一昨年でしたでしょうか、大河ドラマ「光る君へ」の放送開始前、書店店頭にはこれでもかと言うほど、紫式部や源氏物語の本が並びました。更には平安時代や藤原道長、摂関政治に関する書籍まで、たぶんすべて数えたら数十点にはなったことでしょう。いや、もっと多かったかも。
そして昨年から今年は蔦重です。「光る君へ」ほどではないかも知れませんが、蔦屋重三郎や江戸吉原、浮世絵、江戸の出版事情などの本がたくさん並んでいます。田沼意次やその政策、時代に関する本もあります。日本史好きであれば大歓迎な状況でしょうけど、かつてこの時代に関する本がこれほど刊行されたことはあったでしょうか。
とはいえ、テレビ関係者が視聴率に一喜一憂するように、出版業界にいる身としては、これだけたくさん出た本が果たしてどれほど売れているのか、ということがとても気になります。やはり先に出たものがまずは売れるみたいですし、NHK自身が刊行する、番組に準拠したグラフィックなものが売り上げを引っ張っているみたいです。
そんな大河ドラマ関連本、来年は豊臣政権、特に秀吉の弟・秀長が主役らしいので、秀長に関する本が徐々に増えてきているようです。秀長と言えば、まずは堺屋太一の『豊臣秀長』を挙げるべきでしょう。秀長と取り上げた書籍としては、一般的向けのものとしてはこれが最初のものだったと思います。
大河に限らず歴史もののドラマで織豊時代を扱ったものであれば、秀長は登場していたと思われますが、さほど注目されることもなかったと思います。往年の大河ドラマ「おんな太閤記」で中村雅俊が秀長役を演じていましたね。秀長というとそのイメージが強いです。
話は戻って秀長関連本、これから続々と出るようです。平凡社新書『羽柴秀長の生涯』、ちくま新書『羽柴秀長と豊臣政権』、講談社現代新書『秀吉を天下人にした男 羽柴秀長』と新書だけを見ても一気に三点が刊行されます。単行本や文庫なども含めたらその数は今後ますます増えることでしょう。
秀長も、この時代も好きなので、あたしも何冊かは買うことになると思いますが、商売としてはどの本が勝利を収めるのか、やはり気になってしまいます。