あれから30年

ソビエト連邦崩壊から30年。もう30年たつわけですから、いまの若い方の記憶にないのは当然ですね。あたしの世代ですと「ロシア」という響きは帝国の彭を思い出させ、やはりあの国のことは「ソ連」と呼んでしまいがちです。

ソビエト連邦という国の歴史を振り返るもよいですが、かなりたくさんの本が集まりそうなので、今回はソ連崩壊の時期に絞ってご案内しますと、まずは『ゴルバチョフ(上)』『ゴルバチョフ(下)』です。ソ連を崩壊に導いたという表現を使うとマイナスイメージになってしまいますが、やはりあたしの世代にとってゴルバチョフは冷戦を終わらせ、さまざまな改革を行なった清新な政治家というイメージが先行します。まだ存命ですので、本書は評伝ではありますが、半生記的なものです。

そしてゴルバチョフの引き起こした改革が東欧全体に影響を及ぼし、一気に「東側」が崩壊していった様を描く『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』です。リアルタイムで知っていますが、まさかこんなにあれよあれよという間に共産圏が崩れていくとは思いもしませんでした。

考えてみますと、1989年という年は、年明け早々に昭和が終わり、中国で天安門事件が起こり、そして東欧の崩壊、ベルリンの壁崩壊という、たぶん近年稀に見る激動の都市であったと思います。そんな東欧の状況を活写したのが本書です。

そして西側に住むあたしたちは、これで共産圏に暮らす人たちも幸せになれると脳天気に思い込みがちですが、実際にはそうではなく、あまりの価値観の変化についていけない人たちも大勢いたようで、そんな実情を描いたのが『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々』です。正題だけを見ると、動物の話かなと思って、本屋で「自然-生物」のコーナーに置かれてしまいそうですが、副題を見ていただければ、どんな内容を扱った本なのか理解していただけると思います。

そう言えば、東欧のように共産社会が崩壊したわけではありませんが、事実上の資本主義に邁進してきた中国でも、「共産主義は素晴らしい、仕事をしなくたって給料がもらえるから」という皮肉めいた発言を中国人から聞いたことがあります。

東欧の崩壊が1989年に始まって、本家本元のソ連が解体になったのが、いまから30年前1991年の12月25日なわけです。ソ連からロシアに変わり、現状を見ると再び「帝国」に戻ってしまったかのような印象がありますね。

そんな25日クリスマスには『クリスマスの文化史』を繙くのは如何でしょうか? 毎年この時季になると(もう少し前からですが……)書店からの注文が伸びる季節商品的な一冊です。

3点に3冊

朝日新聞の年末恒例「書評委員今年の3点」です。

今年は温又柔さんに『J・M・クッツェーと真実』と『断絶』、金原ひとみさんに『もう死んでいる十二人の女たちと』を取り上げていただきました。

お二人の選書だからと言うと少し偏見かも知れませんが、いずれも文芸ジャンルの作品でした。個人的には、もう少し人文社会系の本が選ばれるかな、と期待していたのですが、他の書籍に力及ばずでした。

もちろん、選んでいただいたこの三冊もよい本ですし、多くの方にお薦めしたい本ではあるのですが、それでも「いや、文芸だけじゃなくて、ほかにもいろいろな本を出しているんですけど……」という思いがあります。

あたしの勤務先のウェブサイトでも今年のベストテンを発表していますが、必ずしも文芸ジャンルばかりではありません。まあ、売れた本と書評委員の方が選ぶ本とは必ずしも一致しませんし、一致する必要もないのですが……

ただ、売れていないわけではないですが、こういうランキングでは、どうもこの数年、人文系が弱くなっているような気が個人的にはしています。

紀伊國屋書店が発表した今年の「じんぶん大賞」でも、発表された30位までにあたしの勤務先の書籍は選ばれていません。やはりちょっと悔しくはあります。ランキングに選ばれなくても売れていればいいじゃないか、という意見もあると思いますが、こういうランキングって出版社以上に著者が気にするものなのでしょうか?

今日は買うべきなのか否か?

クリスマスイブです。あたしはキリシタンではないので、特に祝うこともしませんし、特別な料理を食べることもありません。

世間では、チキンが売れるみたいですし、ケーキ屋さんは大繁盛の一日なのでしょう。やはり、買うべきなのでしょうか?

ただ、昔から思うのですが、こういう日のチキンやケーキって、大量に作るからいつもよりも雑になってないかなあ、という懸念があります。土用の丑の日の鰻屋さんもそうです。

次から次へと来るお客に提供するために、いつもよりもちょっとだけ手を抜いている、こだわりがなくなっている、そんな気がしてならないのです。

あたしはチキンもケーキも、もちろん鰻だって大好きです。だからこそ、この時季は避け、じっくり、しっかり作ってくれていそうな何でもない時に買って食べたいと思うのです。

これって単なる偏見なのでしょうか?

ただ、バレンタインデーは、チョコ好きとしては、その時にしか売っていないチョコが出回ったりするので別ですね。

今日の配本(21/12/23)

中国語検定対策4級問題集[三訂版]

伊藤祥雄 編著

基本の文法事項が出そろう4級試験。本書では、【過去問】を文法項目ごとに分けて掲載しています。まずは自力で解いてみて、間違えた箇所を確認してください。続く【解答のポイント】【文法のまとめ】では、過去問で狙われている点をくわしく解説し、覚えるべきことを整理します。一通り理解できたら、【練習問題】で実戦力を身につけましょう。試験は年3回(3・6・11月)。最新の過去問と出題のポイントを押さえ、万全の対策で臨んでください。巻末に模擬試験・単語リスト付。

やはり、ちょっと寂しいですね

書原高井戸店が来年の1月10日で閉店になるそうです。

と言われても、地元の人でないとわからないかも知れませんね。東京は杉並区にある本屋さんのことです。緒言と言えば『書店ほどたのしい商売はない』という本を出版している社長の下、東京の主に西部、多摩地区に数店舗を構えていたチェーンで、ずいぶん前に閉店した阿佐ヶ谷店が特に有名でした。

いまでこそバリアフリーなどと言われていますが、書原は通路も狭く、書棚にもすき間がないくらいビッシリと本が差し込まれているお店で、レジ前の一等地に積んであるから新刊だと思ったら、ずいぶん前に出ている本で、スタッフの方が個人的に推しているからそこに置いてあるような、とにかく個性的なお店でした。

そんな書原の店舗の一つが高井戸店で、高架になっている井の頭線高井戸駅の下にちょっとした商店街があり、そこに入っていた書店です。そしてなぜかこのお店は書原ではなく広和書店という屋号で営業していました。

あたしが高井戸に住んでいたのは小学校に上がる時から大学4年生まで、いわゆる一番多感な時です。本が欲しい時は、まずはこの本屋に来て本を探すのが決まりでした。子供心には、とにかくどっちを見ても本だらけ、子供にはとても難しくて歯が立たない本もあれば、子供向けの絵本や学習参考書も所狭しと並んでいて、あたしの人生最初の本屋体験のお店でした。

その後、何の因果か出版社の営業となり、中央・京王沿線を担当になってからは、仕事として何度も足を運んだお店です。書店の規模の大小に関係なく、多くの書店が廃業、閉店しているこのご時世、慣れているようでいて、自分にとって思い出の書店の閉店というのはやはり寂しいものですね。

今日の配本(21/12/21)

スペイン語の感情表現集

佐竹謙一、佐竹パトリシア 著

一口に「笑う」といっても、「にんまりする」「笑い飛ばす」「作り笑いする」……いろんな表現がありますよね。スペイン語ではどう言うのでしょう。本書は二部構成で、「Ⅰ 気持ちの表現」では喜怒哀楽などの気分、「Ⅱ 性格・性向・行動」では意思や気質、行動パターンなどを取り上げています。自分の感情を中心に表現できるよう、なるべく「私」を主語にしました。豊富な例文の中からあなたの伝えたいニュアンスがきっと見つかります。巻末にスペイン語と日本語の索引つき。

オリンピック100話

ムスタファ・ケスス 著/芦立一義 訳

スキー滑降で前屈みの卵型の姿勢によって、空気抵抗を抑えこんだジャン・ヴュアルネ。走り高跳びで背面からバーを越えることで記録を更新した「ディック・」フォスベリー。審判員たちが「それが規則に適っているかどうか問題にさえした」ほど、どちらも画期的な出来事だった。本書はこうした逸話や、長野大会で正式競技種目となったカリーングなど競技種目の誕生、パラリンピックの歴史。10年以上にわたり、雑誌『ふらんす』のスポーツ記事を担当したフランス在住の訳者による、2024年パリ大会に向けた開催地の様子も併せて読みたい。

年明けにはツアーに出られるかしら?

なんとなく、なんとなくですけど、ジワジワと新型コロナの感染者が増えてきているような気がします。日本はどうして増えないんだと世界中から疑問に思われていましたが、とうとう日本も感染拡大期に入ってきているのでしょうか?

数日前に書いたように、この数年、お腹の調子が悪いので、飲み会や食事会が出来ないのは、いまのあたしにとっては好都合なのですが、外回りが出来なくなるのはつらいです。それだけは困ります。

いまのところは、マスクを常時していること、入る前にアルコールで手指消毒をすることくらいのを除けば、ほぼコロナ前の営業回りと変わりない状態ですが、これがいつまた非常事態になってしまうのか?

もう年内は数えるほどですが、年明けにまた関西へツアーに出る予定です。1月下旬から2月初めくらいを予定しているのですが、そのころの感染状況はどうなっているのでしょう? それが心配です。

急遽中止、なんてことにならなければよいのですが、こればっかりは専門家だって予測不可能でしょう。

来年が楽しみ!

今日の午後からは「よんとも」でした。ガイブンに強い出版社の編集者が今年の成果と来年の予定を披露する、年末恒例の企画です。参加出版社は河出書房新社、集英社、作品社、書誌侃侃房、白水社、早川書房、国書刊行会です。

今年刊行された各社のガイブン、何作かは読んだことがありましたが、まだまだ漏れているものが多いです。改めて話を聞くと、「嗚呼、これも読んでない、あれも読んでない」と反省ばかりでした。何冊かはいまからでも読まなければ、と思った作品がありました。

そして来年です。

このところ書店の海外文学コーナーでは、ここでも韓流が勢力を伸ばしていますが、台湾も含めた中国語圏の作品もジワジワと増えてきています。その流れが来年も続きそうです。各社の来年のランナップを見てみますと、欧米ももちろん主力として、メインストリームとして各社並んでいますが、非欧米圏、特に韓国や中国を中心としたアジア圏の作品の予定が目立つと感じました。

これは、あたしにとってはとても嬉しいニュースです。経済的な裏付けが伴うのであれば、まずはすべて買いたいですし、買ったからには一冊でも多く読破したいです。

久しぶりの外食

今日は年に一度、この時季恒例の墓参りに、母と二人で行って来ました。

何年か前の墓参りの帰路、乗っていた渋谷発吉祥寺行きの井の頭線急行電車が、かつて住んでいてよく利用していた高井戸駅を通過時に人身事故を起こし、車内に40分くらい缶詰になった経験があり、墓参りに行くと毎回母とこの話題になります。

もちろん、乗っていた電車が人身事故を起こすなんて体験、そんなめったやたらにあるわけではなく、その時一回限りのことです。

さて、本日もよく晴れた休日、午前中に墓参りを済ませ、ちょうどお昼時に吉祥寺に到着しました。お昼を食べようということになり、駅南口のビルにある牛たんのお店「ねぎし」へ行きました。

久しぶりの外食です。やはり、とても美味しかったです。

コロナもあって、この二年くらい、外食はほとんどなくなっていましたが、個人的にはこれが幸いでした、

実はこの三年くらい、食事をするとお腹を壊すという状況が続いていて、朝は軽くトーストだけなのでまだよいのですが、自宅で夕食を食べた後じきにトイレに駆け込むことがしょっちゅうなのです。ですから、出勤している日は昼食は食べません。コロナ前に何度か参加した食事会(飲み会)も終わって帰路に着く段階になるとお腹がグルグルしてきて、駅ビルなどのトイレを探すことがしばしばどころか、ほぼ毎回でした。

そんなわけですので、コロナで外での飲み会、食事会がないというのはもっけの幸いな状況でもあったのです。そんな中、本日は久しぶりの外食を楽しみました。幸いにも、腹痛、腹下しは起きていません。今のところは大丈夫そうです。