展開が急すぎる?

タリバンがアフガニスタンの首都を制圧したというニュースが飛び込んできました。既に大統領は国外に退避しているとのことです。

世界がコロナと闘っている春先に米軍の撤退というニュースが世界を駆け巡りましたが、それから半年も経たないうちに、オセロで言えば白が黒にすべてひっくり返ってしまったような状況です。

それにしても、アフガニスタン情勢を伝えるニュースではしばしば「混迷」という修飾語が付くことが多いですが、本当に混迷を極めていると思います。アフガン情勢に詳しい人ならともかく、あたし程度の知識しか持たない人間には、何がどうなってからこういう事態になっているのか、そのあたりがまるでわかりません。アフガニスタンの国民は政府を支持しているのか、それともタリバンを支持しているのか、そんなことすらあたしにはわかりません。

そんなアフガン情勢を知るには、こちらが一番だと思います。『シークレット・ウォーズ(上)』『シークレット・ウォーズ(下)』です。

同書は、今回の米軍撤退やタリバンの反攻を解説したものではありませんが、その前史にあたる情勢を描いています。今回のことを理解するには、その前から追っていかないとなりませんから、まずは本書がお薦めです。

更に遡るのであれば、ソ連のアフガン侵攻から追わないとなりませんが、そこまで理解したいのであれば『アフガン侵攻1979-89』『アフガン諜報戦争(上)』『アフガン諜報戦争(下)』がお薦めです。

『アフガン侵攻1978-89』はタイトルどおり、ソ連軍の侵攻と撤退を描いたノンフィクションで、『アフガン諜報戦争』はソ連の進攻から9.11前夜までを描いたピュリツァー賞受賞作品です。

なんとなく見覚えのある建物だ

昨日の朝日新聞夕刊です。

京都経済センター

聞いたことないのですが、写真の建物は見覚えがあります、非常によく知っていると言った方がよいでしょう。

あたしの記憶が間違いなければ、京都の四条烏丸交差点近くにあるビルです。このビルの一階に大垣書店京都本店があります。

京都へ出張で出かけると、ほぼ間違いなく営業に立ち寄る書店なので、建物の外観も目に焼き付いていたのでしょう。しかし、京都経済センターという名称だったとは!

大垣書店のサイトに書いてある住所では「SUINA室町」とあるのですが、京都経済センターとは違うのでしょうか? 記事には地下一階から二階までがSUINA室町と書いてありますね。

生誕510年

いきなりUブックスの『芸術家列伝』です。

なんでこの三巻の写真を取り上げたかと言いますと、本日7月30日がヴァザーリの生誕510年にあたるからです。

生誕の年である1511年は日本では室町時代ですね。と言うよりも、応仁の乱が終わって戦国の世に突入している、そんな下剋上の時代と言った方がよいですか。

ヴァザーリ関連の書籍はいくつかありますが、まずは一番手頃なこの三冊から如何でしょうか?

最近は火曜日が……

このところ毎週火曜日を在宅ワークにしています。

特にこの日に在宅ワークにすると決めているわけではないのですが、勤務先の同僚、だいたい誰が何曜日に在宅ワークなのかは固定化しつつあります。

そんな中、あたしはあまり曜日による制約はなく、社内の人数が一番多くなりそうな曜日に在宅ワークを設定していました。では、火曜日の出社人数が多いのか、というと決してそういうわけではありません。むしろ在宅が多い方かも知れません。

なのに、どうして在宅にしているかと言いますと、社内の会議が火曜日日に行なわれることが多いからです。会議はこのところZOOMを使って行なわれています。出社していると自分の机で参加するのですが、営業部なのでしょっちゅう電話が鳴り、どうしても周囲がガヤガヤと五月蠅くなりがちです。

会議なのでミュートで参加するわけにもいかず、そんなことを何回か繰り返すうちに、会議のある日は在宅、という感じになってしまいました。ちなみに書店回りの都合から考えると、週の真ん中、水曜日を在宅にするのがよいと考えています。なぜかというと、回っている書店の担当の方、水曜公休の方が多いからです。

270年の歳月が流れ

270年前と言いますから1751年のことになりますが、その年の今日、6月28日にフランスで『百科全書』の第一巻が刊行されたそうです。

というわけで文庫クセジュの『『百科全書』』をご紹介します。

本書は、別に『百科全書』の抄訳ではなkれば、もちろん全訳でもなく、『百科全書』とはどういうものかを概説したものです。抄訳なら、岩波文庫の『百科全書 序論および代表項目』が手頃だと思いますが、現在品切れになっているようです。残念です。

この機会に、フランスの知のエスプリに触れてみるのも如何でしょうか?

臨済宗

写真の右は、月末に刊行になる『禅と浪漫の哲学者・前田利鎌』ですが、前田利鎌ってご存じですか?

タイトルから人の名前だということはわかると思いますが、では「前田」はよいとして「利鎌」ってどう読むのだろうと頭を抱えてしまった方がほとんどではないでしょうか?

たぶん日本史における知名度は極めて低いと思われますし、そんなわけですから、いつの時代の人物なのか、どういうことをした人なのかもわからない人ばかりでしょう。

そこに、本書が出版される意義があるわけです。

ちなみに、前田利鎌の名前は知らなくとも、本好きの方であれば岩波文庫に『臨済・荘子』という一冊があるのを記憶されている方はいらっしゃるのではないでしょうか? 同書の著者が前田利鎌です。あたしも、中国好きなので「荘子」というタイトルに惹かれて購入していました。

ちなみに、臨済宗はわが家の菩提寺の宗派です。臨済宗の南禅寺派です。とはいえ、父方の田舎は千葉なので日蓮宗、母方の田舎は新潟で浄土真宗でして、父方の祖父が東京へ出て来てから建てたお墓が臨済宗南禅寺派の寺だったというだけのことですが……

新刊も既刊も!

後ろに寄りかからせなくても自立するほど分厚い本が4冊。よく見れば、すべてスターリンの評伝です。

右の三冊は、かつて刊行したもので、それぞれバラ売りしていますが、3冊で1セットのようなスターリン伝です。

一番左の一冊は、このたび刊行した最新のスターリン伝です。こちらは一冊でスターリンの生涯を追っていますので、手軽にというほど薄くて軽い本ではありませんが、まず手に取るなら簡便かも知れません。最新の史資料を駆使して書かれていますので、お薦めです。

さて、話は変わって、書店の店頭で無料配布されている小冊子『BOOKMARK』の最新号(18号)に、あたしの勤務先の書籍が紹介されていました。「英語圏以外の本特集2」として『シャルロッテ』『俺の歯の話』『忘却についての一般論』の3点が載っています。

それぞれフランス、メキシコ、アンゴラ出身の作家の作品です。

なかなか海外旅行へ行けない昨今、海外小説を読んで外国へ行った気分を味わうのも一興ではないでしょうか?

残るはウズベク語?

今朝の朝日新聞に東京外国語大学出版界から刊行された『28言語で読む「星の王子さま」 世界の言語を学ぶための言語学入門』に関する記事が載っていました。あの名作『星の王子さま』が世界28の言語で読めるわけですから、語学の出版社の人間としては気になるところです。

ちなみに、28言語とは以下のとおり。

1.英語 2.ドイツ語 3.フランス語 4.イタリア語 5.スペイン語 6.ポルトガル語 7.ロシア語 8.ポーランド語 9.チェコ語 10.中国語 11.朝鮮語 12.モンゴル語 13.フィリピン語 14.マレーシア語 15.インドネシア語 16.カンボジア語 17.タイ語 18.ラオス語 19.ベトナム語 20.ビルマ語 21.ベンガル語 22.ヒンディー語 23.ウルドゥー語 24.ペルシア語 25.アラビア語 26.トルコ語 27.ウズベク語 28.日本語

話せるとか読めるといったことはおくとして、これらの言語はあたしにとって《ニューエクスプレスプラス》でお馴染みの言葉ばかりです。すべて刊行しています。

と思ったところ落とし穴がありました。27番目にある「ウズベク語」です。ウズベク語は《ニューエクスプレスプラス》では未刊行ですし、以前の《ニューエクスプレス》《エクスプレス》時代にも刊行されていません。

となると、次の《ニューエクスプレスプラス》は「ウズベク語」でしょうか?

2021年版なのです

あたしの勤務先はブックカタログを三種類作っています。ご覧の写真の三つがそれです。

毎年先陣を切って春先に出来る時点・語学書のカタログ、5月に出来上がる文庫クセジュと白水Uブックス、二つのシリーズを収録した新書カタログ、そしてこのたび出来てきたのが、上記以外の一般書籍を収録しているブックカタログです。

2021年版とはいえ、既に半年近くが過ぎようとしているこの時期に出来てくるなんて、個人的には「2021-2022版」に変更した方がよいのではないかと思っていますが、如何でしょう?

なんとなく不思議な縁を感じます

来る7月5日は明石海人の生誕120年です。

たったいま「生誕120年」と書いたので「明石海人」が人の名前だとわかっていただけたと思いますが、そうでなかったら「明石海人」という四文字を見て、どのようなことをイメージされたでしょう? いや、それはちょっとバカにしすぎですかね。

身近なところでは、岩波文庫に『明石海人歌集』がありますが、岩波書店のウェブサイトを見ると現在品切れのようです。残念です。

ウィキペディアにも立項されているほどの著名人ではありますが、現在の日本ではそれほど馴染みのない人物かも知れません。

岩波文庫のタイトルからもわかるとおり明石海人は歌人で、ハンセン病を患い、38歳で亡くなりました。死後に出版された歌集の『白描』はベストセラーになったとウィキペディアに書いてあります。

当時のことですから、ハンセン病患者は隔離されます。明石海人も各地を転々とし、最後は岡山の長島愛生園で亡くなったそうです。

そんな明石海人の評伝を、あたしの勤務先では出していまして、それが『幾世の底より 評伝・明石海人』です。重厚な一冊です。これを機に本書を少しでも世に広めるべく営業したいと思います。

ところで、この明石海人の出身は静岡県の沼津市です。なんと妹家族の住む、あの沼津です。これはなんといえぬ縁を感じます。もちろん、妹家族は誰も明石海人の名を知らないと思いますし、沼津市に彼の記念館があるという話は聞いたことがありません。辛うじて歌碑が建てられている程度のようです。