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Rockfield's Diary
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100冊まであと一歩?

書店でちくま文庫のフェアをやっているのを見かけました。そしてそこに置いてあったのがこの小冊子です。この12月でちくま文庫は創刊40周年なのですね。
「わたしだけの、とっておき。100人100冊のちくま文庫」というタイトルで、ちくま文庫がズラリと並んでいました。
あたしのしばしばちくま文庫は買っていますが、さすがに100冊はないだろうと思って、自宅の書架を確認してみました。
筑摩書房は、ちくま文庫の他にちくま学芸文庫というレーベルも出していまして、あたしの書架にはちくま学芸文庫がたくさん並んでいました。
二枚目の写真は上と下には別のレーベルが並んでいますが、真ん中に見えるのがちくま学芸文庫です。自分では、ちくま文庫だと思っていたのですが、今回改めて見たところ、ちくま文庫ではなく、ちくま学芸文庫でした。
そして、これも別の書架ですが、並んでいるのはちくま学芸文庫ばかりです。ちくま学芸文庫は、岩波文庫と並んで、たくさんの中国古典の現代日本語訳を出しているレーベルではないかと思われます。かつて刊行していた全集を文庫化したものかも知れませんが、中国学専攻の学生には外せないレーベルでしょう。
左の写真は、ずいぶんと初期のちくま学芸文庫ではないかと思います。かなり以前、たぶん学生時代か、社会人になってもまだ駆け出しのころに飼ったものだと思われます。
ちくま文庫とちくま学芸文庫の差は何か、他社の人間である自分にはよくわかりませんが、古典作品や学術よりのものが学芸文庫にラインナップされているのかなと思います。
と思っていましたら、ついにちくま文庫を見つけました。それが右の「魯迅文集」です。今の時代からすれば、魯迅はもう古典だと思いますし、魯迅を読むなんて、やはりちょっと学術よりだと思うのですが、これはちくま文庫なのですね。
カバーの色が白いのがちくま学芸文庫、クリーム色のがちくま文庫なのかなと思いきや、必ずしもそうではないようです。
「魯迅文集」を確認した後に、「あっ、あれは学芸文庫だったかな」と思って確認したのが、左の写真です。
「韓非子」や「史記」といった中国古典作品、それも思想や歴史ジャンルの作品ですから、これらは言うまでもなくちくま学芸文庫でした。
ちくま文庫とちくま学芸文庫、両方を足すと100冊くらいになりそうです。フェアのタイトルに引っかけて言えば。「100人100冊」ではなく「1人100冊」です。
ちなみに、フェアの小冊子の最後に「ちくま文庫6つのウラ話」というのが載っています。なんとなく気づいていたような、でもそういう意味だったのかと改めて教えてもらいました。
アトウッドの恐れ

この十数年、あたしが学生時代に学んだ世界情勢やそれに関わる知識がどんどん更新されているように感じます。そもそも中国共産党の一党支配はとうの昔に終焉を迎えているはずではなかったのか、もっと平和な、それこそ自衛隊も最小限に縮小し、災害救助隊のような組織に換骨奪胎されているはずだと無邪気に未来を予想していました。
ソ連(←この単語も死語か?)の共産党支配が崩壊し、東西の対立はなくなったはずなのに、ソ連時代よりもさらに強権的な現在のロシア、そしてますます権力の集中が進む中国。それに倣うかのような発展途上国の開発独裁的な国々。そういう流れのトドメがアメリカのトランプ大統領の再登場なのではないかと感じます。
そんな情勢が影響しているのでしょう。これまでであればなんとなく気にはなっても、そこまで関心を抱かなかったものに再び関心が集まっているようです。書籍で言えば「民主主義」とか「権威主義」とか、本来であれば改めて新刊を出すまでもないようなテーマやタイトルが目に付きます。「アナキズム」などもここ数年のトレンドの一つではないでしょうか。
この中公新書『福音派』も、そんな流れの中の一冊ではないでしょうか。「福音派」という言葉は知っている人、聞いたことがある人も多かったかと思いますが、わざわざ新書を出すほどのものでもなかったかもしれません。それがトランプ政権の登場でにわかに脚光を浴びて刊行され、あれよあれよと言う間にベストセラーになっています。
そんな『福音派』の中にこんな箇所を見つけました。見出しは「アトウッドの恐れ」です、もちろん作家マーガレット・アトウッドのことです。どうして「福音派」を語る本の中にアトウッドが出て来るのか。
『福音派』が取り上げているのは、もちろん彼女の代表作と言ってよい『侍女の物語』です。そこに描かれている世界が福音派や原理主義的な立場が強くなった世界を暗示していると解釈できるからなのでしょう。そして数十ページ読み進めていくと
本章の冒頭で見た『侍女の物語』でのアトウッドの恐れも、ラッシュドゥーニーに代表されるような過激な主張を念頭においていたのかもしれない。
と書かれています。
アトウッドの凄さは、最近復刊された『ダンシング・ガールズ』でも読み取ることができます。『侍女の物語』よりも前に刊行された本書は、30年近くも前の作品だとは思えないほど今を描いています。今を先取りしていると言った方がよいかも知れません。
この作品から、作家はさらに当時のアメリカの情勢を観察して『侍女の物語』を生み出したのではないかと思えます。そして『ダンシング・ガールズ』は短篇集なので、どこからでも読み始められます。『侍女の物語』ともども、是非よろしくお願いいたします。
話はころっと変わりますが、アトウッドは1939年生まれで今年86歳(誕生日は11月18日)で、来月邦訳が刊行予定のミルハウザーは1943年生まれの82歳。どちらもお元気で、まだまだたくさんの作品を残して欲しいものです。ちなみに来月刊行のミルハウザーの邦訳は『高校のカフカ、一九五九』という作品です。
近刊情報(25/10/24)

今日の配本(25/10/24)

移民/難民の法哲学
ナショナリズムに向き合う
横濱竜也 著
ここにきて移民/難民に関する議論が本格化しつつある。今夏の参院選では移民規制が大きな争点となった。
ところが、日本での従来の議論はグローバル化や経済的要請にもとづくもので、どうしても皮相なものになりがちだ。政治的・社会的な背景が考慮されないままに話が進んでしまっているのである。これでは、「ポピュリズムの仕掛人」によって足元をすくわれる危険もある。こうした懸念を払拭すべく、移民論の哲学的・社会科学的な基礎を構築するのが本書である。
しばしお待ちを!

あたしの勤務先のSNSでは、新刊の見本が到着すると写真入りでポストしておりますが、その時の反響も大きく、さらにはその前の情報解禁でも大反響だった『ヘーゲル読解入門』がまもなく配本になります。ちょうど見本出しをしたところですので、いましばらくお待ちください。
新書版の上下巻、二冊揃っての発売となりますが、カバーはご覧のような感じに仕上がっております。落ち着いた色合いですね。
ただ、あたしの印象としては、和食などの定食で最後に出て来るデザートのごまアイスが思い出されました。写真では伝わりにくいかもしれませんので、ぜひ実際に書店で手に取っていただきたいと思います。
ところでこの『ヘーゲル読解入門』も含まれるシリーズ《思想の地平線》も刊行点数が八冊になりました。並べてみると二枚目の画像のような感じです。
カバーは全体として渋めの色使いで、あたしは好きですが、読者の方の印象や感想はどんなものなのでしょう。気に入ってもらえると嬉しいです。
さて『ヘーゲル読解入門』は30日配本ですから、都内の大型店などでは31日には店頭に並び始めるのではないかと思います。東京以外の書店ですと店頭に並ぶのは11月に入ってからになると思いますが、楽しみにお待ちください。
それにしても21世紀のこの時代に、ベルジャーエフやコジェーヴを刊行するなんて、きわめて珍しい出版社なのではないでしょうか。われながらそんな風に思います。