短篇の名手?

郊外のフェアリーテール』を購入しました。

亜紀書房の《ブックスならんですわる》シリーズの第二弾です。第一弾は『青と緑』で、副題にもあるとおり、ヴァージニア・ウルフの短篇集で、今回の第二弾はキャサリン・マンスフィールドの短篇集です。

亜紀書房のこのシリーズは、女流短篇集で行くのですかね? 第三弾も楽しみです。

ところで、キャサリン・マンスフィールドと言いますと、あたしの勤務先からも『不機嫌な女たち』という一冊を出しております。非常に面白い短篇が集められていました。

そして新潮文庫にもそのものズバリ、『マンスフィールド短編集』という一冊があります。あたしも自宅の書架に備えておりました。

ちなみに、マンスフィールドは来年、2023年の1月9日が没後100年にあたります。それまでに各社から何冊か作品集が刊行されるのでしょうか?

これぞ八重の桜?

長篇の『ケンジントン公園』もようやく半分ほど読み終わりました。まだ先が長いです。《エクス・リブリス》シリーズは既に次の『人類対自然』も刊行されているので早いこと読み終えないと!

そんな風に読みたい本がどんどん溜まっていく今日この頃ですが、書店でこんな本が目に留まり、ついつい買ってしまいました。『読書セラピスト』と『編集者とタブレット』です。タイトルからも想像がつくとおり、どちらも本をテーマにした作品ですよね。やはり本好きとしては気になってしまいます。

ところで、少し前に近所の桜のトンネルを写真と共にご紹介しましたが、そちらは既に葉桜になっています。地面には桜の花びらも減り、おしべとめしべがゴミのように堆積しています。

しかし、そんな桜のトンネルの入り口付近に一本だけ時季を外して咲く桜があります。それが左の写真です。いまが盛りと咲き誇っています。

写真でわかっていただけるかなんとも言えませんが、実はこの桜は八重桜です。八重桜という明正が正しいものなのか俗称なのか、正確なところはわかりません。ただ、素人が見えてもソメイヨシノとは違うことははっきりしています。一つ一つの花がこんもりとしていて、色もソメイヨシノが白に近いのに対し、こちらはまさにピンク色です。

それなりに交通量のある交差点に面しているので、なかなかシャッターチャンスがなかったのですが、なんとか二枚撮ってみました。ほとんど同じ構図なのはお許しください。同じ場所から撮ったものですから。

もう少し撮影場所を変えてもよかったのですが、時間的に逆光になってしまい、桜全体も暗い感じの写真になってしまいそうだったので諦めました。

先に満開と書きましたが、根本付近には既に花びらが散っているのが見て取れます。この桜の見頃もあと数日と言ったところでしょうか。しかし、少しタイミングをずらして二種類の桜を、自宅の近所で楽しめるなんて、なかなか贅沢なことではないでしょうか。

源氏とは?

講談社学術文庫の『源氏の血脈』を購入しました。

ところが自宅の書架には『武門源氏の血脈』という一冊を所蔵しておりました。著者は同じ方です。

はい、単行本の文庫化です。文庫になる時に出版社が変わるのも昨今はよくあることですね。単行本は中央公論新社から出ていました。

なので、文庫化されたものだとわかったうえで買っています。文庫には単行本からちょっと追加があるみたいです。

さて、あまりにも高額な専門書までは手が伸びませんが、このくらいのものですと、源氏に関する書籍ってどうしても気になってしまいますし、ついつい買ってしまいます。

ところで「源氏」という言葉を最初に知ったのは、たぶん源平合戦を学校で習ったころだと思います。NHKの大河ドラマも「草燃える」を放映していた時代だと思います。「平家が亡んで源氏が鎌倉幕府を打ち立てた」という単純な歴史事実をまずは覚えたのだと思います。

ついで、その平家の興亡を描いた作品が『平家物語』だと知り、それとほぼ同時期に『源氏物語』という作品を知りました。ただ内容までを知ったわけではないので、『源氏物語』は『平家物語』に対して源氏三代の興亡を描いた文学作品だと長いこと思い込んでいました(汗)。

まあ、広い意味では「源氏」で間違いはないんですけどね。

ブックカフェ!

先日『蝶のしるし』を読み終わったのですが、あれよあれよと言う間に、この《台湾文学ブックカフェ》全三巻が完結してしまいました。

第二巻が『中篇小説集 バナナの木殺し』、第三巻が『短篇小説集 プールサイド』です。ちなみに『蝶のしるし』は「女性作家集」になります。

第二巻が出る前に第一巻は読み終わっていたのですが、その後自社本の『スモモの木の啓示』を読み、続けて河出書房新社の『安魂』を読み始めてしまい、うっかりしている間に完結していたというわけです。

でも、『安魂』が今日にも読み終わりそうなので、ようやく《ブックカフェ》に戻れそうです。ちなみに、カフェとはコーヒーのことですが、あたしはコーヒーは飲めません。

もう少し在庫を充実させて欲しいと思うのですが

少し前に、ネットの買い物はヨドバシカメラを使うことが多いと書きました。十数年前(?)から書籍も販売するようになり、あたしとしてはますます便利に使っております。

なにせ定価販売が基本の書籍は値引き販売ができませんので、あとはポイント還元というサービスを競うしかありません。もちろん配送料も肝心です。その点、ヨドバシカメラの通販は、ポイントカード会員であれば10%のポイントが還元されますし送料も無料なので、他の通販サイトよりはるかにお得なのです。

しかし、惜しむらくは在庫がやや貧弱なのです。アマゾンや楽天ブックスに比べると、新刊の発注数がそもそも少ないのか、なかなか販売可能状態にならないものが多いです。コミックやラノベのようなものは他と比べてどうなのかわかりませんが、あたしが読みたい、買いたいと思っている海外文学とか教養系新書についてはもう少し頑張ってほしいものです。

専門書に関しては、アマゾンもろくに在庫していないので、これに関しては痛み分けだと思いますが、一般書に関してはもうひと頑張り、奮起を期待します。

というわけで、掲げた図版はヨドバシの通販サイトで作品社の《台湾文学ブックカフェ》を検索したところです。全三巻のシリーズで、昨年刊行された第一巻は在庫がありますが、既に刊行されている第二巻はいまだに取り扱いができていません。ひと月後に刊行予定という第三巻も予約が取れる状態になっていません。これでは顧客は逃げてしまいますよね……

読書の輪が広がる?

《エクス・リブリス》の新刊『スモモの木の啓示』は、もうご覧になりましたでしょうか?

イラン・イスラム革命に翻弄される一家の姿を、13歳の少女バハールの語りで描く。亡命イラン人作家による魔術的リアリズムの傑作長篇。

という公式サイトの内容紹介にありますように、本作品の舞台はイランです。イスラム革命やホメイニ師といった言葉、単語は、あたしくらいの世代ですと辛うじてニュースで聞いて知っているものですが、若い方ですと興味を持っていない限りよくわからない世界の話かも知れません。

いや、単語を聞いたことがある程度のあたしだって知っているとはとても言えたものではありませんが、それでも海外小説を読むことの愉しみは、そういう知らない世界や国のことを知ることができる点です。醍醐味と言ってもよいでしょう。

ただ、海外小説が苦手という方の多くは、そういった未知の国、よくわからない地域のことをイメージできない、気候や風土、文化や歴史的な背景を知らないので、小説の内容が理解できない、といったことから海外小説を敬遠しがちだと思います。

もっともだと思います。ただし、そんな予備知識がなくたって、読み慣れてくると自然と愉しめるようになるものです。そして、むしろ知らないことが出てくると、そこに興味を覚えるものです。たとえば今回の『スモモの木の啓示』であれば、手近なところでは平凡社新書の『イラン』などがよい参考資料になるのではないでしょうか?

こんな風に、一冊の本から次への本へとリレーしていくのも読書の楽しみだと思うのですが、如何でしょう?

奥付裏広告の使い方

今日は、元乃木坂46のいくちゃんこと、生田絵梨花の25歳の誕生日です。おめでとうございます。

と、そんな情報はさておき、平凡社新書から『津田梅子』が刊行されました。

あたしは東京の郊外、小平市に住んでいまして、それほどご近所というほどではありませんが、近くに津田塾大学があるので、やはり津田梅子と聞くと多少は気になります。

実は津田梅子については簡単な伝記的なものを読んだことがありまして、それが写真の左側、『明治の女子留学生』です。こちらも平凡社新書です。

新書をよく買う方はご存じだと思いますが、平凡社新書は途中でカバーのデザインを変えたので、こんな違いますが、同じ平凡社新書なのです。

ところで、今回の『津田梅子』の奥付裏広告には、最近の平凡社新書が紹介されていて、『明治の女子留学生』は載っていません。広告効果としてどれが正解なのでしょう?

『津田梅子』を買う人なら『明治の女子留学生』にも興味を示してくれるだろうと考えて広告を載せるべきなのか、あるいは『津田梅子』を買うような人なら『明治の女子留学生』は既に持っているだろうと考えて、あえて他の書籍の広告を載せるべきなのか。難しいところだと思います。

本のある暮らし

街中で無料配布されている雑誌と言えば、アルバイト・仕事情報誌と住宅情報誌があると思いますが、営業回りの途次、その一つ、住宅情報誌の表紙が気になったので手に取ってしまいました。

《魅惑の図書館 本のある街》という一際大きな文字に目が惹かれました。取り上げられているのは以下の街と図書館です。

海老名・海老名市立図書館、武蔵境・武蔵野プレイス、王子・北区中央図書館、上板橋・板橋区立中央図書館いたばしボローニャ絵本館、南柏・流山市立木の図書館、大和・大和市文化創造拠点シリウス、大宮・大宮図書館、東所沢・角川武蔵野ミュージアム、新江古田・東京子ども図書館、亀有・ミッカ、上野・国立国会図書館国際子ども図書館です。

その他に「図書館付マンション」も紹介されてて、それはメイツ深川住吉、ルピアコート大宮ザ・ゲート、ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ、クレストプライムレジデンスです。そういう施設を併設したマンションがあるのですね。ただ、あたしはどちらかというと、やはり好きな本は手元に置いておきたいタイプなので、わが家の近所に小さな市立図書館がありますが、滅多に行くことはありません(汗)。

そして本と言えば、ちくま新書の『人類5000年史』の第四巻がようやく発売されました。著者である出口さんの体調不良で刊行が一年近く延びてしまいましたが、無事に刊行されて嬉しいです。

ただ、既刊三巻に比べ、この第四巻は少し薄いような気がします。もともとこのくらいの分量だったのか、やはり出口さんの体調不良が影響しているのか、前者であればよいのですが。

そしてこのシリーズは全五巻のはずですから、第五巻の刊行が待ち遠しいです。いつごろ刊行になるのでしょうか。やはりまた一年後になるのでしょうか。それよりも出口さんの健康がまずは大事なことですけれど。

そんなちくま新書ですが、わが家の書架の一画、「ちくま新書」コーナーはこんな感じです。白を基調とした装丁(カバー)に白い書架が映えていると言ってよいのでしょうか(笑)。

「ちくま新書」って、読みやすくて軽いノリの部分と歯応えのある重厚な部分とのバランスがよいと思います。興味深いテーマのものも多いですし、時代の諸相をうまく捉えた一冊を多く出しているという印象を持っています。

いつかはノーベル文学賞を!

閻連科の『年月日』が「Uブックス」になります。

同作は、他の閻連科作品とはちょっと作風が異なり、痩せた大地で懸命に生きる農民の力強さが描かれています。いや、力強いのでしょうか。むしろ、為す術もなく自然に翻弄されるだけの存在にも感じられます。

それでも懸命に生きている、生きようとしていることは感じられます。そして、そんな主人公の農民以上に心を打つのは、主人公に寄り添う盲目の犬です。動物、特にイヌが好きな人にとって本作は、涙がちょちょ切れる感動作です、間違いありません。

そんな閻連科の作品、日本では比較的よく紹介されていると思います。わが家の書架にも閻連科コーナーと呼べるような一角があります。

たぶん閻連科作品の邦訳はすべて揃っているのではないかと思います。いつの間にか買い揃えていて、そして全部読んでいます。

日本で閻連科と言えば『愉楽』が代表作になるのでしょうか。確かにこういった奇想天外なストーリーの長篇が一つの特徴ではあると思います。しかし、あたしは『年月日』のような枯れた味わいの作品も大好きで、『黒い豚の毛、白い豚の毛』も捨てがたい魅力を備えた短篇集ではないでしょうか。

新書らしいか否かはともかく……

先日、講談社現代新書の『遊廓と日本人』について、内容や分量があたしの考える新書らしい新書だと書きました。

その発言(記述?)と矛盾するのかしないのか、あたしにもよくわかりませんが、最近読んで面白かったと言いますか、非常に勉強になった新書を一冊ご紹介します。

それは、岩波新書の『ユーゴスラヴィア現代史 新版』です。

「新版」と付くくらいですから、旧版と言いますか、元版というものがあったわけですが、不勉強にしてあたしはそちらを読んでいません。たぶん、かつてのあたしはそこまでバルカン半島に興味を持っていなかったでしょう。

「ヨーロッパの火薬庫」という呼び名は、世界史でも習うので学生のころから知っていましたが、なぜ火薬庫なのか、どういう紛争が絶えず起こってきたのか、まるで知らずに「火薬庫」の名称だけを知っていたわけです。

その後、ユーゴスラビアという国の解体、聞いたことがあるような、ないような国の名前をニュースで知るにつけ、一体全体どうなっているのか、という疑問が頭の片隅に残っていました。

たぶん、ソ連が解体してロシアをはじめとしたいくつかの国ができたことが個人的にもきっかけになっているのでしょう。当時は、勤務先の仕事でヨーロッパ各国の地図をパソコンで描くことが多く、学生時代に存在した国がなくなっていたりして、多少の混乱を感じていたことも影響していると思います。

そんなこんなで悶々としていた時に知ったのが本書です。一回読んだだけでユーゴの歴史を知ったつもりにはなりませんが、セルビアやクロアチア、コソボやマケドニアなど、名称とどのあたりにある国なのかだけは知っていたような国々の興亡が非常にわかりやすくまとめられていました。こんな本を待っていたと思いました。

岩波新書の編集部の方、次はこんな調子でチェコの現代史の新書をお願いします。