今日の配本(25/06/27)

1619年プロジェクト(上)
アメリカの黒人差別の歴史

ニコール・ハナ=ジョーンズ 編/森本奈理 訳

建国史を奴隷制と黒人の視点から捉え直し、最初の黒人奴隷が到着した「1619年が米国の真の始まり」と位置づけ大反響を呼んだ書。

初心生涯
私の履歴書

鈴木忠志 著

大自然の気候変動の渦中を「初心の人生」をめざして劇的に生きてきた、世界的演出家による初の回顧録。秘蔵写真・決定版年譜収録。

悲劇の誕生
あるいはギリシア精神と悲観論

ニーチェ 著/浅井真男 訳

「ディオニュソス的とは何か? それが問題なのだ。その答えがここにある。」
悲劇を死に導いたソクラテス以降の理性的、アポロン的なものへと傾いていくヨーロッパを鋭く批判する、ニーチェ哲学の起原。

仮に三社祭と呼んでいます

東京の町田市を中心にチェーン展開している書店、久美堂。その一つ、玉川学園店という店舗が小田急線の玉川学園前駅直結のビルの中にあります。

そこで少し前から、筑摩書房、柏書房、そしてあたしの勤務先三社によるフェアが始まりました。同店のレジ前の一等地で展開中です。

各社30点各3冊(あたしの勤務先は一部アイテムは2点)でスタートしたフェアですが、看板とポップでご覧のように棚を飾っています。地元の方だけでなく、玉川学園の先生も立ち寄り、手に取り、お買い上げいただいているとのことです。

そしてあたしの勤務先の部分を少し大きめに撮ったのが二枚目の画像です。上述したように各三冊、やや高額のものは二冊でスタートしているのですが、フェア開始一週間も経っていないのに残り一冊になってしまっているアイテムが複数あります。なんという好スタートでしょう。ありがたいかぎりです。

このペースで売れるなら、途中で補充をした方がよいのでしょうか。そんな気にさせてくれるフェアです。お店の方と相談したいと思います。

ところで今回の三社によるフェア、あたしたちは勝手に「三社祭」と呼んでいます。「さんじゃまつり」ではなく「さんしゃまつり」です。「三社祭@久美堂」と覚えていただければ嬉しいです。

そして、同店が少し前にリニューアルオープンした時に、みすず書房、亜紀書房、岩波書店の三社でスタートしたフェアの第二弾となります。第一弾の三社祭(仮)は玉川学園店で終了後、町田駅前の本店に場所を変えて継続中です。今回始まったあたしたちの第二弾も玉川学園店でしばらく展開した後には本店へ移動して継続予定です。

第三弾の三社祭(仮)も仕込みが始まっているようですので、沿線の皆さま、是非お楽しみに!

今日の配本(25/06/19)

図書館 愛書家の楽園[新装版]

アルベルト・マンゲル 著/野中邦子 訳

アレクサンドリア図書館、ネモ船長の図書室、ヒトラーの蔵書、ボルヘスの書棚……古今東西、現実と架空の〈書物の宇宙〉をめぐる旅。

パリ歴史事典[新装版]

アルフレッド・フィエロ 著/鹿島茂 監訳

パリの歴史といっても、政治史ではなく、パリジャンたちの日常生活を題材にしたものである。犬、オペラ、キャバレー、劇場、下水道、市長、宝くじ、地下鉄、売春、パサージュ、四輪馬車といった600の項目により、文化・政治・宗教から芸術・風俗習慣にいたるまで、パリの生活のあらゆる側面が歴史的に論じられている。

呉明益と高座海軍工廠

台湾の人気作家・呉明益の作品を何作か読んだことがありますが、第二次大戦の影が色濃いのが特徴的だと思います。もちろん作家自身が実際に戦闘に参加したような年齢ではないので、親の体験、親から聞いたことを作品に昇華しているわけですが……

そんな呉明益作品を読んで知ったのが、高座海軍工廠です。高座とは神奈川県にある地名で、あたしも薄ぼんやりと、そこに軍需工場があるのは知っていましたが、それ以上のことは何も知らず、『眠りの航路』でより詳しく知った次第です。もちろん小説ですから脚色はあるでしょうし、あくまで呉明益の取材に基づく描写ですから、細部においては事実と異なるところもあるでしょう。でも雰囲気はよく伝わってきました。

そして、今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。記事の石川さんは、当時の「宿舎の舎監の息子」とありますから、呉明益の父親と面識があるのかもしれません。ハッキリとした記憶はないかも知れませんが、恐らくたぶん実際に顔を合わせたことはあるのでしょう。そんなことを考えるととても不思議な気がします。

なお『眠りの航路』は小説ですが、もっと気軽に読めるエッセイとしては『我的日本』所収の「金魚に命を乞う戦争」があります。こちらには『眠りの航路』執筆に至る取材のことなどが描かれています。