嘘と言うか、偽と言うか、詐欺と言うか

今日は4月1日、エイプリルフールです。日本の企業はあまりやらないようですが、海外の企業ですと、思いっきり嘘の広告や告知、SNSでのつぶやきを発信して、世間の人々を惑わせる、なんてことをやって楽しんでいるようです。そういう嘘の広告に見事に引っかかってしまう通信社も過去にはあったりしましたね。

というわけで、嘘の告知ではありませんが、勤務先の刊行物で嘘に関わる書籍をいくつかご紹介します。

まずは『偽りの来歴』です。これは実話です。ドキュメンタリーでして、刊行当時、NHKだったかでも話題にしていた世界的なニュースを扱ったものです。そのため非常によく売れたという記憶が残っています。

続いては小説、『過去を売る男』です。これも小説だと書きましたが、実はこういうことって、海外ではしばしばあるようです。たとえばヨーロッパなどではナチに関わった過去を消すために、全くでっち上げの履歴を作ってくれる組織のようなものがあるそうです。本書も、ほのぼのとしたヤモリの語りで進むのですが、徐々にサスペンス色が強まってくる、非常に読んでいて楽しい一冊です。

そして最後にご紹介するのは、こちらも小説、『詐欺師の楽園』です。東欧の架空の国を舞台に繰り広げられる、贋作者の物語ですが、これもまたスリリングでもありつつ、非常にコメディ要素もある楽しい作品です。

詐欺師であり、贋作者であるというところは『偽りの来歴』に通じるものがあります。200頁程度の本なので、あっという間に読み終わってしまうことでしょう。

というわけで、エイプリルフールにオススメの三点でした。

確かに文庫では読めませんが……

最近、こんな本を見つけたので買ってみました。青弓社の『世界文学全集万華鏡』です。同社のサイトには次のように紹介されています。

本書では世界文学全集に収録され、かつ一度も文庫化されていない海外文学作品70点を厳選して紹介。河出書房の「世界文学全集」や筑摩書房の「世界文学大系」など37の全集をもとに、イギリス、ロシア、ドイツやラテンアメリカの作家の貴重な作品を案内する。

この紹介の後には同書の目次が載っていまして、どんな世界文学が文庫化されていないのかがわかります。眺めていますと、あたしのようなド素人には知らないタイトルばかりが並んでいるのですが、確かに各社の文庫で見覚えのあるような作品はないですね。文庫化されていないわけですから当然ですけど(汗)。

そんな中で目に付いたのが、比較的最初の方、イギリス文学の中にあった「ジョージ・エリオット「フロス河の水車場」」です。ジョージ・エリオットならほとんど文庫化されていそうな気がしますが、エリオットはこの他に『ロモラ』も挙がっていますので、まだまだ未文庫化の作品があるのですね。

話は戻って『フロス河の水車場』ですが、画像をご覧ください。タイトルが「水車場」から「水車小屋」にちょっと変わっていますが、エリオットの『フロス河の水車場』です。

そうです。白水Uブックスで登場したのです。もう書店に並び始めていると思いますので、「登場した」と過去形で書いても大丈夫だと思います。そして同書は過去の文学全集に収録されていたものをUブックスにしたのではなく新訳です。

確かに文庫では読めませんが、新書サイズであれば許してくださいませ。ちなみに、新書サイズではありますが、各400ページ超えの上下本です。お手軽に手に取ってくださいと言えるようなボリュームではありませんが、是非どうぞ。

そして、今後も同書に挙がった「文庫で読めない世界の名作」がUブックスで読めるようになることがあるのでしょうか?

今日の配本(25/03/28)

中村屋のボース[新装版]
インド独立運動と近代日本のアジア主義

中島岳志 著

日本に亡命したインド独立の闘士、R.B.ボース。アジア解放への希求と日本帝国主義との狭間で引き裂かれた懊悩の生涯、ナショナリズムの功罪を描く、渾身の力作評伝!

ルペンと極右ポピュリズムの時代
〈ヤヌス〉の二つの顔

渡邊啓貴 著

ヨーロッパを揺るがすカリスマ親子と極右政党はいかに台頭したのか? 第二次大戦以後の政治・社会史から説き起こす記念碑的著作!

今日の配本(25/03/27)

フロス河の水車小屋(上)

ジョージ・エリオット 著/小尾芙佐 訳

最愛の家族との牧歌的な生活を父の破産で失ったマギーは、やがて父の宿敵の息子や従妹の婚約者との間で運命の激流に飲みこまれていく。

フロス河の水車小屋(下)

ジョージ・エリオット 著/小尾芙佐 訳

最愛の家族との牧歌的な生活を父の破産で失ったマギーは、やがて父の宿敵の息子や従妹の婚約者との間で運命の激流に飲みこまれていく。

インド外交の新たな戦略
なぜ「バーラト」が重要なのか

S・ジャイシャンカル 著/笠井亮平 訳

複雑さを増す国際情勢とインドの立ち位置、その中で追求されるべき理想や国益について、現職の外相が自ら語り尽くした必読書。

戦後日本と政治学史
古典をめぐる十の対話

熊谷英人 編

福田歓一、有賀弘、田中治男、藤原保信、佐々木毅、福田有広、川出良枝……燦然と輝く戦後政治学の古典を若き俊英たちが読みこむ。

今日の配本(25/03/26)

テオドラ
女優からビザンツ皇后、聖人へ

デイヴィッド・ポッター 著/井上浩一 訳

多くの障害を乗り越えて重要な政治家のひとりとなり、夫の危機を救った皇后。同時代人の著作と最新の研究成果をもとに、その実像を探る。

この三社の並びに気づかれた方は!

土曜日と言えば、新聞の読書欄が気になるというのはこの業界の恒例です。日曜日に載る新聞もありますが……。そして先々週の『陽だまりの昭和』、先週の『日本の反戦非戦の系譜』に続き、今週はこちらの書籍が掲載されています。

それが『厨房から見たロシア』です。著者はヴィトルト・シャブウォフスキ。あたしの勤務先からこれまでに『踊る熊たち』『独裁者の料理人』を刊行しています。どちらも話題となり、好評をもって受け入れられた二冊です。

そして本日の評を読むと、これもまた面白そうな一冊ですね。自社の本なのに読んでいないのが、営業としては申し訳ないのですが、改めて面白そうな本だと認識した次第です。ちなみに本書もそうなのですが、『独裁者の料理人』もレシピが掲載されていますので、日本でどれだけ食材や調味料が揃うのかわかりませんが、ご興味がある方は挑戦するのもよいのではないでしょうか?

ところで二枚目の画像は、本日の読書欄を引きで撮った写真です。写っている書籍をご覧になって気づかれた方はいらっしゃるでしょうか。

とはいえ、何に気づけばよいのか、気づく点はいろいろとありますよね。申し訳ありません。実はここに写っている出版社に注目してほしいのです。

東京大学出版会、みすず書房との三社で、四年に一度「レビュー合戦」というフェアをやっていますが、その三社が勢揃いしているのです。「レビュー合戦」は三社の社員がそれぞれ他社の書籍をお互いに批評し合うというフェアで、オリンピックイヤーに書店で開催しているものですが、いみじくも朝日新聞紙上でレビュー合戦っぽいものが再現されてしまったわけです。