王徳威、高嘉謙、黄英哲、張錦忠、及川茜、濱田麻矢 編
近年注目を集めている華語文学の新たな流れを紹介するシリーズ〈サイノフォン〉第一巻。ここでいう「華語」とは、広く諸方言も含めた中国語を指し、世界各地の華人コミュニティや中国国内において、多元的、流動的、混成的に用いられる。二十世紀以降のグローバリゼーションの波と華文文化の発展によって生み出された文学は、従来の中国中心主義の「中国文学」の括りに収まらない。サイノフォンとは、中国大陸を含め、東南アジアに根をおろし、枝葉を茂らせる華語文学の多様で豊かな広がりと声の響き合いを重視した文学概念である。
游珮芸、周見信 著/倉本知明 訳
一九六〇年、ようやく釈放された蔡焜霖は幼馴染の「きみこ」と再会し、結婚する。「前科」のために就職にも苦労したが、やがて漫画雑誌の編集者となると、新たなアイディアを次々と実現し、児童雑誌『王子』を創刊するなど八面六臂の活躍をみせる。だが、その陰には常に「人より一〇年出遅れている」という思いがあった。
家永真幸 著
ちょうど50年前の1972年10月、日中友好の証として、上野動物園に2頭のパンダがやってきた。しかし、中国がパンダの外交的価値に気づいたのは、1930年代にさかのぼる。戦争と革命、経済成長の激動の歴史のなかで、パンダはいかに世界を魅了し、政治利用されてきたか。パンダを主人公にこの100年あまりを読み直す、異色の中国近代外交史。

社会主義前夜
サン=シモン、オーウェン、フーリエ
中嶋洋平 著
格差によって分断された社会を、どのように建て直していくべきなのか。革命の焼け跡で生まれた、”空想的”でも”社会主義”でもない三者の思想と行動を描く。

アイルランド現代史
独立と紛争、そしてリベラルな富裕国へ
北野充 著
多彩なビールやウイスキー、作家・ジョイスの祖国、ラグビー強豪国としても知られるアイルランド。同国は約七〇〇年のイギリス支配の後、一九二二年に独立を勝ち取るも、貧困や人口流出、北アイルランド紛争などの困難に直面してきた。しかし、一九九〇年代半ばからの高度経済成長を経て、リベラルな富裕国となった。アイルランドはいかにして変身を遂げたのか。独立後の現代を中心に、苦心と奮闘の歴史を辿る。
山口謠司 著
「あ゛」「ま゛」といったマンガやネットに溢れる「ありえない日本語」。現代は感情を的確に表現するうえで、発音と表記の間にズレが生じており、それを埋め合わせるべく今日もどこかで前衛的な表現が生まれている。それは「五十音図」が誕生した平安時代さながらの状況であり、一〇〇〇年に一度の転換期なのかもしれない。本書は、古代の万葉仮名、「いろは歌」、江戸~明治の文学、学校の国語教育、現代のマンガにいたるまで史実にもとづいて日本語の進化の謎に迫る。この歴史の旅を通じて、「お」と「を」、「は」と「わ」、「じ」と「ぢ」の違いなど、日本語理解が深まる一冊。学校が教えてくれない「あいうえお」の世界へようこそ!
谷崎潤一郎 著
美しき人魚を賛美する南京の貴公子、魔術師に魅せられ半羊神と化す妖しい世界に遊ぶ名作。水島爾保布の挿画を完全収載。〈解説〉中井英夫をそのままに、前田恭二による「水島爾保布小伝」を新しく追加。〈註解〉明里千章。
林恭子 著
「家族と同居する中年男性」ばかりじゃない! 8050問題の陰に隠れた、女性や性的少数者、困窮の実態に迫る。そして、家族や支援者に伝えたい本音とは――。
閻連科 著/泉京鹿、谷川毅 訳
ある日突然、村人に夢遊病が流行する。欲望をさらけだし、略奪や殺人を犯す人々。14歳の少年が見た白日夢の世界。紅楼夢賞受賞。
本田済 訳
人間は利のために動く。君臣の間に愛はない。徹底した現実主義的人間観に基づく実践的君主論にして、春秋戦国の乱世下に法家が磨き上げた統治思想の極致。「矛盾」「守株」など秀逸な譬えを交える軽妙さ、
理想的統治を語る峻厳さ、儒家への鋭い批判、そして不合理な現実政治への悲憤。抑揚に富んだ語り口を生き生きと伝える碩学の名訳で、全文を読む。