今日の配本(24/03/19)

カフカふかふか
とっておきの名場面集

下薗りさ、木田綾子 編

魅力的なキャラがいっぱい登場し、出だしも面白い。描かれる世界は謎だらけ。そんなカフカ作品のふかふかエッセンスがこの一冊に。

探しているのは、ビジネスバッグではなく、営業バッグ!

昨年の6月にカバンについて書きました。どちらかというと不満をたらたらと書いてしまったようなダイアリーでした。その後、7月にはカバンを買い直そうとも書きました。実は、そのカバン(リュック)ですが、壊れました。

頭の部分、持ち手が付いていますが、そのあたりのファスナーのところがほつれてしまったのです。荷物の重さに耐えきれなかったのでしょうか。とにかく縫ってあったところなのか、布自体なのかわかりませんが、ちょっと穴が空いていたのを見つけたと思ったら、あっという間に広がってしまい、使い物にならなくなりました。

そして購入して、いま使っているのが右の画像のカバンです。肩掛けのトートバッグにもなるし、リュックにもなるというタイプのカバンです。

リュックとトートのいいとこ取りならよいのですが、やはりリュックとしてもトートとしても中途半端な感じがします。そして、最大の欠点は、やはり外ポケットのマチがほとんどないこと、そしてポケットの大きさが小さすぎることです。前にも書きましたが、これでは本を持ち歩くには不便極まりないです。

ネットで「ビジネスリュック」と検索すると、安いものから高いものまで、たくさんの商品がヒットします。でもこれって結局、通勤用のリュックでありカバンなんですよね。だから見た目はスマートにすっきりとしたものが多いように感じます。

あたしのように営業向けのリュックやカバンではないのです。たまに営業向きと謳っているカバンでも、それは営業先の会議室や応接室で椅子に座って資料を広げる、あるいはノートPCでプレゼンをする、というの使い方を念頭に置いた商品のようです。

でも、そんな営業をあたしはしていません。あたしの場合は、書店に行って、棚の前でファイルを広げて、商品を勧める、そしてまた次の書店へ行ってファイルを広げ、注文書を渡し、セールストークを繰り出す、という営業です。ファイルを出したり仕舞ったりを繰り返すので、背中に背負ったリュックよりは肩から懸けるカバンの方が圧倒的に使いやすいのです。

しかし、注文書が入った重いカバンを肩に懸けて歩くのは体力的にもキツいので、やはりリュックの方が体への負担が軽くなります。そんなところからトート兼リュックというカバンを買ってみたのですが、少々期待はずれでした。

こんなかなり特殊な用途に特化したリュックってどこかに売っていないものでしょうか?

併売どころかセット販売でしょ?

新潮社のクレスト・ブックスから『あなたの迷宮のなかへ カフカへの失われた愛の手紙』という新刊が刊行されました。今年はカフカの没後100年にあたりますので、それを意識しての出版でしょう。本書の内容を公式サイトから拾ってみますと

没後百年を迎えるカフカの恋人として知られるチェコ人女性ミレナ。カフカから彼女への手紙は後に出版されたが、失われてしまったミレナからの手紙には何が書かれていたのか。作家への愛と情熱、父や夫との葛藤、そして自身の孤独と叫び。別離後もカフカを慕い続け、強制収容所で絶命した女性の魂を、現代の作家が甦らせる。

とあります。ここに書いてある「カフカから彼女への手紙は後に出版された」とあるのが、あたしの勤務先から刊行されている『ミレナへの手紙』です。こちらは

カフカは手紙に日付を入れる習慣がなかった。ゆえに手紙の配列を間違えて読むと、二人の関係、手紙の持つ意味がまったく変わってくる。カフカが恋人宛てに書いた、新編集による書簡集。

という内容になります。つまり『ミレナへの手紙』はカフカ自身が書いたものを編集したものであるのに対し、『あなたの迷宮のなかへ』は恐らく『ミレナへの手紙』をベースに作家が想像によって復元したミレナからカフカへの手紙なわけです。

一方はノンフィクション、一方はフィクションではありますが、この二冊は両方揃えて一つのまとまりになる、そういうペアではないでしょうか。書店員の皆さまには、ぜひ両方並べて展開していただければと思います。

2024年2月のご案内

2024年2月に送信した注文書をご案内いたします。

   

まずはいつもの通り、「今月のおすすめ本」です。そしてノーベル文学賞受賞作家グルナの『楽園』が順当に売上を伸ばしています。SNSで盛り上がり、いきなり注文が殺到した『歌詞のサウンドテクスチャー』、そして同じくSNSで話題の『穴持たずども』もそれぞれ重版が決まりました。

 

続いては文庫クセジュ。新刊の『ビザンツ帝国の歴史』が早々と重版が決まり、朝日新聞読書欄の記事がきっかけで注文が伸びた『ポピュリズムに揺れる欧州政党政治』の二点が重版になりました。

  

最後に月の後半に来て語学書のご案内。まずは「今月のおすすめ本[語学書]」です。そしてNHKテキストの広告は、年度初めの4月号なので全言語に掲載予定で、それだけで別にご案内をしました。ラストは『ニューエクスプレスプラス ウズベク語』が刊行早々に重版となりましたので、そのご案内です。

今日の配本(24/03/01)

手はポケットのなか
コーダとして生きること

ヴェロニク・プーラン 著/志村響 訳

きこえない親のもとに生まれた、きこえる子どもChildren Of Deaf Adults、略してCODA(コーダ)。時として、手話と音声言語のバイリンガルとなること、幼くして親の通訳者の役割を担わされることが運命づけられもする。きこえる世界ときこえない世界、音声言語と手話を行き来する著者が、家族への葛藤と愛を強烈なユーモアとともに描く自伝的エッセイ。

今日の配本(24/02/29)

房思琪の初恋の楽園

林奕含 著/泉京鹿 訳

高級マンションに住む13歳の文学好きな美少女・房思琪は、憧れの国語教師から性的虐待を受ける関係に陥り…。台湾の実話に基づく衝撃作。解説:小川たまか。

スターリングラード(上)

ワシーリー・グロスマン 著/園部哲 訳

『人生と運命』(みすず書房)の読者が待ち望んだその前編となる全三巻。人情味あふれる物語が居間のランプに照らされ、戦場の火炎に炙られる。市民と兵士に、さらにはドイツ兵にも同情の視線が注がれたポリフォニックな群像小説。

すばらしい孤独
ルネサンス期における読書の技法

リナ・ボルツォーニ 著/宮坂真紀 訳

本書はおもにルネサンスの人文主義者たちを読者という観点から捉え、彼らの読書行為と著作との関係を読み解こうとする試みである。読書と創作をめぐる著者の考察は、論述の対象を特定の著者や作品に絞り込むのではなく、読書と創作を切り口にルネサンスの人文主義者たち(そして、プルーストまで)を有機的に結び付けているところに既存の研究とは異なる特徴があり、ルネサンスと古典との関わりに新たな視点を与えてくれる。