林田愼之助 訳
農耕生活を営みながら、農村の諸風景を詩のなかに写しとる才の見事さ。〈人の命はつなぎとめる根も蔕もなく、さっと散ってしまう路上の塵のようなもの〉と世のはかなさを詠じての余情――。六朝時代最高の詩人・陶淵明の作品は、古来多くの人に愛されてきた。しかし、詩人はたんなる田園の人ではない。儒教的理念がかなわぬことへの憤り、人生や社会との葛藤を内に抱えた人でもあった。「閑情賦」「帰去来兮辞」「桃花源記」をはじめとする、清新で奥行きのある文学世界のすべてを、味わい深い訳文と行き届いた語釈とともにおくる。待望の新訳注書。
閻連科 著/谷川毅 訳
千年に一度の大日照りの年。一本のトウモロコシの苗を守るため、村に残った老人と盲目の犬は、わずかな食料をネズミと奪い合い、水を求めてオオカミに立ち向かう。命をつなぐため、老人が選んだ驚くべき最後の手段とは? ノーベル文学賞の次期候補と目される、現代中国の巨匠が描く、《神話の世界》。本書は中国で、第二回魯迅文学賞、第八回『小説月報』百花賞、第四回上海優秀小説賞を受賞。数多くの外国語に翻訳され、フランスでは学生のための推薦図書にも選定。
出口治明 著
人類史を一気に見通すシリーズの第四巻。征服者が海を越え、銀による交易制度が確立、大洋を舞台とするグローバル経済が芽吹いた。大帝国繁栄の傍らで、宗教改革と血脈の王政が荒れ狂う危機の時代へ。
濱田麻矢 著
近代を迎え、学校という時限つきの楽園で高等教育を受けるようになった中国の少女たち。自己決定の希求。理想かつ強迫観念ともなった恋愛。女性同士の友情――。野心を胸に自分の居場所を探して冒険した女学生の二〇世紀を、女学校を経験した作家や女学生をまなざした男性作家が著した多彩なものがたりから読み解く。
神田桂一 著/川島小鳥 写真
2010年代の台湾には、日本の1960年代のように、人びとが「自由」を求め、自分なりの表現に取り組む熱気が渦巻いていた――。日本の企業社会に嫌気が差し、海外放浪の旅に出た著者は、その途上で訪れた台湾に魅せられる。そして現地の人びとと交流するうちに、台湾の対抗文化やDIYシーンの取材にのめり込んでいく。
格非 著/関根謙 訳
「普済(プージー)にもうじき雨が降るぞ」そう言い残して失踪した父、心をざわめかせる謎の男の登場、そし琥珀の眼を持つ金の蝉……。外の世界には自分の知らない無数の奥深い秘密があるが、みんな口を閉じて、自分には何ひとつ漏らそうとしない……。十五歳の秀米(シュウミー)は世の中の全てにいらだっていた。
葛兆光 著/辻康吾、永田小絵 訳
古代中国の天下観はいかにして現代中国の世界観へと転じたのか。中国内部での国としてのアイデンティティをめぐる多様な議論を歴史的に考察し、中国人の民族的感情の淵源を探って好評を博したオリジナル版現代文庫に、「民族」をめぐる論文と、これまでの研究を総括する論文を増補した完本版。二〇一四年アジア・太平洋賞受賞。
沼野充義、沼野恭子 翻訳
恋愛、叙情、恐怖、SFなど、多様な作家の個性が響きあうアンソロジー。ビートフ、エロフェーエフ、トルスタヤ、ペレーヴィンら、現代ロシア文学紹介の第一人者たちが厳選した12の短篇。
林田愼之助 著
本書は、「水魚の交わり」の劉備に「天下三分の計」を説き、漢王朝の再興という覇業の達成に邁進、公の正義と己の信念ため「泣いて馬謖を斬った」諸葛孔明の波乱の一生を描く。『三国志』の知将である彼の卓越した戦略構想「天下三分の計」とはどのようなものだったのか。著者 林田愼之助の『曹操』『劉備玄徳と孫権』に続く「三国志の英雄」の三作目である。
周大新 著/谷川毅 訳
難病で息子を亡くした父と、死後の息子の魂の往還。後悔と懺悔、寛容と慰めに満ちた感動の物語。やがて息子は古今東西の賢人から大切な教えを得る。映画化。岩波ホールなど全国公開。