藤原摂関家の誕生 皇位継承と貴族社会

藤原摂関家の誕生
皇位継承と貴族社会

瀧浪貞子 著

死の床に就いた桓武天皇。安定した皇位継承を願う彼の〝遺言〟は、歴史を大きく動かした。ポスト桓武の時代、血なまぐさい事件が起こるなか、藤原北家は幸運を引きつけ、類い稀な才覚と政治的嗅覚を持つ者たちが、天皇家との関係を深めてゆく。藤原道長「望月の歌」をさかのぼること一五〇年、藤原摂関家はこうして生まれた。

2025年9月23日

トピーカ・スクール

トピーカ・スクール

ベン・ラーナー 著/川野太郎 訳

1997年、中西部カンザス州トピーカ。高校生のアダム・ゴードンは、恋人のあとを追って入り込んだ湖畔の邸宅がじつは見知らぬ他人の家だったことに気づいた。つかのま世界が組み替わり、アダムはその湖畔に立ち並ぶすべての家に同時にいる感覚に襲われる。同一性と、確からしさの崩壊。彼はすべての家にいたが、その家々の上空を漂うこともできた。複数の声が時代を行き来しながら、米国の現在を照射する。『10:04』の作者が、知性と繊細さをもって共同体を描きだす、小説の新しい可能性。

2025年9月23日

オスマン帝国

オスマン帝国

エテム・エルデム 著/鈴木光子 訳

本書は従来の概説とは異なり、国家体制・社会・経済に踏み込み、硬直化や経済の特質、民族・宗教の多様性と文化の広がり、十九世紀の社会変容に光を当てる。さらにヨーロッパ史と一体的に描き出し、「似て非なる」発展の姿を示すことで、単純な衰退論やヨーロッパ中心の見方、ナショナリズムによる解釈を退ける。一九八〇年代以降の史料公開やデジタル化による研究の進展を背景に、オスマン帝国史の新しい姿と今後の可能性を提示する意欲的な一冊である。

2025年9月18日

存在と苦悩

存在と苦悩

ショーペンハウアー 著/金森誠也 訳

ショーペンハウアー入門。生と苦悩と救済をめぐる、珠玉の警句の書。解説=梅田孝太。

2025年9月18日

パレスチナ占領

パレスチナ占領

平野雄吾 著

2023年10月7日、イスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲で始まったパレスチナ自治区ガザの戦闘は、パレスチナ側の死者が6万人を超える未曽有の大惨事に至った。これは反ユダヤ主義による蛮行ではなく、長きにわたるイスラエルによるパレスチナ占領が招いた悲劇ではないか。2024年までエルサレム特派員を務めた著者は、パレスチナの人々が抱き続ける故郷喪失と抵抗の記憶を聞きとり、イスラエル国内で被害者意識が強化される構造を読みとく。その歴史から現在まで、パレスチナ問題を一望する必読の書。

2025年9月16日

羽柴秀長と豊臣政権 秀吉を支えた弟の生涯

羽柴秀長と豊臣政権
秀吉を支えた弟の生涯

渡邊大門 著

豊臣秀吉の実弟は温厚柔和な人物で、兄の天下統一に力を発揮した。兄の欠点を補ったこの弟が長生きしたなら豊臣政権は長く続いただろう……。羽柴秀長は、そんな印象で語られることが少なくない。だが「偉大なナンバー2」というイメージは作られたもので、一種の虚像である。本書は信頼できる研究や史料に基づいて、秀長が、秀吉の天下統一に果たした役割、豊臣政権内での仕事、大名としての領地支配の実態という三つの視点からその生涯をたどり、人物像に迫る。

2025年9月16日