始めは処女の如く

深夜零時をもって東京を始めとする一都三県の非常事態宣言が解除になりました。

既に先週末から解除ムードで飲み食いしている人たちもいるのかと思いますが、確かに今日の街の人出はコロナに対して気を張っている雰囲気は感じられません。ほぼ全員がマスクをしていることを除けば、コロナ以前の様子と変わらない気がします。

もちろん、さまざまなお店の人に聞けば、人出はまだ何割しか戻っていない、といった感想も聞かれるのでしょうけど、あたしの目には以前と変わらなく映りました。

そういうわけで、あたしも今日からは在宅ワークをやめて、週五日の勤務に戻しました。

もちろん、わが家には七十代後半の母がおりますので、都内の感染状況を見ながら、やはり在宅ワークを継続するか判断したいと思いますが、ひとまずは毎日会社へ行って、そして書店営業も復活です。

早速今日も少し回ってみました。久しぶりの書店営業でちょっとドキドキします。

ある意味、新人のころの初々しさを取り戻したと言ったら、あまりにも図々しい物言いかも知れませんが、でも正直な話、多少の緊張感はありました。

あとは、回った分だけ注文が取れるとよいのですが……

併売希望が二つ

フランス語というイメージの強い、あたしの勤務先ですが、実は隠れたベストセラーが『今日からはじめる台湾華語』です。

書店に行くと、中国語コーナーの端っこの方に、上海語や広東語などと一緒に置かれていることが多い台湾語のあたりに並んでいることが多いです。ただし、これはなかなか書店の方に理解してもらえないのですが、「台湾華語」は「台湾語」ではありません。

大雑把に言ってしまうと、台湾語は中国語の台湾方言で対岸の福建語とも非常に近いものです。ですから台湾語であれば上海語や広東語などの近くに並んでいてもおかしくはありません。それに対して台湾華語は台湾の中国語、それも標準語のことですから、本屋に並んでいる「中国語」とほぼ同じものです。

ただ、台湾では、大陸で使っているローマ字表記のピンインとは異なる符号を使っていたりしますし、文字も大陸の簡体字に対して繁体字、いわゆる旧字体を使っているという違いがあります。なので中国語ではなく、あえて台湾華語と呼んで違うものだとアピールしているのです。

そして、これが折からの台湾ブームも相俟って非常によく売れているのです。なんとなく大陸中国に対する嫌悪感の高まりが親台湾的な意識を高め、旅行先や留学先でも台湾を選ぶ人が増え、台湾の中国語に対する注目が伸びているのだと思います。書店に行けば「台湾華語」を書名にした参考書が増えていますが、そんな中、トップセラーと呼んでもよいのが『今日からはじめる台湾華語』なのです。

そしてこのたび、その続編として刊行しますのが『もっと知りたい台湾華語』になります。二冊揃えて展開していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

続きましてはドイツ史です。

先月に『ドイツ史 1800-1866(上)』を刊行しました。ドイツ史を名乗っているものの、タイトルどおり1800年から1866年までを扱う断代史的な歴史書です。

こちらの下巻である『ドイツ史 1800-1866(下)』がまもなく刊行になります。この両者は通常の単行本よりも一回り大きなA5判です。なかなかのボリュームですが、是非とも上下揃えて展開していただきたいものです。オレンジが上巻、緑が下巻です。

さすがにこの二冊を並べている書店はないですよね?

毎日の通勤電車の中で読んでいる、岩波新書の『ヒンドゥー教10講』です。

あたしはインド哲学にも、ましてやヒンドゥー教にも詳しくはないですが興味はあります。なので、こういった新書ならば取っ付きやすいだろうと思って読み始めたのですが、なかなかに歯応えのある一冊です。少し前に読んだ同著者の前著『インド哲学10講』もほとんど頭の中から抜け落ちてしまっていて、最初から学び直すと言いますか、学び始めるような気持ちで読んでいます(汗)。

そんな『ヒンドゥー教10講』ですが、読んでいますとサンスクリット語がかなり頻繁に登場します。もちろんパーリ語など古代インドの言葉の宝庫です。本文中ではアルファベット表記なので取っ付きやすいですが、どんな感じの言葉なのか、そういったものが肌感覚で身についていないので、なかなか頭の中に知識として定着しません。情けない限りです。

しかし、ほとんど同じようなタイミングで『ニューエクスプレスプラス サンスクリット語』が刊行されました。こちらはCDも付いていますが、音声アプリにも対応していて、簡単気軽にサンスクリットの音を楽しむことができます。

とはいえ、この両書を一緒に並べている書店はほぼないでしょうね。かたや岩波新書、かたや語学書ですから、通常の書店の棚構成で決して出会うことのない二人、ではなくて二書です。もし出会うとしたら人文書のコーナー(宗教とかインド哲学とかの棚)ではないでしょうか?

装いも新たに、というわけではありません

写真の左は、東日本大震災の当日に配本予定の新刊『光のない。』です。白水Uブックスとして刊行されます。

そして右が、単行本の『光のない。』です。

「なーんだ、単行本が新書になったのね、他社で言うところの文庫化でしょ?」という声が聞こえてきそうです。

ふだんなら「はい、そうです」と答えるところです。単行本をUブックスにした時に、あとがきを新しくしたりすることはありますが、中味をいじることはあまりありません。これは他社の文庫化の時も同じようなものではないでしょうか?

しかし、今回は単行本(実は現在品切れ)とUブックス版とでは中味が異なります。

単行本の方は表題作「光のない。」の他に「エピローグ?[光のないⅡ]」「雲。家。」「レヒニツ(皆殺しの天使)」という3作品が収録されていました。しかしUブックス版は「光のない。」の他に収録されているのは「エピローグ?」「プロローグ?」の2作品です。この3作で「三部作」になるというわけです。

一括りには出来ない三冊

昨日、2月27日は国際ホッキョクグマの日だったそうです。

あたしの勤務先も『ホッキョクグマ 北極の象徴の文化史』という本を出していますので、Twitterでは少し前からちょっと盛り上がっていたようです。

なにせ、地球温暖化といえば北極や南極の氷が溶ける、そうなるとそこに住む動物たちも絶滅の危機に瀕する、ということで、この数年、そういう文脈からもホッキョクグマが注目されているようです。

ところで日本人の多くは「ホッキョクグマ」ではなく「シロクマ」って呼んでいますよね。鹿児島の名物も確か「シロクマ」ではなかったでしょうか? あれ、正式には「しろくま」でしたっけ?

ところで、勤務先のTwitterが盛り上がっていると書きましたが、つい最近は『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々』という本を出したばかりです。

こちらは副題を見てもわかるように、決して動物の熊をテーマにした本ではありません。あくまでそれは象徴的なものであり、書籍の内容は冷戦下、東ヨーロッパの人々を追ったノンフィクションです。

とはいえ、副題を見落としてしまうと、クマの写真のカバーから熊の曲芸に関する文化史の本だと思ってしまう方もいそうです。確かに、本書にそういう一面がないわけではありませんが、少なくとも書店の「動物」の棚に並ぶような本でないでしょう。

むしろ「熊の文化史」というのであれば『熊 人類との「共存」の歴史』の方がドンピシャです。

人を襲うこともあれば、飼い慣らすこともでき、食料として捕獲されもしてきたクマの人類とのかかわりを描いた一冊です。

ところで、ホッキョクグマこそ住んでいないですが、日本人にとっても熊は比較的身近な存在です。ここ数年は民家の庭先に現われたというニュースをしばしば目にします。北極と深刻さの度合いは比較できませんが、熊の生息環境が脅かされているという意味では、どちらも共通のことだと思われます。

第一位と第二位

新書大賞が発表になりました。第一位が斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』、そして第二位が宇野重規さんの『民主主義とは何か』でした。

という事実を踏まえた上で写真をご覧ください。

どちらもあたしの勤務先の刊行物で、左が『脱成長』、右が『民主主義の壊れ方』です。お陰様で非常によく売れています。

そしてこの両書の帯にご注目。『脱成長』は斎藤幸平さん、『民主主義の壊れ方』は宇野重規さんが、それぞれ推薦のコメントを寄せてくれています。これって、なかなかすごいことではありませんか?

ロングセラーもお忘れなく

こんな本が出ました。『ビジネスパーソンのための「言語技術」超入門 プレゼン・レポート・交渉の必勝法』、中公新書ラクレです。著者は、三森ゆりかさん。

となると思い出されるのは、あたしの勤務先のロングセラー『外国語を身につけるための日本語レッスン』です。ずーっと売れ続けている定番商品の一つです。ラクレの方の内容紹介には

社会で真に求められるのは、論理的思考力を活用して考察し、口頭や記述で表現できる人材である。しかし「国語」の教育は受けたはずなのに、報告書が書けない、交渉も分析もできないという社会人は多い。これまで有名企業や日本サッカー協会などで「言語技術」を指導してきた著者が、社会に出てから使える本当の言語力=世界基準のコミュニケーション能力を身につけるためのメソッドを具体的に提示。学生・ビジネスパーソン必読の一冊!

とあります。タイトルどおり、いかにもビジネスマンを取り込もうという内容のようです。それに対して、あたしの勤務先の書籍は、もともとが語学出版社という立ち位置からのもので、言葉を扱うノウハウ的なことが中心になっています。

内容紹介には

言葉を使いこなすには技術が必要です。論理的な文章の書き方や説明の方法、有効な質問のしかたなど、欧米では当たり前のこの言語技術を、本書ではまず日本語から鍛えていきます。

とありますが、本書もこれだけ長く売れ続けるのは、やはりビジネスマンを始めとして言葉を使ってものごとを伝えようとしている人にとって非常に役に立つ内容のものだからです。多くのビジネスマンが本書を手に取ってくれているようです。

ラクレを手に取った方、是非とも『日本語レッスン』もチェックしてみてください。

コラボ、できそう?

集英社インターナショナルの「インターナショナル新書」で『今こそ読みたいガルブレイス』という新刊が発売されました。著者は根井雅弘さん。

同書の内容を公式サイトから拾ってみますと

1970年代、アメリカの経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~2006年)の著書『不確実性の時代』が世界的なベストセラーになった。とりわけ日本で大きな人気を博したこの本は、恐慌、冷戦、大企業・多国籍企業による支配、貧困、環境破壊など現代に通じる難問を取り上げていた。同様の性格をもつ『満足の文化』『ゆたかな社会』『新しい産業国家』など他の著書をも丹念に読み解き、現代の難問へのヒントを見つける。

というものです。いま改めて読み直すべき価値あるものとしてガルブレイスの著作を取り上げているようです。

そして、この公式ページには関連リンクとして「根井ゼミ 1日1文 経済学の名言」がありますが、このリンク先は、なんと「webふらんす」内のコーナーになっています。もちろん、根井さんと言えば、あたしの勤務先から『ガルブレイス 異端派経済学者の肖像』という著書もあります。

本書は単行本なので、書店ではインターナショナル新書と同じ棚には並んでいないかも知れませんが、同じ根井雅弘さん、同じガルブレイスですから、併売しない手はないでしょう。そして、一方を手に取った読者の方も、もう一方にも興味を持っていただければ幸いです。どちらが先でも構いません。

ちなみにインターナショナル新書の目次は以下の通りです。

序章 ガルブレイスはなぜあれほど人気があったのか?
第1章 揺らぐ「拮抗力」
第2章 誤解された『ゆたかな社会』
第3章 大企業体制の光と影
第4章 「公共国家」は実現しうるか
第5章 軍産複合体の脅威
第6章 「満足の文化」への警鐘
第7章 『バブルの物語』の教訓
終章 甦るガルブレイス

また単行本『ガルブレイス』の目次は以下の通りです。

序章
第一章 価格皇帝見習
一 ケインズ経済学のアメリカ上陸
二 価格統制をめぐって
三 アメリカ資本主義への関心
第二章 異端の経済学
一 正統と異端
二 依存効果と社会的アンバランス
三 ケネディ政権の内と外
第三章 大企業体制の光と影
一 「テクノストラクチュア」の台頭
二 「新しい産業国家」論争
三 計画化体制と市場体制
第四章 リベラリズムと批判精神
一 保守主義の復活に抗して
二 「満足の文化」への警告
三 経済学史の中のガルブレイス
終章

どちらかだけ買えばいい(読めばいい)ではなく、両方とも読みたく(買いたく)なったのではないでしょうか? 両方買っても本体価格2800円ですから!

今日はジャズの日

今日はジャズの日だそうですので……

ジャズのことばかり考えてきた

児山紀芳 著

世界のジャズ史にかかわってきたジャズ・ジャーナリストによる初の著書。ジャズシーンの興隆、名演誕生にまつわるエピソード多数。

ジャズ・イズ

ナット・ヘントフ 著/志村正雄 訳

デューク・エリントン、ビリー・ホリデイ、マイルス、コルトレーン、ガトー・バルビエリ……11人の巨匠たちとともに、JAZZとは何かを探究! ジャズ・エッセイの名著にして「名言集」。

宮澤賢治、ジャズに出会う

奥成達 著

大正末期、詩人はその魂を揺さぶられる音楽に出会った。花巻にいたはずの詩人が、いつどのようにその音楽に触れたのか。一編の詩から日本のジャズのあけぼのをたどる力作。

かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた
二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯

ウラジーミル・アレクサンドロフ 著/竹田円 訳

アメリカン・ドリームをモスクワで叶えた黒人フレデリック。ナイトクラブの興行で巨万の富を築いた彼を革命が襲う……その栄光と破滅。解説:沼野充義。

リニューアル

まもなく届くと思われる『パブリッシャーズ・レビュー』です。

東京大学出版会、みすず書房と共に代わる代わる発行していたPR誌ですが、このほど東京大学出版会、みすず書房の両社が『パブ・レビ』の発行を停止することになり、あたしの勤務先の『パブ・レビ』も最新号でいったん打ち止め、次号からリニューアルすることになりました。

最初のページにはリニューアルとは書いておらず、次号以降も送付希望の方にのみ送るようになります、という断わり書きがあるだけです。そして「二面もご参照ください」と書いてあります。

その二面を見てみますと「重要」とあって、同じく継続送付希望の方にのみお送りしますと書いてあります。

が、ここの文章には「A5判の小冊子にリニューアルいたします」とあります。ほほう、こんどは新聞ではなく冊子になるのね、ということがわかります。考えてみますと、東京大学出版会には『UP』、みすず書房には『みすず』というPR誌がありますので、刊行物の案内としては『パブ・レビ』とダブっていた部分があるわけです。

そしてA5判の小冊子と言いますと、『UP』や『みすず』に限らず、岩浪書店の『図書』、新潮社の『波』など多くの出版社がそれぞれのPR誌を発行していますので、むしろ『パブ・レビ』のような新聞スタイルが珍しかったのかも知れません。

そして最終ページに、今回のリニューアルのポイントがまとめられています。

『パブリッシャーズ・レビュー』から『白水社の本棚』とタイトルも変わるようです。年4回の発行です。何ページくらいの冊子になるのでしょうね? とりあえず次は4月でしょうか? 今から楽しみです。

読者の皆さまも、是非楽しみにお待ちくださいませ。