また新しいシリーズが起ち上がった?

こんな本を買ってみました。亜紀書房の『ひこうき雲』です。この数年大流行の「韓流」ですね。

カバーには《キム・エランの本》とありますが、「あれっ、このシリーズ、もう何冊か出ているよね?」と思ったら勘違いでした。何冊か出ていたのは《チョン・セランの本》でした。どうも、韓国の人の名前は覚えられません……(汗)

それにしても亜紀書房も頑張りますね。《チョン・セランの本》も既に5冊出ていますし、それ以外にも《となりの国のものがたり》という韓国文学のシリーズも9冊刊行しています。韓流にはそれほどの鉱脈があるのでしょう。

ただ、出版社としては売れるか売れないかが肝心なのでしょうが、韓流好きにとってはいろいろな韓国文学が紹介されることは嬉しいことではないでしょうか? 最近は中国のSF作品もたくさん紹介されるようになってきましたし、世界中のいろいろな国・地域の作品が読めるようになるとよいと思います。

今日の配本(22/07/29)

生録中国語
インタビューでリスニングに挑戦!

CCアカデミー、大羽りん、趙青 編著

学習するとき耳にするのは、明瞭に発音される標準的な中国語がほとんどですが、当然ながら、実際の中国語は多種多様です。本書では、出身地・年齢・職業の異なる12人のインタビューを収録。発音の癖や訛りも含め、ネイティブの生の中国語を聞くことができます。先生や教科書とは違う、ちょっと聞きとりづらい中国語にチャレンジしてみてください。来日の経緯、仕事のやりがい、日中の相違点をどう見ているかなど、日本で暮らす彼らのリアルな声が伝わってくるはずです。

アイダホ

エミリー・ラスコヴィッチ 著/小竹由美子 訳

アイダホの山中に住む音楽教師アンは、夫ウエイドのかつての家族のことを何年も思い続けている。9年前、一家が薪を取りに出かけた山で、ウエイドの前妻ジェニーが末娘メイを手にかけ、上の娘ジューンはその瞬間を目撃、ショックで森に逃げこみ失踪した。長女の行方を必死に捜し続けてきたのに、最近のウエイドは若年性認知症の影響で、事件のことも娘がいたこともわからないときがある。ジェニーは、罰を受けること以外、何も望まず誰とも交わらずに服役してきたが、新たな同房者とあることを機にぎごちないやりとりが始まる。アンは夫のいまだ癒えぬ心に寄り添いたいと願い、事件に立ち入ることを躊躇いながらも、一家の名残をたどり、断片を繋ぎ合わせていく……。

経済学の壁
教科書の「前提」を問う

前田裕之 著

現代経済学への批判が絶えない。日本の大学では、標準的な履修コース(ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学)が普及しているが、学生の間からは数式やグラフばかりで学習する意味を見出せないとの声をよく聞く。「経済学は役に立たない」と切り捨てるビジネスパーソンも少なくない。経済学とはどんな学問で、根底にはどんな考え方があるのか? 経済学の「前提」をよく理解せずに教科書や入門書を手に取り、経済学を学ぶ意義が分からないまま、消化不良を起こしてしまう人が多いようだ。そこで、本書では主流派と異端派の諸学説の原典や基本的な考え方を網羅し、経済学という学問の本質を掘り下げたうえで、経済学との付き合い方を提言する。

ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア[新版]

デボラ・ソロモン 著/林寿美、太田泰人、近藤学 訳

女優のブロマイド、天体図、貝殻などが箱に収められた作品を、生涯に800点以上制作。そのほか映画制作や雑誌デザインなども手がけたジョゼフ・コーネル(1903-1972)は、デュシャンのレディメイドや、ありふれた廃物を用いたシュヴィッタースなど、すぐれた現代美術の系譜に連なりながらも、ニューヨークの地で新聞や雑誌の切り抜き、衣装の切れ端、B級映画のフィルムといった取るに足らないものに魅せられ、作家人生のすべてを懸け、それらを寄せ集めた作品を作り続ける。「大人のための玩具」やクリスマスの贈り物と見られる一方で、コーネルの作品を見たサルバドール・ダリは羨望から逆上し、「着想はあれとまったく同じで……文字にしたことも誰かに話したこともない。でもまるであいつが盗んだみたいなんだ」と嘆いたという。コーネルはつねに生きている人間を警戒し、安全な距離を保つことを心がけていた。「この世を去った著名人と深く自己同一化し、彼らの人生に自身を没入させるのが大好きだった」。没後50年記念出版。この新版では作品図版の代わりに、原注の翻訳を加え、索引を充実させる。コーネルの生涯を函入りでお届けする。

今日の配本(22/07/28)

マーティン・イーデン

ジャック・ロンドン 著/辻井栄滋 訳

20世紀初めのアメリカ西海岸オークランド。若い船乗りマーティン・イーデンは、裕福な中産階級の女性ルースに出会い、その美しさと知性に惹かれるとともに文学への関心に目覚める。生活をあらため、図書館の本を読み漁り、独学で文法と教養を身につけたマーティンは作家を志し、海上での体験談、小説や詩、評論を次々に書いて新聞や雑誌に送るが一向に売れず、人生の真実をとらえたと思った作品はルースにも理解されない。生活は困窮し、絶望にかられ文学を諦めかけたとき、彼の運命は一転する。

クレールとの夕べ/アレクサンドル・ヴォルフの亡霊

ガイト・ガズダーノフ 著/望月恒子 訳

パリの亡命文壇でナボコフと並び称されるも、ソ連解体前後の再評価まで、長らく忘れられていた作家ガズダーノフの代表作二篇。20世紀を中心に、ロシア語で書かれた異形の作品を紹介するシリーズ〈ロシア語文学のミノタウロスたち〉第一巻。

紅い帝国の論理
新全体主義に隠されたもの

張博樹 著/中村達雄、及川淳子 訳

専制独裁国家によって世界は紛糾することはなはだしいが、紅い帝国=習近平統治下の中国もそのうちのひとつだ。そしてそこに隠されているものとは、権威主義をもしのぐ、弱肉強食のためのロジックだ。本書は「紅い帝国」の台頭に警鐘を鳴らし、南シナ海問題、強圧的な外交、中国的な特色に満ちた政治経済、新全体主義、新冷戦、新たなる叢林(=ジャングル、弱肉強食)の時代について縦横無尽に切りこむ。著者の意図は、中国を民主国家に翻すことにほかならない。 中国の「新全体主義」は世界にいかなる影響を及ぼすのか? 『新全体主義の思想史──コロンビア大学現代中国講義』の著者による、待望の新刊。米国、ロシア、東アジアを展望した、新冷戦時代の国際政治経済論。

ドレスデン爆撃1945
空襲の惨禍から都市の再生まで

シンクレア・マッケイ 著/若林美佐知 訳

ドイツ東部の都市ドレスデンは「エルベ河畔のフィレンツェ」と呼ばれ、豊かな歴史と文化、自然に恵まれ、教会や古都の街並み、陶磁器や音楽で知られていた。しかし1945年2月13日~14日、軍事施設がないにもかかわらず、英米軍から三度も無差別爆撃され、焼夷弾の空襲火災によって灰燼に帰し、25000人の市民が殺害された。本書は、英国の歴史ノンフィクション作家が、市井の人々の体験と見聞をもとに、ドレスデンの壊滅と再生を物語る歴史書だ。

さとうきび畑の話ではないと思いますが

海外文学シリーズ《エクス・リブリス》の新刊です。

タイトルは『アイダホ』です。「アイダホ」と聞くと「アイダホ・ポテト」という単語が頭に浮かんできます。幼き日の記憶です。たぶんCMか何かだと思うのですが(笑)。

そして、本書の帯の惹句を見ると、さらに別の連想が働きます。名曲「さとうきび畑」です。歌詞の中にこんな一節があります。

ざわわ、ざわわ、ざわわ、風に涙はかわいても
ざわわ、ざわわ、ざわわ、この悲しみは消えない

この長い名曲の、最後の最後ですね。まだ読んでいないので、「さとうきび畑」と何かしら関係がある作品なのか、単なる偶然なのかわかりませんが、ちょっとどころかかなり気になってしまう惹句です。

今日の配本(22/07/19)

作家たちのフランス革命

三浦信孝 編

フランス革命は「自由・平等・友愛」を標語にする共和国の出発点であり、革命をどう記述するかはフランスのナショナル・アイデンティティ構築の鍵を握る。フランスの作家たちは大革命をどのように眼差し、どう描いてきたのだろうか。本書では、18世紀から20世紀を専門とする7名の仏文学者たちが、7人の作家の作品を通し、この問いに鮮やかに答える。

鈍器? 凶器? いいえ、書籍です

昨日の朝日新聞一面下、いわゆるサンヤツ広告に載っていたのは右の写真の書籍たちです。

写真でどのくらい伝わるのかわかりませんが、相当な重量級の書籍です。載っていたのは二点だけですが、一方は上中下の全三巻、もう一方は上下本ですから、合計五冊になりました。

こんな分厚い本、もちろんそこそこのお値段がします。『第二次世界大戦1939-45』は上中下各巻本体価格3600円です。『ヒトラー』に至っては、上巻が8000円、下巻は11000円という価格になります。

こんな高価格の書籍なんですが、いずれもよく売れているのです。何刷もしています。ほぼ毎年のように重版になっています。これはすごいことです。出版不況と言われる中、よい本はそれでも売れ続けるんだなあということを実感させてくれる事例です。

没後60年と生誕130年、生誕150年

ちょうど一週間前の7月8日はバタイユの没後60年でした。あたしの勤務先からはバタイユの著作ではありませんが、『バタイユ 魅惑する思想』という一冊を刊行しております。

バタイユの著作は他社からたくさん出ていますが、没後100年などキリのよいアニバーサリーでないと店頭も盛り上がらないですかね?

そして、本日7月15日はベンヤミンの生誕130年にあたります。ベンヤミンも本人の著作は出しておりませんが、『ヒトラーと哲学者』や『フランクフルト学派と批判理論』がベンヤミンがかかわる刊行物になります。

ベンヤミンの方が盛り上がるのか、バタイユの方が世間的な関心は高いのか、あたしにはよくわかりませんし、いわゆる世間一般で言えば「どっちもどっち」なのかもしれません(爆)。

そして、明日7月16日はアムンゼン生誕150年にあたります。アムンゼンと聞くと、南極探検、スコットとの競争が有名ですが、子供向けの偉人伝にアムンゼンは入っているのでしょうか? あたしは子供のころにアムンゼンとスコットの物語を読んだ記憶があるんですよね。アムンゼンは成功し、スコットは遭難死してしまう物語に、子供心にスコットへの同情心が芽生えたのを今でも憶えています。

さて、子供向けではありませんが、あたしの勤務先からは『アムンゼン 極地探検家の栄光と悲劇』という評伝を刊行しておりました。「ました」という過去形を使ったのは現在品切れだからです。残念ですが致し方ありません。