいろな国の、まだ知られていない作家が紹介され、それによって海外文学ファンの裾野が広がることが期待できます。それは回り回って、既刊の海外文学によい影響を及ぼすでしょうし、書店や出版界が元気になる一助になるだろうと期待しています。

並べてみると面白いかしら?

外回りをしていたら、書店店頭でこんな本を見かけました。

別冊太陽の『発禁本の世界』です。まだ刊行されて間もない本ですね。

明治期から戦時下にかけて、当局の検閲により「発売頒布禁止」の処分を受けた「発禁本」。その蒐集家・研究家として知られる城市郎氏の貴重なコレクションを多数掲載

という内容です。つまり扱っているのは、日本の発禁本ですね。

そして、この別冊太陽と相前後して、あたしの勤務先から『禁書目録の歴史 カトリック教会四百年の闘い』という一冊が刊行されました。こちらは

本書は、悪名高いカトリックの「禁書目録」の歴史を総合的に扱った初めての書籍である。禁書目録は16世紀の成立から400年にわたる、検閲の歴史上おそらく最も長い歴史を持つ。プロテスタントの著述家の脅威に対し各地で作られた禁書リストに始まり、バチカンに目録省が設立され、恒常的な検閲組織となった。「アートとゴミ」を区別し、「ジャンク」サイエンスやペテン師を暴き、「フェイクニュース」を抑制することを目的としたこの制度は、カトリック諸国の文化的、科学的、思想的発展を阻害したとされ、プロテスタントによる攻撃や侮蔑の対象ともなった。しかし一方で、作成に携わった多くの聖職者、当時の一流の神学者の深い学識と真摯な気持ちを反映したものであったのも事実である。

という内容ですから、扱っているのは西洋の禁書です。時代も場所もまるで異なりますし、両書の判型も違うのですが、せっかく同じタイミングで刊行されたのですから、発禁、禁書というテーマの親和性に免じて、一緒に並べてみるのは如何でしょうか。

忘れてはいけない……

日本では3月11日の東日本大震災によって上書きされてしまった感がありますが、11日というと、それまでは9月11日のニューヨーク同時多発テロを思い出すことが多かったはずです。

そんな同時多発テロを扱ったピュリツァー賞受賞の翻訳書『倒壊する巨塔』を刊行したのが、ついこの前のことのように感じられます。

ついこの前というのは実は正しくて、一枚目の写真は最初に出版した『倒壊する巨塔』ですが、それはしばらく品切れになっていって、つい最近新装版として刊行されたのが二枚目の『倒壊する巨塔』です。2001年ですから、今の若い人は記憶がないかも知れませんが、あたしたちはテレビ報道にかじりついて、「これは映画のワンシーンか」という映像に衝撃を受けたのを覚えています。これがその後の世界情勢の不安定化の始まりでしたね。

そして、ニューヨークのテロから20数年たってどんどん崩れ去っているのは街の書店です。いや、ヨーカドーとか地方の百貨店など、書店以外もどんどん無くなっています。じゃあ、何が残っているのかと問われると、限界集落なのでしょうか。

そして最近もまた一軒。東京の渋谷と自由が丘の間、東横線の祐天寺駅前にある王様書房が閉店してしまいました。既に中は空っぽで、少し前まで本屋だったなんて「BOOKS」という文字を見なければわからないのではないでしょうか。

入り口のガラスの引き戸に店主口上が貼ってありました。8月末で閉店だったそうです。

王様書房は、昔からある駅前の本屋さんという雰囲気で、あたしの勤務先の本も並べてくれていましたし、客注の電話がしばしばかかってくるような書店でした。とても残念です。

確かに、本を買うのであれば渋谷や横浜に出てもよいですし、沿線にはいくつも書店があります。祐天寺から電車で通勤通学している人であれば、さほど不便を感じないのかも知れません。しかし、滅多にお出かけしない、地元密着の方にとっては、ここがなくなってしまうと本を買うにはどこへ行けばよいのでしょう。

地方だけでなく、東京でもこうして本屋がどんどん消えているのです。むしろ周辺人口比で考えると地方よりも東京の方が「ゼロ本屋問題」は深刻なのかもしれないですね。

こんなことでは営業マン失格かしら?

少し前に北海道のアサヒメロンを買ってみた、ということを書きました、先日姪っ子たちが遊びに来たときに食べてみたのですが、まだちょっと硬くて、甘さも十分とは言えませんでした。二つ買ってあったうちの一つを姪っ子たちに持たせてやったのですが、昨日連絡があり、とても美味しく食べたとのこと。やはり前回は食べるにはまだ早かったのですね。

ところで、その時はアサヒメロンでしたが、実はあたしは静岡のクラウンメロンを食べてみたいと、ここ最近はずーっと思っているのです。静岡のメロンなので妹に「近所で探してみて」と言ってあるのですが、やはりスーパーとかでは見かけないようです。

クラウンメロンを食べてみたいなあと思っていたら、コンビニでこんな商品を見つけました。ブルボンのアルフォートです。クラウンメロンそのものではありませんが、クラウンメロンの雰囲気だけは味わえるのではないかと思って買ってみました。

上品な香りと甘みのあるクラウンメロンチョコレートを、ザクザクとした食感の全粒粉入りビスケットと組合せました。クラウンメロンの気品あふれる味わいをお楽しみください。

メーカーのサイトには上記のように書いてありました。これを読むと、ますますクラウンメロンが食べたくなります。高級メロンなのか、庶民的なメロンなのか、ネットでお取り寄せしてみますかね。

ところで、『東京わざわざ行きたい街の本屋さん』が刊行されたので買ってみました。著者は和氣正幸さん。どこかで聞いた名前と思った方はすばらしい!

先日発行した『人文会ニュース』の最新号(147号)で、独立書店について寄稿していただきました。タイトルに東京とありますが、埼玉、千葉、神奈川の書店も載っています。

それにしても、これだけいろいろな書店が紹介されているわけですが、行ったことがある書店はほんの数店です。書店の名前くらいは聞いたことがあるという本屋もわずかです。これだけ頑張っている書店があるというのに、書店営業として訪問はおろか、名前すら知らないとは、営業マン失格と言ってよいでしょう。

新刊が刊行されました、但し他社から!

河出書房新社から『中国の反体制活動家たち』が発売されました。この手の中国モノはついつい手が伸びてしまいます。公式サイトには

中国の公式記録から消された飢饉、民族差別、大虐殺、疫病などの過去100年にわたるさまざまな事件を史実として明るみにし、静かに抵抗してきた文化人たちの地下活動の全貌を初めて紹介。

と書いてあります。必ずしも現代中国の、習近平体制になってからの抑圧、弾圧を取り上げているのではなく、建国以来の歴史を振り返ったノンフィクションのようです。これはこれで楽しみな一冊です。

そして著者はイアン・ジョンソン。どこかで聞いたことある名前だなあと思った方は記憶力がいいですね。そうです、あたしの勤務先から刊行した『信仰の現代中国』の著者で、ピュリツァー賞も受賞しているジャーナリストです。こちらは

弾圧から緩和、引き締め、そして包摂へ―毛沢東以来、共産党支配下における政治と宗教の関係は常にある種の緊張状態にある。本書は、この緊張状態の根源にあるものを掘り起こし、信仰と伝統行事のあり方を通して中国社会のもう一つの姿を描いたノンフィクションである。

という内容の一冊で、著者が中国に滞在していたごく最近の中国が舞台となっています。ここまで中国民衆の中に入り込んで取材するのも、現在の中国では非常に難しくなっているようですね。こんな体制が続くようであれば、外国人による良質な中国ノンフィクションが生まれなくなるのではないでしょうか。もちろん、習近平と中国共産党にとってはそれが狙いなのでしょうが。

ファクター

書店営業に出ていると、書店店頭で「こんな本が出ていたのか!」「予告されていたあの本、遂に発売されたのね!」と思うことがしばしばあります。翻訳書の場合、版権を取得できなかった企画が他の出版社から刊行された、ということもあります。そんな時は「この値段、こういう装丁で来たか」と思ったりすることも多いです。

そんな中、こんな本を見かけました。『中国ファクター アジア・ドミノの政治経済分析』です。どんな内容の本かと言いますと、

台頭した中国はどのように影響力(パワー)を行使しているのか、インド太平洋の国や地域はどのように認識し、対応しているのか――。現地調査の結果なども踏まえて、影響力拡大をめぐる地域内の葛藤を分析。

と書いてあります。東南アジア諸国を中心に、その国における中国の影響力を分析した本です。しかし、このタイトル、見覚えがあります。

それがこちら、あたしの勤務先から数年前に刊行された『中国ファクターの政治社会学 台湾への影響力の浸透』です。同書はサブタイトルからもわかるとおり、台湾における中国の影響力を分析したものです。内容紹介にも

政治から経済、観光から宗教まで、日常生活のいたるところに浸透しながら、実態をとらえがたい〈チャイナ・ファクター〉とは何か?

とあります。どちらも正題に注目すると「中国ファクター」というタイトルがキーワードになっていますが、扱っている地理的範囲が異なるようです。もちろん一番影響を受けているのは大陸中国が自国の領土だと主張してやまない台湾なのでしょう。そういう切実さを背景に台湾で刊行されたものを翻訳したのが後者です。

ただ、両書の刊行の順番などを踏まえると、その影響力が台湾のみならず、じわじわとアジアに広く浸透しているのだろうと思います。もちろん、日本も例外ではないはずです。前者では最終章で日本も取り上げられています。両者は併せ読むこと必要がありそうです。

半休とは?

昨日と今日、午後から半休を取りました。

昨日は母の大学病院通院に付き添うための半休で、今日はあたし自身の胃カメラ検査のためです。

今日の午前中は会議などもありましたので出社しましたが、昨日の午前中は在宅勤務にしました。

その昨日の在宅勤務ですが、いつものように起きていますので、そして通勤という苦痛もないので、朝の5時から仕事を始めていました。そして昼までですので12時まで自宅で働きましたが、そうするとそれだけで7時間働いていることになります。

これって半休じゃなくて、在宅でフルに働いたことになりませんかね?

とはいえ、月火と外回りができていないので、明日から猛暑の中、また外回りを頑張らないとなりません。

忙しなく、落ち着かない……

先週の月曜日から水曜日まで関西ツアーでしたが、こんどは明日から金曜日まで中四国へ出ます。

なので、その準備で今日一日はとにかくバタバタしていた気がします。

今回のツアーは、まず広島に入って、そこから倉敷、岡山と東へ向かい、四国へ渡って丸亀、そして徳島という行程です。人文会の研修旅行ですが、四名で行くこぢんまりとしたものです。

広島、倉敷、岡山は数年前にも行っていますが、徳島は何年ぶりでしょう? 以前に訪れてから、たぶん10年近くたっていると思います。その時も人文会の研修旅行でした。

さて、今回はどんな経験が出来るのでしょうか?