先にこっちを読むべし?

呉明益の新刊『眠りの航路』は、眠り、睡眠がキーになっている作品です。

決して『名探偵コナン』の「眠りの小五郎」をもじったわけではありません(汗)。

それはともかく、眠りがキーワードではありますが、戦時中日本軍に徴用され日本の兵器工場で働かされた台湾人の悲哀がベースとなっています。ただ「訳者あとがき」にもあるとおり、悲哀ということで戦争を非難しているとか、日本国の戦争犯罪を告発しているとか、そういった重さはありません。実に淡々としています。

そして主人公と父親との関係性が大きな軸になっていますので、最近文庫になった『自転車泥棒』という作品が思い起こされます。この二冊は間違いなく併読すべき作品です。

ただ、戦争の話は暗い、重苦しいと感じられるのであれば、まず先に『我的日本 台湾作家が旅した日本』を読むことをおすすめします。これは十数名の台湾作家による日本旅行記をまとめたものですが、その中に呉明益の訪日録も収録されています。それがそのまんま『自転車泥棒』『眠りの航路』の創作ノートになっていると言っても過言ではありません。これを読んでから上掲2作品を読むと作品の背景やどうしてこの作品が書かれたのか、書かなければならなかったのかが理解できるでしょう。

そして、『眠りの航路』でも作品の舞台では済まないほど存在感をもって描かれている中華商場については、同じく呉明益の『歩道橋の魔術師』を手に取っていただければと思います。こちらは近々河出文庫になります。

今日の配本(21/09/17)

詳説スペイン語文法

福嶌教隆、フアン・ロメロ・ディアス 著

発音からさまざまな文表現まで、スペイン語文法を網羅した本格派リファレンス。最新のスペイン語事情を取り入れ、スペインとラテンアメリカの違いにも詳しく言及しました。品詞のみならず構文にも配慮。言語学的な視点に立脚しつつ現場でスペイン語を使う方の実用性を重視しています。現代の発音の傾向、最新の文字規則、正しいとされる表現と実際に多用される表現の対比、日本語や英語との比較など、生きた情報が満載。中上級の疑問までクリアにわかる、手元に置きたい一冊です。

ドイツ語読解教室
「魔王」「第九」から「ドイツ国歌」まで全8曲を解説

大西光弘 著

「主語を探すことができ、動詞を探すことができ、名詞の性・格・数が分かるようになれば、たいていのドイツ語は読むことができる」。よく知られたドイツの名曲の歌詞を著者が一語一語丁寧に文法解説していきます。扱うのは「魔王」「狩人の合唱」「第九」「野ばら」「ローレライ」「歌の翼に」「主よ、人の望みの喜びよ」「ドイツ国歌」の全8曲。個人レッスンを受けているかのように分かりやすく、ドイツ語のポイントが整理できます。原文の魅力を味わってみませんか。

寝るまえ5分のパスカル「パンセ」入門

アントワーヌ・コンパニョン 著/広田昌義、北原ルミ 訳

優れた数学者、物理学者、また哲学者にして神学者でもあったブレーズ・パスカル(1623-1662)。彼は人間と信仰について思索を重ね、未完の断章を大量に残してわずか39歳でこの世を去った。のちに『パンセ』というタイトルでまとめられた主著は、「考える葦」「賭け」「クレオパトラの鼻」など、忘れがたい名句やイメージに溢れ、世界中で読み継がれて今日に至る。本書は、そんなフランス屈指の名文家パスカルの選りすぐりの断章(パンセ)を、フランス文学界最高の案内人が豊富かつ巧みに紹介しながら、その思想の真髄に迫る刺激的なエッセイ。好評を博した毎日5分の人気ラジオ番組が元となっている。本格派でありながら広く開かれたテクストが、最良の研究者・翻訳者を得て、いま日本の読者に届けられる。

それでも選挙に行く理由

アダム・プシェヴォスキ 著/粕谷祐子、山田安珠 訳

選挙は、民主主義という統治形態において必要不可欠な制度である。しかし一般市民にとっては、選挙で選ばれた政治家や政府、さらにはそれらのもとで立案・実施される政策に失望することが日常茶飯となっている。本書では、選挙の思想的背景、歴史的な発展経緯、世界各国での選挙政治の比較などを通じて、なぜ選挙が落胆につながるのかが明らかにされる。

空襲と文学[新装版]

W・G・ゼーバルト 著/鈴木仁子 訳

1997年のチューリヒ大学における講演で、「第二次世界大戦でドイツが被った空襲体験は戦後のドイツ文学によって表現されておらず、次世代にもなんら継承されていない」と主張して、ドイツに議論を巻き起こし、その後のドイツ文学にも大きな影響を及ぼした論考「空襲と文学」、戦後ドイツの文学界をリードした作家アルフレート・アンデルシュを、免罪と自己正当化の文学として厳しく断罪する「悪魔と紺碧の深海のあいだ」、ナチスに抗してレジスタンス運動に参加し、アウシュヴィッツ強制収容所を生き延び、戦後に迫害の体験を考察したエッセイ『罪と罰の彼岸』を発表、しかし自ら命を絶った作家ジャン・アメリーを論じた「夜鳥の眼で」、ナチスの迫害を逃れて亡命、戦後はフランス革命を題材にした戯曲『ジャン・ポール・マラーの迫害と殺害』、フランクフルトのアウシュヴィッツ裁判を傍聴して書かれ、国内での一斉上演によってドイツを震撼させた『追究−−アウシュヴィッツの歌』などの記録演劇で名高い作家・劇作家のペーター・ヴァイスを論じた「苛まれた心」の四篇を収録。細見和之氏の解説「破壊に抗する博物誌的な記述」を巻末に収録。

お彼岸には彼岸花

昨年もこのダイアリーでご紹介したと思いますが、わが家の玄関先の曼珠沙華です。

世間的には彼岸花という呼び方の方が膾炙していると思いますが、あたしは文字面や発音から、曼珠沙華という呼び方の方が好きです。

そして、この曼珠沙華は赤い花が一般的だと思いますが、わが家にはこのように白い曼珠沙華が咲いています。珍しいものなのか、それほどでもないのか、あたしはよく知りませんが、真っ白というよりもちょっと黄色がかった、クリーム色という感じでしょうか。

ちなみに、わが家の庭には赤い曼珠沙華もあると母は言いますが、どこに植わっているのか、あたしにはわかりません(汗)。

そしてこちらの写真は、ちょっとわかりにくいかも知れませんが、手前にあるのがギンモクセイ、奥に見えているのがキンモクセイです。

手前のギンモクセイは、わが家の庭に鉢植えで咲いているものですが、キンモクセイは隣の家の庭に植わっているものです。この時期に、どちらも揃って咲き始めました。

キンモクセイはトイレの匂いとしてよく知られていますが、ギンモクセイというのもあるのですね。漢字で書けば金木犀と銀木犀、なにやらスポーツ競技のメダルのようです。まさか銅木犀(ドウモクセイ)なんてないですよね?

キンモクセイも、金というよりはオレンジ色の花が咲き誇っているわけですが、ギンモクセイも決して銀色というわけではありません。

最後の写真がギンモクセイのアップですが、銀ではなく白っぽい色ですね。あえて言えば、最初に挙げた白い曼珠沙華と似たような色合いです。

まあ実際問題、鉱物の金と銀を除けば自然界に金色や銀色なんてそうそうあるものではありませんし、ましてや花の色で銀色なんて呼べるようなものは存在しないでしょう。

金閣・銀閣と同じで、地味な方が金に対して銀と呼ばれがちなのでしょう。いぶし銀ってところでしょうか?

夏休み

今日は夏休みを取りました。

というのも、あたしの勤務先は、8月のお盆の時に土日くっつけて二日間の社休が夏休みとしてありましたが、更にもう一日、各自自由に取りなさい、ということになっていたので、その一日を消化したわけです。

自由に取りなさいと言っても、さすがに10月や11月にまで延ばすわけにはいかず、勤務先からはできるだけ9月中に、ということになっています。

とはいえ、社内の業務や会議の日程などを勘案しますと、本当に好き勝手に取れるものでもありません。カレンダーと、そこに書いてあるスケジュールを何度も見返して今日という日を選びました。

かといって、どこかへ出かけるようなご時世でもありませんし、コロナでなくとも休日だからといって出かけるという習慣や発想がないので、自宅でいつものリモートワークの時のように過ごしました。さすがに勤務先にメールを出したりはしませんでしたが。

なので、日向坂46の新曲「ってか」のMVを何度も見て一日を送ってしまいました。

少女期

わが家の書架にこんな本があります。

ワニブックスの一冊、『少女期』です。著者は沢田聖子、中学高校時代のあたしが夢中になっていた歌手です。

この《青春ベストセラーズ》というシリーズで、ヤングアイドルの本(奥付裏広告より)がたくさん出ていました。奥付裏広告には田原俊彦、松田聖子ら当時の人気アイドルの本がたくさん並んでいます。本当に本人が書いたのかどうか、それは定かではありませんが、とにかくたくさん並んでいます。

そんな中の沢田聖子『少女期』です。これはたぶん沢田聖子本人が書いたのではないかと、あたしは信じています。奥付では1982年11月5日初版発行とあり、架蔵しているのは1983年7月1日の8版です。もうはるか以前に絶版になっていることでしょう。

8版とありますが、あたしの勤務先的に言えば第8刷のことでしょう。とはいえ、そんなに売れたのでしょうか?

ところで、この「少女期」というのは、当時沢田聖子が発売したベストアルバムのタイトルです。このアルバムももちろん所持しております。サブタイトルには「同じ季節を走って下さい」とありますが、「走って下さい」も彼女の曲のタイトルです。

今日の配本(21/09/13)

絵で学ぶ韓国語文法[新版]
初級のおさらい、中級へのステップアップ

金京子、河村光雅 著

2014年に刊行して以来ロングセラーの『絵で学ぶ韓国語文法』の「新版」登場です。巻末に実践問題を追加し、練習問題には「ポイント」として解説を加えました。初級を終えた人がおさらいをし、中級に上っていく準備に最適の学習書です。77の文法項目を取り上げ、見開き左ページには絵を使った文法解説、そして右ページには練習問題を配しています。表現の微妙なニュアンスの違いは「お悩み解決コーナー」でスッキリと整理。練習問題の音声は無料のダウンロードで聞くことができます。

坂道の少女たち

昨日は9月11日で、テレビのニュースや新聞でもアメリカ同時多発テロについて報じていました。

この日が訪れるとこの曲が聴きたくなります。沢田聖子の「息子からの伝言」です。同時多発テロに遭って亡くなった人を歌った一曲で、壮大なメロディーが印象的です。

沢田聖子は、あたしが中学生のころから歌っていて、中学・高校時代はよく聴いていましたが、当時のアルバムはすべてLP盤ですべて持っています。それくらい好きでした。

彼女も文章で書いていましたが、当時は人気絶頂の松田聖子とよく勘違いされたようです。松田聖子はアイドル歌手で、沢田聖子はイルカのお弟子さんで、当時の用語を使うならニューミュージックというジャンルの歌手でした。そしてなにより、松田聖子は「せいこ」ですが、沢田聖子は「しょうこ」と読み、芸名ではなく本名なのです。

この沢田聖子のファーストアルバムのタイトルが「坂道の少女」と言いまして、このアルバムの中にも同名の曲が入っています。

坂道だからではないですが、この曲、あらためて乃木坂46か、日向坂46か櫻坂46で歌ってくれないかなあ、と思うのです。坂道グループが「坂道の少女」をあ歌うなんて、ちょっとできすぎではありますし、ダジャレっぽくもありますが、よい曲なので是非歌ってもらいたいと思うのです。

そろそろ秋元康の歌詞から卒業してもよいのでは、とも思いますし。

20年目だけではなく48年目も……

今日は9月11日です。

朝日新聞読書欄でも取り上げられていましたが『倒壊する巨塔(上)』『倒壊する巨塔(下)』が、まずは思い出されるわけですが、今日はそれだけではありませんね。1973年の9月11日も世界史のなかでは忘れられない一日ではないでしょうか。そうです、南米チリのクーデターです。

 

チリ出身の作家は、多かれ少なかれクーデターの影響を受けているはずです。あたしの勤務先で言えば、まずはボラーニョではないでしょうか。多くの作品にクーデターが影を落としています。

そんな中、作品自体はクーデターを扱っているわけではありませんが、ルイス・セプルベダの『カモメに飛ぶことを教えた猫』などは如何でしょう。クーデターにより投獄され刑務所暮らしを体験しています。そしてルイス・セプルベダは2020年に新型コロナウイルスで亡くなっているのですよね。

恐らく、今日は日本のニュースでもアメリカの同時多発テロを取り上げているところが多いと思いますが、チリのクーデータについて取り上げるニュースや情報番組はどのくらいあるのでしょうか。

毎晩寝るまえのルーティン

近刊のご案内です。

左がもうすぐ刊行になる『寝るまえ5分のパスカル「パンセ」入門』です。

パスカルの『パンセ』は文庫などで各社から出ていますので、非常に馴染みのある書物だと思いますが、読んだことある人はどれくらいいるのでしょう?

本書は、そんな『パンセ』をわかりやすく紹介したフランスのラジオ番組を書籍化したものです。まずはこの一冊から始めてみるのは如何でしょう?

もちろん既刊『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』を読まれた方ならば、「こんどはパスカルにチャレンジだ!」と意気込んでいらっしゃるかも知れません。店頭に並ぶまで、しばしお待ちください。

そして書店の方、是非この二冊は併売をお願いします。著者のアントワーヌ・コンパニョンはこの二冊以外にも他社から翻訳が出ていて、日本でもそれなりに知られた学者です。

ちなみに、寝るまえに読むのであれば、あたしの勤務先からはもう一冊『寝るまえ5分の外国語 語学書書評集』なんていうのも出しております。