今日は本の日なのでお薦めの本を三冊!

今日、11月1日は本の日です。国際的な記念日というのではなく、あくまで日本ローカルな記念日です。本の日の公式サイトによりますと

本棚に並ぶ本を見立てて(111)11月1日に指定いたしました。全国の本屋さんそれぞれが、お客様に喜んでいただけるような企画を考え行いながら本屋に足を運んでいただこうという活動です。

とあります。確かに本が並んでいる感じに見えなくもないです。「だったら、11月11日の方がよくない?」というツッコミは置くとして、11月1日ですから、書棚に本が三冊並んでいることになります。そこで本を三冊送ろうという「ギフトブックキャンペーン」を全国各地の本屋さんが行なっています。

というわけで、あたしも三冊、選んでみました。選んだのはすべて中国古典の現代語訳『韓非子』『荀子』『孫子』です。『韓非子』は全四冊、『荀子』は上下本なので、正確には三冊ではありませんが、ひとまず第一巻を並べています。あたしが学生時代に中国古典にのめり込むきっかけとなった書籍です。

一般の方にお薦めするのであれば、岩波文庫よりもKADOKAWAの「ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」がよいのかも知れませんが、シリーズに『荀子』がないので、岩浪文庫にしました、あしからず。『韓非子』と『孫子』だけなら、KADOKAWAでもよいと思います。

ただ、あたしの人生を決定付けたというのであれば、本当は岩浪文庫ではなく、徳間書店の「中国の思想」シリーズなのです。高校時代に出会いました。

写真のように、このシリーズは第一巻が『韓非子』です。おぼろげに中国古典に興味を持っていたあたしは、このシリーズを全巻購入し最初から読み始めました。ですから、まずは韓非子の洗礼を浴びたわけです。

小学生のころからクラスに馴染めず、イジメとまではいきませんが、どちらかと言えばクラスの嫌われ者だったあたしは、他人なんて信用できないという考えに凝り固まっていて、もちろん友達と呼べるような存在もいませんでした。そんなあたしが『韓非子』を読んだわけですから、他人を信じないことは正しいことだ、信じてはいけないんだ、という気持ちにお墨付きを与えられたような気持ちがしたものです。そして今に至るのです。

ちょっと昔話に流れすぎてしまいました。すみません。

文芸作品でお薦めの三冊は、ちょうど「我々の祖先」三部作が完結したカルヴィーノです。すなわち『不在の騎士』『木のぼり男爵』『まっぷたつの子爵』の三冊です。

海外文学というと読む前から難しいと思って敬遠される方も多いですが、こちらは分量もそれほど多くはなく、内容も読みやすい作品ですので、海外文学一年生でも読みやすい作品だと思います。

変な夢

変な夢を見て、夜中に目を覚ましました。

どんな夢かと言いますと、書店回りをしていて、知り合いの人文担当の人に「まだ世間的には無名だけどとっても面白い人がいて、その人のトークイベントがあるから行きませんか?」と誘われたのです。特に用事があったわけでもないので、そして半ば強引にその人文担当者に連れられて行ったのは、イベント会場と言うよりも何かの集会場のような場所でした。

なんと、新進気鋭の研究者だと思ったのは間違いで、その正体はカルト教団の教祖であり、あたしに声をかけてきた人文担当者はその熱心な信者だったのです。こんなところに長居は無用、一刻も早く帰らなければと思った矢先に目が覚めたのでした。

それほどの恐怖は感じませんでしたけど、思い返すとじわじわと恐ろしさがこみ上げてくるものがあります。ちなみに、あたしを勧誘した人文担当者というのが、現実に知っている人だったのか、そうでなかったのか、まるで思い出せません。連れて行かれたカルト教団の教義もどんなものだったのか、そもそもどういう教団だったのかもわからずじまいです。

とりあえず、夢でホッとしました。

グループアイドルの活躍の仕方

本日の朝日新聞夕刊です。乃木坂46の山崎怜奈(愛称、れなち)がカラー写真入りで載っていました。

ところで、朝日新聞を読んでいる人のうち、どれくらいの人が山崎怜奈を知っているでしょう? テレビのクイズ番組で顔くらい見たことあるなあ、という感想の人が多いのかも知れません。ただ、そういう人が山崎怜奈を乃木坂46のメンバーだと認識して見ているのかは疑問です。山崎怜奈はこれまでシングル曲の選抜メンバーに選ばれたことはありませんから、歌番組で見ることもほぼなかったでしょう。

しかし記事にもありますように、れなちはそれで腐ることなく、自分の得意分野を活かして仕事をつかみ取ってきたわけです。大人数のグループアイドルって、選抜メンバーに選ばれて雑誌の表紙やグラビアを飾ったり、歌番組に出演するようなことがないと、どんな活動をしているのか見えてこないと思いますし、そもそも世間に知られることもないでしょう。でも、それでも見ている人はちゃんと見てくれている、ということをれなちの活躍が証明しているように感じます。

このコロナで多くの舞台仕事が飛んでしまいましたが、実は乃木坂46のメンバーの何人かは、予定されていた舞台に出演する予定でした。モデルなどの一見華やかに見える仕事にばかり目が向きがちですが、乃木坂46は実は舞台仕事、演技の仕事に力を入れているグループでもあり、そんな積み重ねが出演舞台のオオサに繋がっているのだと思います。テレビドラマに出ていないと女優として知られることが少ないかも知れませんが、舞台の経験を積んで、しっかりと力を蓄えていけば、舞台だけでなく映画やテレビドラマにも呼ばれる日が来ると思いますので、先輩が切り開いた道を後輩も追いかけていったらよいと思いますし、れなちのように誰も進んだことがない道を自分で開拓するのもありではないでしょうか?

スカパー!が……

わが家では、スカパー!光を契約しています。いろいろ見たり録画したりして、値段ほど使えているかは微妙ですが、それなりには有効活用していると思っています。

スカパー!を見るには、専用のチューナーが必要です。東芝のテレビ「レグザ」では、もとからスカパー!のチューナーが搭載されているモデルもありますが、基本的には専用のチューナーがないと視聴できません。

わが家のチューナーは、Panasonic製の「TZ-WR4KP」という機種です。もう何年使っているか覚えていませんが、非常に便利に使っていました。ところが、このチューナーの調子が昨日からおかしくなりました。

通常はチューナーの窓に時刻が表示されているのですが、それが表示されず、電源ライトは待機状態を意味するオレンジ色がついています。リモコンの電源ボタンを押してもチューナーは反応しません。最初はリモコンの電池切れかと思い電池を交換してみましたが相変わらず。

仕方なく、コンセントを抜いて電源を一度落としてみましたが、やはり何の変化はありません。あえて言えば窓に「HELLO」という文字が表示されました。「おっ、少し待てば正常に戻るかな?」と思って「HELLO」の文字を眺めていましたtが一向に変化なし。ずーっと「HELLO」のままです。

録画予約などが入っているのですが、それはこの状態できちんと動作しているのか、それともまるっきり録画されていないのか、不安は募るばかりです。ネットを見ると同じような症状は見つかりません。電源が入らない、といった症例はあり、その場合はリセットボタンを使うと書かれています。もちろんそれも試しましたが、やはり「HELLO」のままです。さて、どうしたらよいのでしょう? リセットボタンを押したので、録画予約は消えてしまっているのでしょうか?

やはり書店を回っていると得るものがあります

今月から、少し書店回りを再開しようというのが、あたしの勤務先の方針でした。

実はここへ来てコロナの新規感染者がじわりじわりと増えつつあるという現実はあるものの、今月初旬の段階ではやや落ち着きが見られ、寒くなって本格的な第二波が訪れる前のこの時季が書店回りのチャンスだと判断したわけです。

そこで、あたしはコロナ以前にかなり近い状態まで書店回りを再開してみました。あらかじめアポを取って訪問したり、訪問してからまずはお店の方に断わってからであったり、やり方はさまざまでしたが、ほぼすべての書店から、出版社の営業について拒否されることはなかったです。ありがたや、ありがたや。

で、回ってみて気づいたことは、語学書は基本的なものが抜けたままになっている書店が散見されるということです。人文書や文芸書は書評なども出たりして、いま並べるべき本がわかりやすいかも知れません。こちらもそれに絞って電話なりファクスなりで営業をしやすいものです。

しかし、語学書はそうはいきません。もちろん売れている新刊があればそれをプッシュしますが、それ以上に棚から売れる定番書のメンテが大事なジャンルです。その棚のメンテナンスはお店により、棚の大きなにより、どれくらい並べるべきかが異なります。実際に棚を見ないとこちらもお薦めできません。

というわけで、この一か月(正確には半月ちょっと)、売れ筋の新刊と語学書棚のメンテを中心に回っていました。しかし、棚のメンテをする以上に、お店の人と話をすること、そして実査に商品が並んでいる店頭を眺めること、それが自分にとってどれだけ大事なことだったかが再確認できました。

書店員さんが十人いれば十人の意見や感想が聞けます。自分には思いもしなかった視点・視座を提供してくれることも多々あります。この半年近く、あまり書店員さんと話をする機会がなかったので、改めて新鮮か気持ちになりました。

そして、書店回りをしないと書店にもあまり行かなくなり、どんな本が出ているかに疎くなっていたのですが、本屋に行くと実にたくさんの本が並んでいますね。こんな本が出ていたのか、と気づかされることが多かったです。

こういう感覚というか体験、将来的にはネットで置き換えることは可能なのでしょうか? 少なくとも、あたしに関して言えば、置き換えられないと思った次第です。

久しぶりに、いざ、鎌倉!

久しぶりに鎌倉へ行って来ました。

鎌倉と言いますと、関東地方のニュースでは、コロナ禍で人出が減っているとか、逆にコロナなのにこんなに観光客が殺到していると、いろいろ取り上げられる場所です。東京からの距離、歴史の佇まいもありながら、おしゃれなお店も多い、抜群の観光スポットでしょう。

とはいえ、あたしは観光に来たわけではありません。もちろん、鳩サブレーを買いに来たわけでもありません。仕事です、仕事!

そんな鎌倉で見かけた一軒のお店。なんだかわかりますか? 辛うじて「松林堂」という文字が読めるくらいでしょうか?

鎌倉で松林堂と聞いてピンと来る人は本好きの方でしょう。

そうです。ここは松林堂という本屋があった場所です。あたしも何回も営業に訪れ、たぶん閉店の直前にもお伺いしました。その時に、食事処になるという話は聞いていたのですが、あいにくのコロナで訪れる機会もないままに幾年月。

本屋が居酒屋に変わったというニュースはネットでも話題になっていまして、たぶんきっと繁盛しているのでしょう。本屋時代からのお客さんに加え、新たに通うようになった方も大勢いるに違いありません。もとが本屋だけに、看板には「ごはんとおさけ、と本」と書いてありますね。

定休日に当たってしまいましたが、そのうちお客として訪れてみたいと思いました。

それはさておき、鎌倉駅前、東口側は以前からの工事がいまだに続いているようで、いつになったら終わるのだろうかと思います。そしてコロナの影響なのでしょうか、東口も西口も閉まっているお店が非常に目立ちました。松林堂のように定休日という意味ではありません。テナント募集中のような物件が駅前にたくさんあるのです。

たぶんコロナの影響なんでしょうね。それらの物件に新しいテナントが入るようになったときに、コロナを克服したと言えるのだと思います。

今日の配本(20/10/29)

花冠日乗

野村喜和夫 著
朝岡英輔 写真/小島ケイタニーラブ 音楽

コロナ禍のなかで、旧約の大洪水にも比すべきカタストロフィーを感じつつ、生きた証を刻む。言葉と写真とピアノ曲との斬新なコラボ。

青騎士[新装版]

カンディンスキー、フランツ・マルク 編/岡田素之、相澤正己 訳

絵画、音楽、詩、舞台芸術…芸術史上の記念碑となったジャンル不問のダイナミックな芸術論集、初版(1912年)の構成を忠実に再現。

2020年11月の広告予定

1日 戦時リーダーシップ論/民主主義の壊れ方/イギリス近代の中世主義/茶房と画家と朝鮮戦争(北海道、中日、西日本、信濃毎日、神戸)

1日 戦時リーダーシップ論/民主主義の壊れ方/イギリス近代の中世主義/茶房と画家と朝鮮戦争(毎日)

16日 戦時リーダーシップ論/民主主義の壊れ方/イギリス近代の中世主義/茶房と画家と朝鮮戦争(河北)

17日 戦時リーダーシップ論/民主主義の壊れ方/イギリス近代の中世主義/茶房と画家と朝鮮戦争/フランス組曲/まっぷたつの子爵/花冠日乗(京都)

※都合により掲載日、掲載書目が変更になる場合がございますので、ご了承ください。

今日の配本(20/10/28)

まっぷたつの子爵[新訳]

イタロ・カルヴィーノ 著/村松真理子 訳

トルコとの戦争へ出かけた若き子爵メダルドは敵の砲弾で吹き飛び、体をまっぷたつに引き裂かれるが、奇跡的に一命をとりとめ、右半身だけの体で領地に帰ってきた。しかし、その性格は以前とは一変していた。メダルドの通ったあとには半分に切り裂かれた果実や作物、動物たちがちらばり、彼の開く裁判ではどんなに軽い罪でもすべて絞首刑に処された。お城の年老いた乳母は言った。「帰ってきたメダルドは邪悪なほうの半分らしいね」。人々は半分になった子爵が領内に落とす暗い影に怯えた。ある日そこへもうひとりの子爵、良いほうの半分が帰ってきた……。人間存在の歴史的進化を寓話的に描いた三部作《我々の祖先》の第一作『まっぷたつの子爵』を清新な新訳で贈る。三部作執筆の経緯を作者自ら解説したエッセー「一九六〇年の覚書き」(本邦初訳)を併録。翻訳権取得。