
大丈夫な人
カン・ファギル 著/小山内園子 訳
人間に潜む悪意、暴力、卑下、虚栄心などを描き出し、現代社会の弱者の不安を自由自在に奏でる。欧米も注目する韓国の奇才による初の短篇小説集。
中村隆文 著
イングランド、ウェールズ、北アイルランドとともに「イギリス」を構成するスコットランド。一七〇七年の合同法でイングランドと統合しグレートブリテン王国となったが、近年のイギリスのEU離脱に際して独立を模索するなど、今も独自のナショナル・アイデンティティを保つ。ケルト文化、ヒュームやアダム・スミスに代表される啓蒙思想、「地酒」ウイスキー、ゴルフやフットボールなど多様なスコットランドを紹介する。
斎藤貴男 著
二〇一六年に発表された世界各国の「報道自由度」ランキングで日本は七二位。日本のジャーナリズムの現状に危機感を抱く著者は、その原因を政権による報道への圧力とマスメディアの過剰な自主規制によるものと指摘。それはまるで国民をしつけるために巧妙に仕組まれているかのようだ。ネットで常態化する記事に見せかけた広告や、保身に走るメディアの問題も浮き彫りにし、知る権利を守るために今我々にできることは何かを探る。
高橋慎一朗 著
鎌倉は日本人の記憶と想像のなかでつくられた都市だった。たとえば「武家の古都・鎌倉」が世界遺産として認められないのはなぜか。われわれが認識している古都鎌倉は、鎌倉時代そのままの「古都」ではなく、古都の魅力に惹かれた人々が、時代ごとに付け加えてきた由緒や魅力、いいかえれば「幻想」の集大成と言えるからである。日本人が記憶と想像のなかで愛し続けてきた都市鎌倉の実像と魅力を、源氏以前の時代から現在までの通史をたどることで浮かび上がらせる。
宮田律 著
21世紀に入っても戦争や紛争の脅威にさらされる現代社会。“another way”はないのか? 中世から近代にかけて、イスラム・ユダヤ・キリスト教が築き上げた「共存の形」から、「対立より宥和を」優先する精神を学ぶ。
日本史史料研究会 監修/赤坂恒明 著
日本の皇族の一員でありながら、これまで十分に知られることのなかった「王」。興世(おきよ)王、以仁(もちひと)王、忠成王など有名・無名のさまざまな「王」たちを、逸話も交えて紹介。皇族の周縁部から皇室制度史の全体像に初めて迫る。
佐野典代 著
中国唐代から皇帝の茶として珍重され、現在も生産量が極めて少ない天下の名茶“岩茶”に出会って著者の人生は変わった。日本で岩茶サロンを展開し、熱心な愛好者やファンを増やし続けている、そんな中国茶エキスパートが、中国古代から現代に至る思想家、詩人・文士、皇帝や政治家などの「人」「思想」に及ぼした茶の力、それをもたらした茶酔の境地などを体験を駆使して綴る。知られざる茶と中国思想の密な関わりを探った芳醇なものがたり。
彭丹 著
万世一系の国・日本と革命の国・中国。天皇と皇帝から見る日中比較文化論。中国歴代の皇帝たちが強く願いながらも成し遂げられなかった「万世一系」の思想が、中国の文化を数多く取り入れた日本において、現代にいたるまで一二六代、絶えることなく続くのはなぜか。中国で最高権力の象徴とされる「龍」ではなく、「菊」が象徴とされていく過程から読み解く。
野嶋剛 著
世界屈指の超大国、中国。その中国の様子がおかしい。何かが狂い始めている。世界各国が中国の異変に気付き始めたのは数年前。その変化の大きな原因を探っていくと、「台湾・香港問題」にぶち当たる。1997年、英国から返還された香港は「一国二制度」のもとで統治が試みられたのにも関わらず、風前の灯火である。もはや香港において自由や民主は死語に近い。そしていま、中国の手が台湾に及び、台湾の人びとはもがき、苦しんでいる。なぜ「大きな中国」は「小さな台湾・香港」をそこまで必要とするのか? その問いに対する答えに辿り着くためには、「中国」を真正面から捉えただけでは真の姿は浮かび上がってこない。また、「台湾」もしくは「香港」から「中国」を見ても十分とは言えない。そこで、「台湾・香港」の2つの地から「中国」という国をつぶさに考えてみることを提言し、実践したのが本書である。
マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン 著/斎藤幸平 編
利潤率低下=資本主義の終焉という危機は、資本の抵抗によって人々の貧困化と民主主義の機能不全を引き起こしたが、そこに制御困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代――。「サイバー独裁」や「デジタル封建制」はやって来るのか? 世界最高峰の知性たちが日本の若き経済思想家とともに、新たな展望を描き出す。