今日の配本(23/05/30)

ポスト新自由主義と「国家」の再生
左派が主権を取り戻すとき

ウィリアム・ミッチェル、トマス・ファシ 著/中山智香子、鈴木正徳 訳

左派の退潮が言われて久しい。世界中が新自由主義に覆われ、格差や貧困がクローズアップされたにもかかわらず、左派への支持は広がらなかった。いや、むしろ左派への風当たりはより強くなったと言えるかもしれない。一方、右派や極右はますます支持基盤を拡大しているように見える。左派退潮の分岐点はどこにあったのか? 左派を再興することは果たして可能なのか? 「左派を再び偉大に」することを狙う本書は、この問いに正面から答える。

幸福なモスクワ

アンドレイ・プラトーノフ 著/池田嘉郎 訳

プラトーノフが一九三三年から三六年にかけて執筆した長篇『幸福なモスクワ』。この「モスクワ」とは、当時、スターリン体制下で社会主義国家の首都として変貌を遂げつつあった都市モスクワと、そこから名前をとった主人公モスクワ・チェスノワをあらわす。彼女は、革命とともに育った孤児であり、美しいパラシュート士へと成長していく。来たるべき共産主義=都市モスクワを具現化するような、大胆で華やかな女性として活躍するモスクワ・チェスノワだが、思わぬアクシデントによってその嘱望された前途は絶たれる。だが、彼女の新たな人生と物語とが始まるのはむしろそこからだ。

ポーランドの人

J.M.クッツェー 著/くぼたのぞみ 訳

ショパン弾きの老ピアニストが旅先で出会ったベアトリスに一目惚れ、駆け落ちしようと迫るが…。究極の「男と女」を描くクッツェー最新作!

短編集か、短篇集か

昨日のダイアリーで、あたしは完全に間違ったことを書いてしまいました。改めて引用します。

Uブックスの『悲しき酒場の唄』がまるまる復活したわけではないのです、表題作『悲しき酒場の唄』は復活なのですが、それ以外の収録作品は、ちくま文庫の短編集には収録されないのです。

この部分が間違っていました。今回のちくま文庫は、かつてのUブックスの内容がまるまる収録され、それにプラスして新に邦訳された短編も収録されているのです。ですから、「騎手」、「家庭の事情」、「木、石、雲」の三篇は、もちろんちくま文庫版にも収録されております。たいへん失礼いたしました。

ところで、あたしも表記がバラバラだったりするのですが、今回のちくま文庫は『マッカラーズ短篇集』なんであって、『マッカラーズ短編集』ではないんですよね。「短編」と「短篇」って何が違うのと問われると、正確には答えられないのですが、あたしは「短篇小説」「長篇小説」という表記の方が好きですし、特に固有名詞でなければ、こちらの表記を使います。

若干の訂正

昨日のダイアリーで、Uブックスの『悲しき酒場の唄』がちくま文庫から復活すると書きましたが、この書き方ですと正確ではないので、改めてここで訂正したいと思います。ここではちくま文庫『マッカラーズ短篇集』の編訳者解説を引用いたします。

本書はカーソン・マッカラーズ『悲しき酒場の唄』(西田実訳、白水Uブックス)を元にした短編集である。西田訳には表題作と「騎手」、「家庭の事情」、「木、石、雲」の三つの短編が収録されていたが、文庫化に際して、底本の作品集に掲載された残り三つの短編「天才少女」、「マダム・ジレンスキーとフィンランド国王」、「渡り者」と、底本には未収録の初期の短編「そういうことなら」を、編訳者であるハーンが訳出した。

とありますように、Uブックスの『悲しき酒場の唄』がまるまる復活したわけではないのです、表題作『悲しき酒場の唄』は復活なのですが、それ以外の収録作品は、ちくま文庫の短編集には収録されないのです。

やはり、期待されていた方をがっかりさせてはいけませんので、あえて補足、訂正、修正いたしました。逆にUブックス版を架蔵されていた方にとっては、底本から未訳出の作品も読めるようになったので、これはこれで嬉しいことではないでしょうか。

 

重版や復刊ではないですが、生き返りました!

かつてUブックスに『悲しき酒場の唄』という一冊がありました。著者はカーソン・マッカラーズです。現在は品切れで、在庫が切れてずいぶん長い時間がたっていますので、店頭でも見かけることはまずない一冊です。

ただ探している方は意外と多いようで、時々「在庫は残っていませんか?」という問い合わせの電話を受けることがありました。さすがに、ここ数年はもう版元在庫も残っていないと理解されたのか、そういう問い合わせもめっきり少なくなり、いや、ほとんどなくなりましたけど。

そんなマッカラーズの『悲しき酒場の唄』を含む短篇集が筑摩書房から刊行されました。『マッカラーズ短篇集』です。ちくま文庫なので、手に取りやすいのではないでしょうか。こういう復活は嬉しいですね。

この『マッカラーズ短篇集』に収録されている『悲しき酒場馬の唄』は、Uブックス版に多少の修正を加えて再録したものです。Uブックスの同書を探していらした方は、このちくま文庫を買い求めていただいければと思います。