豊作かしら?

先週の予告どおり、今朝の朝日新聞読書欄には、勤務先の刊行物が二点も掲載されました。

まず一つめが『グローバリスト 帝国の終焉とネオリベラリズムの誕生』です。

ちょっと大部な本ですが、現代の国際情勢を考える上で無視できない論点を扱っている一冊ですので、是非手に取っていただきところです。

それにしても、グローバリズムという言葉は最近聞くようになった言葉という印象がありますが、現象として捉えた場合には、これくらい長い射程で考察することができるのですね。勉強になります。

さて、上で「大部な本」と書きましたが、取り上げられていた二点目はもっと大部な本、『文画双絶 畸人水島爾保布の生涯』です。

そもそも「水島爾保布」が読めない人がほとんどなのではないでしょうか。あたしもこの本ができるまではそうでした。しかし、カバーに使われている絵は見たことがあります。ちょっとビアズリーっぽいと言ったら、どちらのファンからも怒られそうですが、あたしの印象はそんな感じです。

評者の椹木野衣さんは「愚」をキーワードに書いてくださっていますが、大賢は愚なるが如しという人口に膾炙した言葉もありますので、愚は悪い意味ではないんですよね。中国古典では人を誉める時に「愚」という言葉を使うことがありますので、賢しらに才をひけらかすよりも上だということなのでしょう。

ところで、今回紹介された二点、両方購入すると税込で20000円を超えます。

記憶喪失

今期は以下のようなドラマを見ています。

くるり~誰が私と恋をした?(TBS系)

9ボーダー(TBS系)

あなたの恋人、強奪します。(テレビ朝日系)

そして、光る君へ(大河ドラマ)です。

このうち、「くるり」と「9ボーダー」には記憶喪失の人物が登場します。どちらも自分の名前も、どんなことをしてきたのか思い出せないということになっています。

「くるり」の方は、それは主人公なのですが、社会人をやっていただけに同僚が自分の名前や住所などを教えてくれたので、自分が誰なのか履歴書的な情報は得ることができました。それに対して「9ボーダー」の方は、名前も職業もすべてが謎に包まれたままです。近所の人の目撃談があるのですが、ほとんど手掛かりにならない情報ばかりでした。あたしが思うに、事件を追っていた警察関係者(たぶん刑事)だったのではないかと予想しています。

それはさておき、以前に本で読んだか、テレビで見たか、どちらかだと思いますが、こういうドラマや小説にありがちな記憶喪失って現実にはほとんど起こらないとのことです。幸か不幸か、あたしはこれまで生きてきて、身近に記憶喪失の人に接したことがないので、この話が本当なのかわかりません。ただ、専門家(医者か大学教授か)が語っていたと記憶しているので、きっと間違いないことなのだろうと記憶に留めたはずです。

その後この件を自分で調べたわけではありませんので、果たして実際はどうなのか、記憶もうろ覚えな部分があるので、いつかちゃんと改めて調べてみたいと思っています。ただ、これ以外のドラマはわかりませんが、どうして今期は記憶喪失のドラマが多いのでしょう。

偶然なのでしょうか。それとも多くなる社会背景があって、その結果こうしたドラマが作られているのでしょうか。そちらの方も気になりますね。

虚なのか、実なのか……

《エクス・リブリス》の『別れを告げない』がお陰様で好調です。やはり韓流文学の中でもハン・ガンの知名度や売れ方は群を抜いていると感じます。既に読んでいる方も多いと思いますので、以下にはネタバレ的なことを書きますが、ご寛恕ください。

その前に、済州島4・3事件を背景としている作品ですが、あたしは不勉強にも、この事件のことはまるで知りませんでした。光州事件は聞いたことがありましたが、こちらに関しては全く聞いたこともない出来事でした。お隣の国の出来事だというのに、あまりにも知らないことだらけですね。情けないです。

さて、本書は女性二人が主人公です。若い頃からの友人で、いまはお互いそこそこの年齢(40歳代?)になっています。全く音信不通ではないけれど、しょっちゅう連絡を取り合っているわけでもない、そんな間柄です。

その一人が済州島に住んでいて、指を切断する事故に遭います。もう一人が病院へ駆けつけると、自宅で飼っている小鳥に餌をあげに行って欲しいと頼まれます。今日中に行かないと、鳥籠の中の餌が残り少ないので死んでしまうからと言われ、仕方なく済州島の友人の自宅へ向かいます。

なんとか島へ着いたけれど、友人の自宅は山の中で、時間的にまだバスが走っているかかわかりませんし、雪も降ってきています。どうにか友人宅の最寄りまで行くバスに乗り、目的のバス停で降りたものの、辺りは暗くなっていて、雪も深く、友人宅までの道がよくわからなくなっていました。そんな中、雪を踏み分けて歩くうちに主人公は足を踏み外し、数メートル転落してしまいます。

幸いにも、大したケガもなく、なんとか友人宅に着きましたが、既に小鳥は息絶えていました。死んだ鳥を庭に埋め、友人宅にいると、ケガをした友人が現われたのです。友人のケガの具合から考えて、とてもベッドから出られる状態ではありません。どうやってここまで来たのでしょう。

その謎は最後まで明かされません。果たして、現われた友人は幽霊だったのでしょうか? ただ、幽霊が現われるなんて、ちょっと非現実的すぎます。となると疲労なども相俟って主人公が幻覚を見た、あるいは友人宅で眠ってしまった主人公の夢の話なのかとも思います。これが一番素直な解釈でしょうか。

ただ、あたしは読みおわった時には、最初は上記のように思ったのですが、実は雪道で足を踏み外した時点で主人公は亡くなっていて、そこから先はすべて自分が死んだことに気付いていない、あるいは生死の境を彷徨っている主人公の妄想の世界なのではないか、とも思いました。なんとなく、その方がこの物語全体のトーンに合っているなあ、と感じたのです。

今日の配本(24/05/08)

中級フランス語 時制の謎を解く[新装版]

井元秀剛 著

これほど複雑多岐にわたる時制をフランス語話者はどう使い分けているのか。英語や日本語と比較しつつ、時制のしくみを解き明かす。

中級フランス語 冠詞の謎を解く[新装版]

小田涼 著

冠詞は何のためにあるのか、フランス語話者はどう使い分けているのか。最初に習うのに最後まで難しい、冠詞の正体を解き明かす。

フェアが始まりました!

乃木坂46五期生のミュージカル「セーラームーン」が好評のうちに千秋楽を迎えたようです。最終日は配信もありましたね。見ていませんので、年内には発売されるというブルーレイを買う予定です。

それにしても、配信があるとはいえ、東京だけの公演というのはもったいないです。もちろん乃木坂46のメンバーをはじめ、キャストの人たちのスケジュールを押さえるのは大変だと思いますが、せめて数日だけでもよいから大阪(関西圏)でも上演したらよかったのに、そう思います。

さて、閑話休題。

くまざわ書店のグランデュオ蒲田店で《エクス・リブリス》のフェアが始まりました。エスカレーターで上がってきてすぐ、入り口を入った脇のデアコーナーです。

ここはいつも面白くて興味深いフェアをやっているので、ついつい足を止めてしまう場所です。コーナーの部分でL字型にフェアが開催中なのですが、その隣を見ると、そこにもあたしの勤務先の本が並んでいました。

なんだろうと思って、掲げられている看板を見ると、《ラテンアメリカ文学の世界》とあります。そして小さい文字で《『百年の孤独』文庫化記念》と書いてあります。

いやー、なんてすてきなフェアでしょう。ラテン文学フェアとエクス・リブリスのフェアが同時開催なんて、ちょっと嬉しくなってしまいます。お店独自のフェアのようです。

いよいよ来月下旬には『百年の孤独』の文庫が発売になりますから、このようなフェア、あちこちの書店で開催されるのではないでしょうか?

啓蟄にはかなり遅いですよね?

午後、買い物から帰ってきた母が、玄関で叫んでいます。途中で転んでケガでもしたのかと思いましたが、だったらあんなに元気な声は出ないはず。荷物が重いから玄関まで取りに来い、という呼びかけでもありません。

とりあえず玄関へ出向くと、母が息を切らすようにして、蛇が出た、と言うのです。「どこに?」と聞くと、玄関を出たところ、門のところと要領を得ないことを言います。こういう説明をきちんとできないのは歳を取った証拠ですね。

とにかく表に出てみましたが、玄関の周囲には何もいません。どこにもいないと母に言うと、もっと先、門のところだと言います。そこで門のところに行きましたが、蛇なんて見当たりません。

門の中なのか外なのか、そんな基本的な情報すら、歳を取ると落ち着いて語れなくなるものなんですね。右と左を間違えて言うのは、母にとっては日常茶飯事です。

で結局、蛇は門柱にへばりついていました。それが左の写真です。動こうとしているのか、じっとしているのか、と思ってスマホを構えつつ見ていると、折からの強風で門柱から剥がれて下へぶら下がるように落ちてしまいました。と言っても、まだシッポの部分は門柱に貼り付いていて、上半身(どこからかわかりませんが……)が門のところに置いてあったプランターの裏に入ってしまいました。そしてそのままプランの裏側の方へスルスルと移動してしまい、姿を隠してしまいました。

それにしても、噛むとも思えない、こんな小さくて可愛らしい蛇の一匹に大騒ぎをするなんて、母も老いたものです。この蛇、いつごろ冬眠から目覚めたのでしょうね。啓蟄ははるか前のこと、昨日は既に立夏でしたから。

アイスよりもスイーツの方が……

先のダイアリーで触れた、セブンイレブンの「プリンアイス」を食べてみました。

確かにプリンの味がしますし、プリンのトップのカラメルは、いかにもプリンを食べている気にさせてくれます。

でも、やはり全体としてはアイスです。わかっていたことではありますが、スイーツではなく、正真正銘のアイスです。これはこれで美味しいのですが、やはりあたしはスイーツのプリンの方が好きみたいです。

このプリンアイスの見た目は、プリンアラモードからフルーツを取り除いたような感じです。それがまるごとアイスで表現されているわけですが、あたしとしてはプリンの周りを生クリームでデコレーションしている方が好きだなあと思いました。

まあ、これからの暑い季節には、こういう冷たいものが食べたくなるので、これはこれでアリでしょう。ところで、このプリンアイスに書いてある「エグロワイヤル」って何ですか?

いろいろと掲載されています!

いよいよ今日でゴールデンウィークも終わりです。今年も例年どおり、どこにも出かけずに終わりそうです。

そんなゴールデンウィーク最終日の朝日新聞で勤務先の刊行物が紹介されていました。祝日とはいえ月曜日ですから読書欄はありません。載っていたのは一面のタイトル下、「折々のことば」です。

そこに今回は文庫クセジュの『シモーヌ・ヴェイユ』から一文が取り上げられていました。ヴェイユって時々聞く名前ですし、著作の翻訳もいくつか出ていますが、本書はそんなヴェイユの手頃な評伝です。ご興味をお持ちの方は是非どうぞ。

ところで、そんな今朝の朝日新聞で更に見覚えのある名前を発見しました。それが二枚目の画像です。桑木野幸司さんの著書として挙がっている作品の中で『ルネサンス庭園の精神史』が、あたしの勤務先の刊行物です。

ちなみにその他の著作、『記憶術全史』は講談社、『ルネサンス 情報革命の時代』はちくま新書の刊行物です。

今日の朝日新聞は見どころが多いなあと思って紙面をめくっていたら、ラテ欄にも見覚えのある顔を見つけました。

今日ではなく、もう少し先にBSで放送される番組の紹介です。三の丸尚蔵館って、まだ行ったことがないので是非訪れてみたいものです。天守台や松の大廊下跡がある本丸など皇居東御苑は中学生の頃に行ったことがありますが、当時は三の丸尚蔵館が既にあったのか記憶にありません。その東御苑も、ここ数十年来とんとご無沙汰なので、また活きたいなあと思います。

さて朝日新聞と言いますと、次回の読書欄の予告が載ることがこの業界では知られていますが、次の11日にはあたしの勤務先の刊行物が二点紹介予定です。『文画双絶 畸人水島爾保布の生涯』『グローバリスト 帝国の終焉とネオリベラリズムの誕生』です。こちらも是非お楽しみに。

そして最後に昨晩の晩酌。近所のセブンイレブンでこんなお酒を見つけました。北海道のミルクを使ったお酒で、各地のフルーツを組み合わせたお酒のようです。売っていたのは長野産シャインマスカット、福岡産あまおうの二種類です。

他にもあるのか、これから続々と発売になるのかわかりませんが、飲んでみた感想は、ほぼほぼジュースでした。そして、そんな「みるちゅ」の前に置いてあるのは、やはりセブンイレブンで買ったアイスです。プリンアイスという商品で、スイーツではあなくアイスコーナーに置いてありました。

ユニコーンには乗れない

昨夕、たまたまスカパー!のチューナーのスイッチを入れたらTBSチャンネルで、数年前のドラマ「ユニコーンに乗って」が一挙放送されていたので、ついつい見てしまいました。永野芽郁ちゃん、カワイイですよね。

数年前に放送されていた時も、リアルタイムで視聴していたドラマですので、ここでストーリーを語ることはしませんが、今回再び見て改めて思ったのは西島秀俊演じる小鳥さんの安定感、安心感です。

大手ではなかったと思いますが、そこそこの銀行の立川支店長を務めたほどの人材が何を血迷ったかその職を抛って、娘、息子と呼んでもおかしくない連中が起業した会社に再就職したわけです。そこで若い同僚に対して、一歩退きつつもしっかりとサポートをし、経験に裏打ちされた的確なアドバイスをするという役回りです。

ドラマの中の西島秀俊の設定はたぶん50歳になっていないあたりです。永野芽郁をはじめとする起業した若者たちから見たら何もかもが異なる人生の先輩です。ドラマの中ではそのアドバンテージを遺憾なく発揮していましたね。そんなドラマを見ていて、わが身を振り返ると自分の不甲斐なさに茫然自失です。

ドラマの西島秀俊よりも十歳近く年上にもかかわらず、あたしにはあんな知識も経験もありません。もちろん的確なアドバイスだってできっこないです。銀行からユニコーン企業へ転職して、あれだけやれるなんて、正直すごいと思います。あたしなど、他の出版社へ転職したとしても、そこで何も発揮できるようなスキルはありませんし、今の今までそんなもの身につけてきませんでした。

あんなのはドラマの中の話だよ、出来過ぎたフィクションの世界だよ、と言ってしまうことは可能ですが、やはりドラマとはああいうカッコ良さを見せつけられると、落ち込みはしませんが、自分のダメさがよーくわかるものです。