20年目だけではなく48年目も……

今日は9月11日です。

朝日新聞読書欄でも取り上げられていましたが『倒壊する巨塔(上)』『倒壊する巨塔(下)』が、まずは思い出されるわけですが、今日はそれだけではありませんね。1973年の9月11日も世界史のなかでは忘れられない一日ではないでしょうか。そうです、南米チリのクーデターです。

 

チリ出身の作家は、多かれ少なかれクーデターの影響を受けているはずです。あたしの勤務先で言えば、まずはボラーニョではないでしょうか。多くの作品にクーデターが影を落としています。

そんな中、作品自体はクーデターを扱っているわけではありませんが、ルイス・セプルベダの『カモメに飛ぶことを教えた猫』などは如何でしょう。クーデターにより投獄され刑務所暮らしを体験しています。そしてルイス・セプルベダは2020年に新型コロナウイルスで亡くなっているのですよね。

恐らく、今日は日本のニュースでもアメリカの同時多発テロを取り上げているところが多いと思いますが、チリのクーデータについて取り上げるニュースや情報番組はどのくらいあるのでしょうか。

毎晩寝るまえのルーティン

近刊のご案内です。

左がもうすぐ刊行になる『寝るまえ5分のパスカル「パンセ」入門』です。

パスカルの『パンセ』は文庫などで各社から出ていますので、非常に馴染みのある書物だと思いますが、読んだことある人はどれくらいいるのでしょう?

本書は、そんな『パンセ』をわかりやすく紹介したフランスのラジオ番組を書籍化したものです。まずはこの一冊から始めてみるのは如何でしょう?

もちろん既刊『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』を読まれた方ならば、「こんどはパスカルにチャレンジだ!」と意気込んでいらっしゃるかも知れません。店頭に並ぶまで、しばしお待ちください。

そして書店の方、是非この二冊は併売をお願いします。著者のアントワーヌ・コンパニョンはこの二冊以外にも他社から翻訳が出ていて、日本でもそれなりに知られた学者です。

ちなみに、寝るまえに読むのであれば、あたしの勤務先からはもう一冊『寝るまえ5分の外国語 語学書書評集』なんていうのも出しております。

今日の配本(21/09/08)

私はイスラム教徒でフェミニスト

ナディア・エル・ブガ、ヴィクトリア・ゲラン 著/中村富美子 訳

フェミニストでありながら、イスラムのスカーフを被ること─。これは、スカーフを女性差別の象徴としてみなす西洋のフェミニストたちに理解されにくく、議論の的となってきました。でも、それが、ナディア・エル・ブガの流儀です。宗教に敬虔であることとフェミニストであることは、矛盾しません。イスラムというと女性蔑視の因習的な宗教という先入観や、テロと短絡的に結びつける傾向もあるでしょう。そんな誤解や偏見は、イスラム法を学んで、モスクで講和を行なう専門知識をそなえたナディアが、丁寧にときほぐします。

ネット書店の近刊情報

とある書籍をネット書店で見つけました。

まだ刊行されていない書籍です。もう少しで刊行されるようなので、予約を募っているところです。

そこで、あたしはその出版社のウェブサイトで、その本についてもう少し詳しいことを知ろうと思いました。ところが、その出版社のサイトでは、その本は見つかるのですが、判型、頁数、価格くらいしか情報がありません。どんな内容の本なのかわかりませんでした。

そこで、改めてネット書店でその本を見てみますと、そこにはちゃんとその本の内容紹介が載っています。

それで疑問に思ったのですが、その本に関する情報が出版社のサイトには載っていないのに、ネット書店では載っているというのはどういうことなんでしょう? おかしくないでしょうか?

でも、これは今回の本に限らず、しばしばあることです。とてもおかしな業界だと思います。

本って実はとっても安上がりな娯楽なんだと思う

朝日新聞の「声」欄にこんな投書が載っていました。

本が高価だと見出しにあるので読んでみると、新聞で紹介されていたり広告に載っていたりする書籍の価格が軒並み2000円以上であるという訴えです。

うーん、最近では文庫や新書も高くなり、単行本であれば、2000円以下のものを探す方が大変だというのが半ば常識化しているあたしのような業界人には目から鱗であると共に、世間一般の方の感覚を知るよい機会でもありました。

しかし、この数十年、日本は物価が上がらず、そして給与も上がらず、そのために世界の潮流から隔たってしまっているわけです。モノにはそれにふさわしい正当な対価を払うべきだという感覚がもっと広く行き渡ればよいとも思います。

それにしても、この投書にもあるように、本って他の人と楽しめるだけでなく、他の娯楽に比べて楽しめる時間も長いです。2000円以上する小説を読むのに5時間かかったとすれば、一時間400円です。せいぜい二時間程度しか楽しめない映画に比べるとはるかに安上がり、割安なレジャーではないでしょうか?

初の文庫化

台湾の人気作家、呉明益の『自転車泥棒』の文庫版が刊行されました。

あたしは、もちろん単行本が出たらすぐに買って読みましたが、このたび文庫の方も買ってしまいました。

文庫の方は、巻末に鴻巣友季子さんの解説が付いていますが、冒頭、訳者の天野健太郎さん、温又柔さんとの鼎談の思い出話でウルッときてしまいました。それに、コロナなんて予想もしなかったころには呉明益さんも来日されましたよね。

懐かしいです。