少し前に役者の岸本佐知子さんをお連れして、サイン本を作りに行った紀伊國屋書店小田急町田店。そこでは毎月のように、ちょっとしたテーマで文芸書や文庫を集めたフェアをやっていて、本好きの中で密かに楽しみにしている方も多いようです。
いま開催中なのがご覧のようなフェア。題して「文芸・文庫担当者による2025年下半期ベスト10」です。どんな作品が選ばれているかと言いますと……
金原ひとみ『マザーアウトロウ』(U-NEXT)/金原ひとみ『YABUNONAKA』(文藝春秋)/朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP)/古賀及子『私は私に私が日記をつけていることを秘密にしている』(晶文社)/柴崎友香『帰れない探偵』(講談社)/マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ』(白水社)/梅﨑実奈『鴉は硝子のフリルで踊る』(河出書房新社)/小川洋子『続 遠慮深いうたた寝』(河出書房新社)/大崎清夏『いいことばかりは続かないとしても』(河出書房新社)/ゲアダルーペ・ネッテル『一人娘』(現代書館)
順位は付けていない10作品です。情けないことに、あたしが読んだことがあるのは『帰れない探偵』だけです。確かに面白い小説でした。面白いだけでなく不思議な読後感でした。
そして訳者訪問があったことがどれくらい効果があったのかはわかりませんが、『ダンシング・ガールズ』もランクインしています。ありがたいことです。
せっかく撮らせていただいた写真がピンボケなのはご愛嬌として、本書は30年以上前に発表された作品なのですが、最近の新作と言われても信じてしまうほどの作品です。こんな作品を30数年前に書いていたアトウッド、恐るべし。
担当さんのコメントに応えるわけでは、あたしもこの本を復刊できてとてもよかったと思っています。