マイナーな時代に光を当てる?

日本で応仁の乱とか観応の擾乱とか、室町時代が注目されるようになったのはいつごろでしょうか。もちろん中世に興味を持つ人は以前からいましたけど、源氏三代や楠木正成など武士の活躍や足利義満の金閣、そんな輝かしい、比較的派手なところが中心だったような気がします。

少なくとも、あたしが小中高で歴史を学んでいた当時は、専門家の世界はいざ知らず、一般的にはそんな感じでした。一般向けの歴史雑誌などの特集も戦国や幕末が中心で、室町時代が扱われることなんてほとんどないように記憶しています。

あたしが専門に学んでいた中国史も同様です。諸子百家が活躍した春秋戦国時代、楚漢興亡の史記の時代、そして三国志が中心だったと思います。王朝を創始したファーストエンペラーの出世譚はそれなりに興味を惹きますが、やはり日本史同様、地味な時代は不人気なのか書籍の刊行も少なかったものです。

こういう書き方をすると、その時代に興味を持っている方や専門家の方には失礼かも知れませんが、それがこの数年ずいぶんと様変わりしました。そんな象徴的なものの一つが最近刊行されたハヤカワ新書の『五胡十六国時代』です。あたしが学生時代を思い返すと、気軽な新書で「五胡十六国」をタイトルとするような書籍が刊行されるなんて想像もできませんでした。

数年前には中公新書から『南北朝時代』というタイトルも刊行されています。こちらは日本の南北朝時代ではなく、中国の南北朝時代です。五胡十六国時代に後、隋唐へと続く時代を扱った一冊です。この本が刊行された時にも、まさか中公新書からこんな時代を扱った中国史の本が出るなんて、と思ったものです。

こうなると五代十国とか遼金元史といったタイトルの新書が刊行される日もそれほど遠くないのではないでしょうか。密かに期待しております。もちろん時代だけでなく、これまであまり脚光を浴びてこなかった人物や事件に関する本も大いに期待したいところです。

さて、日本史では戦国と並ぶ人気の時代、幕末に活躍した坂本龍馬の故郷、高知県の酒を買ってきました。土佐酒造の桂月です。土佐で桂と聞けば桂浜を思い浮かべますが、月の名所でもあるのですね。同社のウェブサイトに桂月の由来として書いてありました。読みやすい日本酒ですね。

2025年7月21日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー