今日の配本(22/08/29)

キューバ・ミサイル危機(上)
広島・長崎から核戦争の瀬戸際へ1945-62

マーティン・J・シャーウィン 著/三浦元博 訳

1962年10月のキューバ・ミサイル危機は、核戦争(最終戦争)が一触即発で起きかねない13日間だった。本書はその「一触」が、実はほんの偶然の積み重ねで回避されていたことを明らかにした大作だ。米国の国家安全保障会議、国防総省、統合参謀本部の会議録、関係者の個人メモ、回想録、解禁されたソ連共産党幹部会の議事録など、豊富な史料を網羅して、米ソ両政権の内部とカリブ海の現場で何が起きていたかを立体的に描き出し、手に汗握る日々が展開される。

ジャック・デリダ講義録 生死

ジャック・デリダ 著/吉松覚、亀井大輔、小川歩人、松田智裕、佐藤朋子 訳

生死をめぐる「差延」の論理! 性的差異、自伝、二重拘束、補綴、隠喩……デリダ的な圧巻のテーマが語られてゆく、驚くべき講義録。

天工開物

平凡社ライブラリーの『天工開物』を落手しました。中国史を専攻していれば必ず聞いたことのある書籍です。内容紹介を引用しますと

穀物・衣服・染色から製塩・製紙・醸造・兵器に至るまで、あらゆる産業を網羅した中国明代の百科全書。長い歴史のなかで培われてきた知恵と技術を120余点の挿図とともに詳述。

というもので、図版が売りの古典と言えばまずは『三才図会』を思い出すと思いますが、『天工開物』はより生活に密着したものです。

ところで、この『天工開物』は平凡社の東洋文庫で出ていました。ただ、どういうわけか、あたしはそちらを購入していなかったもので、今回ようやく手に入れた次第です。

なんで、買っていなかったのかと考えますと、原書を持っていたから、というのが大きな理由かもしれません。それが左の写真です。中国から刊行されたリプリント、いわゆる影印本というものです。

これは『天工開物』だけでなく、右の写真のように、図版がメインの古典をいくつか集めて一つの叢書としたものでした。上海古籍出版社から出ていたのですね。

三礼図、聖蹟図、列仙全伝などのタイトルが見えると思います。こういう図版がふんだんに入っている書籍は見ているだけで楽しいものです。

ところで上に名前を出した『三才図会』がこのシリーズ全4巻には見当たりませんが、さすがにこれだけ有名な古典になりますと、単独で影印本が刊行されていまして、もちろん、あたしはそれも架蔵しております。『三才図会』はそれだけで全3巻になります。それも同じく、上海古籍出版社から刊行されていたものです。

2022年8月28日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

辞書の話の続きを少々

先日、学生時の英和辞典について、このダイアリーに書きました。

曰く、持って帰るのが面倒なので、同じ辞典の卓上版を自宅用に購入した。曰く、学校指定、先生推薦の辞典は買わない、使わない。

ところで、先日書いたのはあくまで英和辞典の話です。あたしは大学時代に中国思想を専攻していたので、漢和辞典をよく使っていました。そして漢和辞典となると、学校指定の辞典は買わない、といった話ではなくなります。まあ、大学の専門課程ですから、学校指定の辞典なんてありませんけど。

大学でも語学の場合は先生推薦の辞典というのがあるようです。あたしが社会人になったころは、諸外国語の辞典も各社が競って作っていた時代で、勤務先の主力であるフランス語の辞典も主に次の三つの辞典がしのぎを削っていました。

すなわち『ディコ仏和辞典』『クラウン仏和辞典』『プチ・ロワイヤル仏和辞典』の三つです。先生の多くは、「この三つの中のどれかを買いなさい」といった比較的緩い推薦の仕方をするので(三つの辞典の編著者別ですが)、われわれ営業が大学内の書店に自社の仏和辞典をしっかり置いてもらえるように努力をしていたのです。

一般教養でフランス語を選択した学生であれば、確かにこの三つのうちのどれか一つを購入すれば事足りるでしょう。でも、フランス語、フランス文学専攻生であれば、三つとも購入するのが常識ではないかと、あたしなどは思っていました。だって、辞書は引き比べることに意味があるわけですから。

というわけで、上述の漢和辞典です。あたしは中国思想の専攻生でしたから、漢和辞典を何種類も持っていました。もちろん日本語誇る漢和辞典である大週間書店の『大漢和辞典』も架蔵していました。また学生時代に中国で刊行された『漢語大字典』(全8巻)、『漢語大詞典』(全12巻)も架蔵しています。

その他にも、日本で刊行されている中型の漢和辞典、現在では10種類ほどを持っております。そんなに持っていて全部使うの、と聞かれると、やはり日常的によく使うのは一つか二つに絞られます。

ただ、辞書を引いてもいまひとつ納得しなかったときに他の辞書に当たってみるのです。また辞典それぞれに創意工夫がこらされた付録も、いろいろな辞典を買う楽しみでもあります。どんな付録が付いているかで編者のセンスがわかるというものです。

2022年8月27日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

パリ入城!

8月26日はドゴールのパリ入城の日なのだそうです。

第二次世界大戦で、フランスって意外とあっさりとドイツに降伏してしまったんですよね。だからこそレジスタンス側も必死になったのかもしれません。

そんなフランス側が、自国からドイツを駆逐するために奮闘し、史上最大の作戦を経てようやくパリを取り戻し、この8月26日にパリでドゴールによるパレードが行なわれたわけです。

パリ解放を主導した救国の英雄ドゴールについて知りたい方には、『シャルル・ドゴール伝(上)』『シャルル・ドゴール伝(下)』をお薦めいたします。A5判の巨冊ですが、ドゴールについて知るには、外せない一冊、いや上下本なので二冊です。

上で「救国の英雄」と書きましたが、ドゴールのフランスにおける評価ってどんなものなのか、個人的には非常に興味があります。毀誉褒貶、かなり振れ幅が大きな人物ですよね。だからこそ本書は、膨大なの資料に基づいて執筆された、中立で客観的なドゴール伝になっているようです。

ところで、パリ解放は1944年の8月19日から25日にかけて行なわれた戦闘ですが、そんなパリ解放をメインに扱っているのが『パリ解放1944-49』です。

タイトルからもわかるとおり、解放戦争だけでなく、その後のパリの復興、戦後の歩みも網羅した一冊です。

その解放に沸くパリで重要な舞台となったのがノートルダムです。2019年に焼け落ちてしまいましたが、パリの歴史を見つめてきた大事な建築であり、場所です。

そのノートルダムについて詳しく知りたい方には、『ノートルダム フランスの魂』が最適でしょう。なぜ「フランスの魂」と呼ばれるのか、きっとわかると思います。

11月1日ではなくて?

Googleのトップページ知ったのですが、本日8月26日は犬の日なんですね。正確に言うと「世界犬の日 National Dog Day」と言って、アメリカで制定されたようです。

日本ですと「ワン、ワン、ワン」の語呂合わせで11月1日が犬の日ですけど、世界に目を向けるといろいろと違うものが見えてきます。ということで、あたしの勤務先の刊行物から犬に関するものをいくつかご紹介します。

まずは中国の作家、閻連科の『年月日』です。飢饉に苦しむ農村を舞台に、村人も去ってしまった村でおじいさんと目の見えない痩せ犬が必死のサバイバルを繰り広げる物語、犬好きなら涙がちょちょ切れること必死の作品です。

続いてはガラッと変わって『フラッシュ 或る伝記』、ヴァージニア・ウルフの作品です。こちらは犬種がわかっていまして、コッカー・スパニエルです。このコッカー・スパニエルのラッシュの目を通して見た世界が描かれます。

公式サイトの紹介文にもあるように、「犬好きによって書かれた本というより、むしろ犬になりたいと思う人によって書かれた本」というのがまさしくピッタリな小品です。

以上の二点は新書サイズの白水Uブックスの海外文学でしたが、次に紹介する『神は死んだ』は単行本、《エクス・リブリス》の一冊です。短篇集なので、すべてが犬にかかわる作品ではありませんが、犬にかかわる作品はかなり異色です。

神(砂漠で野垂れ死んだキリスト)の肉を食べたために知能が発達した犬が登場します。そんな犬への取材を試みたのが「神を食べた犬へのインタビュー」という一篇です。キリスト教世界では「神が死んだ」というインパクト、そしてその肉を犬に食われてしまったという衝撃がかなり話題になったのではないでしょうか? この邦訳もよく売れました。

最後に、ノンフィクションを二点ご紹介します。

まずは『愛犬たちが見たリヒャルト・ワーグナー』です。あのワーグナーが犬好きだったというのは、ワーグナーのファンであれば周知のことなのでしょうか? あたしは不勉強で知りませんでした。

本書はワーグナーの評伝ではありますが、そのワーグナーの愛犬の目を通して見たという設定が秀逸です。上掲の『フラッシュ』と読み比べてみるのも面白かもしれません。

最後は、現在品切れではありますが、『戦禍のアフガニスタンを犬と歩く』です。タリバン政権崩壊直後の冬のアフガニスタンを犬と共に踏破したノンフィクションです。アフガニスタンの現状、人々の暮らし、戦火の爪痕など、アフガンの混乱状態が見て取れます。

こうしてみますと、犬というのは楽しいときも辛いときも、人間のそばに寄り添ってくれているのだなあと実感します。それが犬の宿命なのでしょうか?

なお「犬」ではありませんが、あたしの勤務先からは「オオカミ」に関する本も数多く出しております。ご興味のある方はそちらも是非手に取ってみてください。

今日の配本(22/08/26)

未来救済宣言
グローバル危機を越えて

イアン・ゴールディン 著/矢野修一 訳

マイケル・サンデルら激賞。新自由主義の40年から訣別し、不平等から気候変動まで〈新しい社会〉に赴くための世界的権威の処方箋。

今日の配本(22/08/25)

つながるベトナム語会話

田原洋樹 著

相手によって「私」の言い方も変化する。使い分けることで自然なベトナム語が身につく初めての会話集。ベトナム各地域の表現も収録。

フォレスト・ダーク

ニコール・クラウス 著/広瀬恭子 訳

現役時代は実利主義だった弁護士。カフカの遺稿と秘密の人生に遭遇する女性作家。砂漠で変容を遂げる大人の自分探し。柴田元幸氏推薦。

ゴーリーの挿絵が入っています!

欅坂46から櫻坂46に改名してどのくらいたったのでしょう? その櫻坂46に、新二期生として加入した守屋麗奈のファースト写真集をゲットしました。

守屋麗奈、ファンの間では「れなぁ」の愛称で親しまれているメンバーです。今回は通常盤カバーと楽天ブックス限定カバーの二冊です。容姿については、人それぞれ好みがあるでしょうけど、まあふつうにカワイイ、きれいだと言われるタイプだと思います。

女子大生らしいですが、きちんと大学に通えているのでしょうか? 見てくれはともかく、身長はちょっと低め、モデルのような抜群のプロポーションというわけではありませんが、愛嬌はバッチリです。坂道ファンの間では「れなぁは櫻坂というよりも、乃木坂タイプではないか?」という意見も聞かれますが、彼女が加入した合同オーディションでは、乃木坂46はスラッとした高身長のメンバーを選んだようなので(例外が数名いますけど)、そのためにれなぁは乃木坂に選ばれなかったのかもしれません。もちろん、本人が三つの坂道グループのどこを志望していたかはわかりませんが……

と、アイドルの写真集についてはさておき、勤務先の新刊のご案内です。

来月初旬に配本予定の海外小説『アーモンドの木』の見本が出来てきました。エドワード・ゴーリーの挿絵があしらわれた一冊になっています。

本書のタイトルは『アーモンドの木』ですが、それで思い出したのが韓国の小説『アーモンド』です。こちらは大ヒットしたガイブンです。

ただ単に「アーモンド」という言葉が共通しているだけで、作品世界に何の関連もありませんが、「海外小説は何を読んだらいいかわからない」とぼやいている人には、こんなタイトル繋がりで次の作品を選んでみるのも面白いのではないでしょうか?

本を刊行するのも報道の一種なのかもしれない

数ヶ月前に、テレビでミャンマー情勢について伝えていました。世間では、ロシアによるウクライナ侵攻がトップニュースで連日取り上げられ、世界的にもこの武力侵攻に対する介入、制裁が発動されています。

その一方で、もう一年になる軍事クーデター以降のミャンマー情勢については、最近ではほとんど報道されません。最近になり日本人ジャーナリストが拘束されたというニュースが飛び込んできて、「ああ、そうだ、ミャンマーも情勢不安なんだ」と思い出した方も多いのではないでしょうか?

あたしが見たテレビ番組も「ウクライナにばかり世界の関心が注がれて、ミャンマーは忘れられている」という、現地で抵抗運動を行なっている人々の声を紹介していました。どうしても自分の身近の出来事でないと忘れがちになってしまうものです。昨今の旧統一教会と政治家の問題にしても、「最近は報道もされていなかったから」という政治家の「言い訳」がずいぶんと聞かれましたね。

そんな中、岩波新書から『ミャンマー現代史』が刊行されました。そういうテーマの本を刊行するというのは、テレビや新聞が報道するのと同じように大切なことだと思います。現在の書店店頭はウクライナやプーチン、ロシアに関する本が、それこそ雨後の筍のように並んでいます。よくもこの短期間にこれだけ出したものだと、つくづく感心します。

しかしその反面、ミャンマー情勢に関する本がこの間どれだけ刊行されていたでしょう? そんな中での岩波新書、さすがは岩波書店だと思います。