選択のパラドックス

少し前に光文社新書の『恋愛結婚の終焉』を読んでいました。曰く、恋愛と結婚は分けて考えるべき、恋愛・結婚・出産という三位一体の呪縛から解放されるべき、とのこと。

あたしのように生まれてこの方、既に半世紀以上、恋愛にすら行き着いていない人間には、三位一体の一つすら手に入れていないわけですから、恋愛と結婚を分ける、分けないなんて議論することすらできません。同書の議論からすると「アウト・オブ・眼中」な存在なのでしょう。

そんな同書を読んでいて、ふと目に留まったのが「選択のパラドックス」です。もちろん同書の論点は恋人や結婚相手を見つけるという文脈の中で語られているわけです、

現代社会では、選択肢が多くなると「自分はこんなことも決められない人間なんだ」と無力感を感じて選ぶのが難しくなり、選んだあとも「ほかにもっとよい選択肢があったのでは」と後悔が残りやすい、(P.195)

そして例に挙がっている実験が「ジャムの法則」として知られるものです。24種類のジャムと6種類のジャムを被験者に試食させ、どれくらい購買に繋がるかと調べたものです。結果は6種類のジャムを試食した方が高い購入率を示したそうです。

そして著者は次のように書いています。

世の中の商品やサービスの選択肢の幅は、むしろ一定程度に抑えられたほうが、消費者の心理的負担は少なく、かつ幸福度が高いことになります。(P.196)

この部分を読んだ時に、あたしは1000坪クラスの大型書店と最近ブームのセレクト型書店を思い出しました。あたしのような業界人、そして普段から本に親しんでいる人にとっては、大型書店の蔵書量は魅力的で、何時間いても飽きない宝の山に感じられるわけですが、そういう人間はごくごく少数なのでしょう。大多数の人にとっては、あまりの物量に圧倒されてしまい、自分の読みたいものが捜し出せない状態に陥っているのではないかと思うのです。

人は認知エラーを起こすので、選択肢が多いとますますエラーが頻繁に起きてしまうようです。となると選択肢を最初から絞っておくのが手っ取り早い解決方法です。ただ選択肢を絞ると言っても、自分ではどう絞ってよいのかわからない人も多いことでしょう。そこで書店員があらかじめ絞っておいてくれるセレクト型書店が昨今は盛り上がっているのではないか、と思います。

今日の配本(24/04/19)

沈黙の山嶺(上)
第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト

ウェイド・デイヴィス 著/秋元由紀 訳

第一次大戦の余燼をまとい、エヴェレスト初登頂に賭けた若者たちの姿を描いた歴史大作。マロリー没後100年を記念して復刊。

沈黙の山嶺(下)
第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト

ウェイド・デイヴィス 著/秋元由紀 訳

第一次大戦の余燼をまとい、エヴェレスト初登頂に賭けた若者たちの姿を描いた歴史大作。マロリー没後100年を記念して復刊。

レーニンの墓(上)
ソ連帝国最期の日々

デイヴィッド・レムニック 著/三浦元博 訳

ソ連崩壊20年後、ゴルバチョフら当時の政治指導者、反体制派の人物多数に取材を重ね、帝国落日に至るまでの知られざる真実に迫る。

レーニンの墓(下)
ソ連帝国最期の日々

デイヴィッド・レムニック 著/三浦元博 訳

ソ連崩壊20年後、ゴルバチョフら当時の政治指導者、反体制派の人物多数に取材を重ね、帝国落日に至るまでの知られざる真実に迫る。

これがヒルズか!

午後から、麻布台ヒルズへ行って来ました。

東京には○○ヒルズがいくつかありますが、ここが一番新しいヒルズですよね? そもそも、この麻布台ヒルズはまだすべての建物が完成していない見たいですし、すべてのテナントがオープンしているわけでもないようです。

完成した暁には、住んでいる人、働いている人、全部でどれくらいになるのでしょうか? 万単位の人が生活する場になるのでしょうかね。働く人もそうですが、住む人となると、あたしなどが逆立ちしたって叶わないような資産家なのでしょう。株とか、そういうもので稼いでいるのでしょう。少なくとも汗水垂らして働いている人とは思えないのですが、それって偏見でしょうか。

さて、そんな麻布台ヒルズに行った記念といっては何ですが、自宅へお土産を買ってみました。

鈴懸(すずかけ)という、福岡の和菓子匠です。

この時季なので柏餅、それと涼やかな見た目の麩乃餅、そしてとても可愛らしい鈴乃最中です。それとたまには勤務先にも何か差し入れようと思って、〇すず籠を買ってみました。

あたしもチンプンカンプンですが……

本日の朝日新聞の夕刊です。

「ABC予想」という見出しが見えます。「ABC予想」という単語は、あたしも聞いたことがありますが、その内容がどんなものなのか、まるっきりわかりません。たぶん、説明されてもほとんど理解できないのではないかと思います。

ところで、この記事の中に京都大学の望月新一教授の名前が出て来ます。この記事を読んだだけで、実に興味をそそられる人物だと思われます。

そんな望月先生が登場する小説がよく売れています、『恐るべき緑』です。科学者たちの評伝を集めた短篇集のような一冊です。いま評伝と書きましたが、あくまで小説なので、登場する科学者たちがそういう人なのだと思い込んではいけません、

とはいえ、実によく書けていて、そして抜群に面白い作品になっています。望月先生以外の登場人物も実に魅力的で奇想天外、奇妙奇天烈な人たちばかりです。ちなみに望月先生は、本作の中の「核心中の核心」という作品に登場します。

今日の配本(24/04/16)

1日5題文法ドリル つぶやきのドイツ語[増補新版]

筒井友弥 著

「先生! なんか単純で、ドイツ語の文法が全部わかるような問題集ないですか?」こんな学生の声から生まれた愉快なドイツ語問題集。ふと頭に浮かぶこと、目に映る景色や状況を、できる限り即興でドイツ語にするとどうなるか。キャンパスやカフェ、電車のなかや路上など、場所はどこでも構わない。大切なのは日々ドイツ語で考え続けること。ひとつのテーマは5日間で完成。天使のヒントや文法のおさらい付き。コンマの位置など、魅力的な設問をさらに増補。全54課。巻末付録作文あり。