増殖? 別宅?

先日、わが家の門扉に蓑虫がいると書きました。

よく見たら、門扉にはもう一つ蓑虫がいました。中に虫は住んでいるのでしょうか? 住んでいるのであれば、二匹の蓑虫がいるわけですよね。

それとも蓑虫って次々に蓑の家を作っては捨て、作っては捨て、ということを繰り返しているのでしょうか? だとすれば、この二つは同じ虫の蓑ということになります。そして一方は現在居住中で、もう一方は空き家になっているわけですね。

そんなことを考えていましたら、門扉のすぐ隣にある門灯にも蓑虫がいました。

となると、合計三匹の蓑虫になるのか、それとも一匹の蓑虫が三つの巣を作っているのでしょうか? 前者だとしたら三匹の蓑虫は兄弟なのかも知れませんね。そして後者だとしたら、この三つの巣(蓑)を渡り歩いて、今日はこっちの巣、明日はあっちの巣、というように巣を使い分けているのでしょうか?

あたしは蓑虫に詳しくないもので、そのあたりのことはまるっきりわかりません。果たして三つとも中に虫がいるのかいないのか、それすらも不明です。触ることに躊躇いはありませんが、もし虫がいて住んでいるとしたら、貼り付いている場所から取ってしまうのは可哀想なので、当分このままにしておこうと思います。

おじいちゃんおばあちゃんが気軽に入れる町の本屋さん

光村図書から年に四回発行されている『飛ぶ教室』という雑誌があります。光村図書といえば、あたしも学生時代に国語の教科書でお世話になった思い出がありますが、この雑誌も児童文学を中心とした雑誌のようです。

その『飛ぶ教室』の最新号、第75号(2023年秋号)を買ってみました。雑誌の存在は知っていましたし、手に取ったこともありましたが、そもそも『飛ぶ教室』を買うのが初めてのことでした。

どうして購入したかと言いますと、今号の巻頭、「本屋さん探訪」にあたしが時々営業回りで訪問している、世田谷の千歳書店さんが登場しているからです。実は同店を夏に訪問した折に、「三浦しをんさんが来店され、こんど『飛ぶ教室』に載るから」と聞いていたので、発売をちょっと楽しみにしていたのです。

そして昨日、同店を訪問したところ店頭に同誌が並んでいたので、上記の話を思い出して買ってみたというわけです。三浦しをんさんが訪問した様子は二枚目の写真のように載っていました。

対談の中でしをんさんが「千歳書店さんの棚を見ていると、ノンフィクションが充実しているな~っていつも思います。みすず書房さんや、白水社さん岩波さんの本もあるし」と、あたしの勤務先の名前を挙げてくれています。確かに、この手の版元の本も並んでいます。お店の大きさからすると違和感を感じる人もいるかと思いますが、かつてはこのくらいの規模の町の書店でも、岩波やみすずなどの本がしっかり並んでいたと思いますし、そういう書店も少なくなかったと思います。

それぞれのおすすめの本を挙げる中、しをんさんがあたしの勤務先の『ヒトラーとドラッグ』を挙げてくれました。ありがたいことです。しをんさんはかつて朝日新聞の読書欄で『バンヴァードの阿房宮』を絶賛してくれたことがありましたが、そんなことを思い出しました。

私は昔、本屋さんでアルバイトをしていたことがあったので、今の本屋さんをめぐる状況、本当に危機感を覚えています。セレクトショップ系の本屋さんは徐々に増えてきたと思いますが、おじいちゃんおばあちゃんが気軽に入れる町の本屋さんがないですよね。週刊誌などが確実に揃っていて、ふらっと来店して買っていける、そういう本屋さんが私は好きなんです。

しをんさんが最後の方で語っていたのが上のセリフです。あたしも同感です。

ちなみに、対談の中で取り上げられていた本、『ヒトラーとドラッグ』以外は『純粋理性批判』(カント、古典新訳文庫)、『カンディード』(ヴォルテール、古典新訳文庫)、『ケチャップマン』(鈴木のりたけ、ブロンズ新社)、『飛ぶ教室』(ケストナー、岩波書店)、『捜査線上の夕映え』(有栖川有栖、文藝春秋)の五点でした。