「図書館と新刊」問題?

これも朝日新聞。

新潮社の社長の提起から始まった、最近の図書館における新刊貸し出しの件。

記事によれば、図書館の貸し出しと新刊の売れ行き不振に因果関係がないようですが、このデータに恣意性はないのか、そのあたりの検証も必要かもしれません。ただ、記事中にあるように、本当に欲しい本、読みたい本は買う、という意見が本好きの本音なのではないでしょうか? もちろん、昨今の不景気で欲しくても買えない人が増えている傾向はあるのでしょうが……

図書館からの注文の場合、専門書はほとんど返品もないので、出版社から見たら非常なお得意様です。せいぜい初版が1000部やそれ以下という専門書の場合、最初に図書館、全国で200館でも購入してくれれば、非常に助かるのは事実です。(専門書の場合は、公共図書館だけでなく、大学図書館などの研究施設も上得意ですね。)

ですから、やはり村上春樹とか、東野圭吾といった人気作家の新刊が問題になるのではないでしょうか。それも一つの図書館で何冊も購入するというのは、やはりどうかと思いますし……

で、あたしは前にも書きましたが、やはり映画と同じようにインターバルを儲けるべきではないか、その程度の差を付けるのは世間にも受け入れられる範囲だと思っていますが、如何でしょう?

偉人伝は怖い

朝日新聞の記事です。今年の大河ドラマの主人公・真田幸村がゲームソフトなどを中心にイケメンに描かれていることを伝えています。

この問題というか現象、別に幸村に限りませんよね? 花の慶次でしたっけ、その他の戦国武将も軒並みイケメンになっているゲームソフトがありますし、海を越えて三国志の英雄たちも。

ゲームだけでなく、学習漫画のようなものでも、その表紙を見るとイケメンとまでは行かなくても、かなりソフトな、劇画タッチを抑えたイラストになっているのがこの十数年の傾向のようです。

これに対して眉をひそめる方もいるでしょうね。あたしもどちらかと言えばそうです。あたしの場合、子供のころに見たテレビドラマの「暴れん坊将軍」の松平健、あの颯爽とした若々しい吉宗像と、実際に吉宗が将軍になった年齢はもう中年だったというギャップを知って、幼心にショックを受けたものです。

なので、こういったイケメン化は反対だったのです。曰く、こういうので歴史を学んで誤った知識を植えつけられたら困ると。でも、この手のゲームをやっている人って、たぶん実際の歴史との違いってそれなりにわかっているのですよね? 実際の人物がこんなにイケメンであるなんて本気で信じている人はいないはずです。

ただ、学習漫画の方は微妙かな? あれはそれなりにきちんとした時代考証を経て作られているはずなので、あまり絵がきれいだと子供たちに悪影響が出るかもしれません。

さて、あたしも反対論者だったと書きましたが、いまは若干肯定派です。なぜなら、これは先の暴れん坊将軍とは別の幼少期の体験に由来する話ですが……

子供のころのわが家には、子供向けの偉人伝のような本、全集でしたでしょうか、それが書架に置いてありました。あたしが子供のころですから、そこで取り上げられているのはヘレン・ケラー、ベートーベン、シュヴァイツァーといった顔ぶれ。当時の本ですから、表紙にはそれぞれの顔がイラストで描かれていました。

そのイラスト、晩年の、それもそれなりに劇画タッチで描かれているものですから、子供にはかなり怖い人相です。正直なところ、あたしは子供のころ、それらの偉人たちが睨みつけてくるような気がして、それらの本を直視できませんでした。アンネ・フランクだって、よく見かけるあの写真、アンネは笑っているのですが、幼い子には怖い印象を与える写真ではありませんか。少なくともあたしは怖かったです。

そういったトラウマほどではないですが、体験をしてきたあたしとしては、近頃の親しみやすいイラストになった偉人伝や歴史漫画は、案外よいものではないか、という考えに傾きつつあります。さすがにゲームのイケメンキャラはやりすぎだと思いますが(笑)。