今日の配本(24/09/12)

ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件

ホルヘ・ルイス・ボルヘス、アドルフォ・ビオイ=カサーレス 著/木村榮一 訳

身に覚えのない殺人の罪で投獄され、服役中の元理髪店主イシドロ・パロディが、面会人が持ち込む数々の難事件を対話と純粋な推理のみで解き明かしていく。熱心な探偵小説ファンでもあるボルヘスとその盟友ビオイ=カサーレスがH・ブストス=ドメック名義で合作。二十世紀文学の最前衛に位置する二人の作家のもうひとつの貌を教えてくれる、奇想と逆説と諧謔に満ちた探偵小説連作集。

基本をマスター! タイ語文法ドリル

水野潔 著

タイ語は単語が変化・活用を一切しませんから、語順が大切。といっても難しい語順があるわけではありません。タイ語の語順を、豊富な練習問題を通して定着させましょう。

忘れてはいけない……

日本では3月11日の東日本大震災によって上書きされてしまった感がありますが、11日というと、それまでは9月11日のニューヨーク同時多発テロを思い出すことが多かったはずです。

そんな同時多発テロを扱ったピュリツァー賞受賞の翻訳書『倒壊する巨塔』を刊行したのが、ついこの前のことのように感じられます。

ついこの前というのは実は正しくて、一枚目の写真は最初に出版した『倒壊する巨塔』ですが、それはしばらく品切れになっていって、つい最近新装版として刊行されたのが二枚目の『倒壊する巨塔』です。2001年ですから、今の若い人は記憶がないかも知れませんが、あたしたちはテレビ報道にかじりついて、「これは映画のワンシーンか」という映像に衝撃を受けたのを覚えています。これがその後の世界情勢の不安定化の始まりでしたね。

そして、ニューヨークのテロから20数年たってどんどん崩れ去っているのは街の書店です。いや、ヨーカドーとか地方の百貨店など、書店以外もどんどん無くなっています。じゃあ、何が残っているのかと問われると、限界集落なのでしょうか。

そして最近もまた一軒。東京の渋谷と自由が丘の間、東横線の祐天寺駅前にある王様書房が閉店してしまいました。既に中は空っぽで、少し前まで本屋だったなんて「BOOKS」という文字を見なければわからないのではないでしょうか。

入り口のガラスの引き戸に店主口上が貼ってありました。8月末で閉店だったそうです。

王様書房は、昔からある駅前の本屋さんという雰囲気で、あたしの勤務先の本も並べてくれていましたし、客注の電話がしばしばかかってくるような書店でした。とても残念です。

確かに、本を買うのであれば渋谷や横浜に出てもよいですし、沿線にはいくつも書店があります。祐天寺から電車で通勤通学している人であれば、さほど不便を感じないのかも知れません。しかし、滅多にお出かけしない、地元密着の方にとっては、ここがなくなってしまうと本を買うにはどこへ行けばよいのでしょう。

地方だけでなく、東京でもこうして本屋がどんどん消えているのです。むしろ周辺人口比で考えると地方よりも東京の方が「ゼロ本屋問題」は深刻なのかもしれないですね。

今日の配本(24/09/11)

フランス語統辞法[新装版]

川本茂雄 著

言語学・フランス語学・英語学から記号学・詩学まで、幅広い分野で活躍した著書が編んだ本書は、モーパッサン、プルースト、コレット、サルトルなどの名文から豊富な例を引きながら、「統辞法syntaxe」―つまり語と語の関係や文の構造を精緻に分析していく。第I部「文の主要構成要素」は主語・動詞・目的語・補語などの要素を、第II部「主辞と限定辞」は名詞・代名詞・形容詞・副詞の補語を、さらに第III部「文の種類」では肯定文・否定文・疑問文・命令文などを扱う。待望の名著復刊。

今日の配本(24/09/09)

思い出されることを思い出されるままに
映画監督ラナ・ゴゴベリゼ自伝

ラナ・ゴゴベリゼ 著/児島康宏 訳

90歳を超えてなお新作を発表し、ジョージアでもっとも重要な映画監督のひとりであり続けているラナ・ゴゴベリゼ──その彼女が自らの来し方を「思い出されるままに」綴った文学的メモワール。母ヌツァが流刑先での経験を綴った短篇小説を併録。

ガイブンを読む醍醐味かしら?

知っている人、面識のある方がメディアに登場すると不思議な気分です。本日はこちら。

朝日新聞の別刷beに、韓国文学の翻訳で著名な斎藤真理子さんが登場しています。写真には斎藤さんが手掛けた数々の韓国文学が並んでいます。

あたしもこれらのうち何冊かは読んでいます。斎藤さんの訳文は読みやすく、グイグイ引き込まれます。翻訳だけなく、作品を選ぶ才能にも優れているのでしょう。斎藤さんの翻訳作品はハズレがありませんから。

その別刷をめくるとインタビューも載っています。その中にあたしの勤務先から出ている『別れを告げない』の名前も登場します。

済州島事件を背景とした作品です。詳しいことは知らなくとも、光州事件という名称を知っている日本人は多いと思います。しかし、済州島事件となると、その名称すら知らない日本人がほとんどだと思います。かく言う、あたしがその一人でした。

でも歴史を描いているだけでなく、それを踏まえて今を生きる人たちが描かれている、今を生きる人たちがしっかりと歴史と向き合っている、そんな作品が韓国文学には多いように感じられます。もちろん『カステラ』のように、そういう堅苦しいこと抜きで楽しく読める作品も多いですが、その国の歴史や文化、人々の暮らしや思いを知ることができるのが海外文学を読む醍醐味ですね。

H・ブストス=ドメック

12日が配本予定ですから、その週末には書店店頭に並び始めるでしょうか。はい、白水Uブックスの新刊『ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件』のことです。

本書の装丁はこんな感じです。ちょっと怖い感じがしますかね。それがまたよいのだと思います。

本書は2000年に岩波書店から刊行されたものを、このたび白水Uブックスとして復活させたものです。岩波書店版をお持ちの方も本書の「追記」に次のように欠かれているのを読むと、Uブックス版も手に入れたくなるのではないでしょうか。曰く

せっかくの機会だからと思い、もう一度訳文と原文を突き合わせて手を入れることにしたが、結果的にはかなり手直しをすることになった。

訳者自身による新訳と呼んでもよいのではないでしょうか。

ちなみに、ダイアリーのタイトルである「H・ブストス=ドメック」とは、扉裏に書いてくれていますが、1942年に原書が刊行されたときに著者二人の合作者としてのペンネームで発表されたそうで、そのペンネームです。