清朝滅亡
戦争・動乱・革命の中国近代史一八九四―一九一二
杉山祐之 著
日清戦争から宣統帝退位に至るまで、個性豊かな主役・脇役の人物像に焦点を当て、激動の時代を生き生きと再現した壮大なドラマ。
東京の郊外、「多摩の渋谷」とも呼ばれる町田を中心に展開している書店・久美堂。小田急線の町田駅前にある本店の一階でこんなフェアをやっていました。
はい、岩波文庫フェアです。在庫のあるものほぼ全点が並んでいるようです。さすがに、あたしが探しているのは数年前から版元品切れになっているようなので並んではいませんでしたが、このフェアは壮観でした。
都心の大型店へ行けば、岩波文庫がほぼ全点並んでいる書店もいくつかあると思います。でも、そういう大型店ではなく、都心でもない郊外の街の書店でこれだけの岩波文庫が並ぶのは滅多にないことだと思います。
このフェア、一階のレジ前でバーンとやっているのですが、店長曰く、昨年の春から、この場所を使ってこういうフェアを連続して行なっているそうです。講談社学術文庫やブルーバックス、ちくま文芸文庫、平凡社ライブラリーなど、なかなか攻めたフェアを二か月ずつやって来て、売上が絶好調なのだそうです。非常に手応えを感じているとのことで、いろいろな版元から「次はうちでやらせてください」との声がかかっているそうです。
フェア台にはこんなメッセージパネルが飾ってありました。「久美堂でのフェアに寄せて」とありますから、岩波書店側が用意したものでしょう。出版社と書店が一緒になって盛り上げようという意欲が見て取れます。
写真をご覧いただければわかるように、スタート時にはビッシリと並んでいたはずの棚のあちこちに隙間ができています。それだけ売れているということなのです。町田という立地は、確かに新宿や横浜に気軽に出られる場所ではあります。町田や周辺には大型書店がないので専門書を買いたい人は都心へ行ってしまう傾向があるそうです。
ただ、都心にも横浜にも滅多に出かけないという地域の方も非常に多いようで、だからこそ時々こういうフェアを開くと多くの人が楽しみにやって来るのでしょう。二か月ごとですから、たまに本屋を覗くくらいの人であれば、来るたびに「何か面白いフェア、やってる」と思ってもらえると思いますし、現にお客様から「次は何やるの?」と聞かれることもあるそうです。
本日の朝日新聞紙面に、今年の展覧会などの情報がまとめて載っていました。基本的には朝日新聞主催のものですよね。「行きたいなあ」と思うものや「初めて聞く名前だ」というもの、、いろいろ並んでいましたが、あたしの目を惹いたのはこの展覧会です。
国立西洋美術館で6月から8月にかけて行なわれる「内藤コレクション 写本-いとも優雅なる中世の小宇宙」です。
中世の写本と言えば、昨年末にあたしの勤務先から『中世の写本の隠れた作り手たち』という新刊を刊行したばかりですし、これまでも『中世の写本ができるまで』『写本の文化誌』といったヒット作を刊行しております。写本の美しさに負うところが多いですが、このジャンルは確実のファンがいるんですよね。この展覧会も人気の展覧会になるのではないでしょうか。
内藤コレクション
写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙
📅 2024/6/11(火)〜8/25(日)🎨フランチェスコ・ダ・コディゴーロ写字、ジョルジョ・ダレマーニャ彩飾
《レオネッロ・デステの聖務日課書零葉》1441-48年、彩色、金、インク/獣皮紙、内藤コレクション pic.twitter.com/zEPndcMKBL— 国立西洋美術館 NMWA Tokyo (@NMWATokyo) January 4, 2024
あたしの勤務先の書籍も、美術館のミュージアムショップに並べてもらえれば、そこそこ売れるのではないかなあ、と今から取らぬ狸の皮算用をしております。あとは、この三点で書店フェアを企画しますかね。
新年最初の書評情報、本日の朝日新聞読書欄には、残念ながらあたしの勤務先の刊行物は紹介されていませんでした。しかし思わぬところで登場していたので、ご紹介したいと思います。それがこちらです。
オピニオン欄に登場している粕谷祐子さん、そのプロフィール欄に載っている『アジアの脱植民地化と体制変動』があたしの勤務先の刊行物なのです。どんな本かと言いますと、
王国から共和国まで、権威主義体制から自由民主主義体制まで、多様なアジアの近現代史を統一的に描くことは果たして可能なのだろうか? 本書は、「脱植民化」、とりわけ第二次世界大戦前後の一九四〇年代から五〇年代に注目して、この問いに鮮やかに答えている。
というものです。アジア諸国の独立と近代化の歩みは様々で、国ごと、あるいは地域ごとに扱った書籍はこれまでにもあったと思います。しかしアジアという大きな枠組みで並べて論じたものはなかったのではないでしょうか。
2023年12月に送信した注文書をご案内いたします。
まずは重版した『インド外交の流儀』があっという間に完売となり、再重版となりました。そして毎月恒例の「今月のおすすめ本」です。そして新刊『マチルド・ローランの調香術』が配本になったので、既刊の『香水』と一緒にご案内しました。さらに年明けの映画「ゴールデンカムイ」実写版の公開を前に関連書である『ニューエクスプレスプラス アイヌ語』『第七師団と戦争の時代』のご案内です。
こちらも新刊『中世の写本の隠れた作り手たち』が配本になりましたので、好評既刊『中世の写本ができるまで』『写本の文化誌』を併せてご案内しました。そして月の後半恒例、「今月のおすすめ本[語学書]」をご案内し、年内最後は年明けに没後100年を迎えるレーニンの評伝『レーニン 権力と愛』をご案内しました。
東郷雄二 著
無味乾燥に見える文法の中には、実はコトバの働きを支える「しくみ」が潜んでいます。その「しくみ」を掘り起こし、意識することで、フランス語らしい表現ができるようになります。
曽我祐典 著
日本語と同じように、フランス語でも場面や人間関係に応じて表現が異なります。ことばづかいの陰に文法あり。フランス語で自分の意思をうまく伝える感覚を磨いていきます。
西村牧夫 著
単語の意味がわかっただけで、会話や文章を「理解している」と思っていませんか。見逃しがちなポイントを示しながら、相手の意図を正しくよみとく力をつちかいます。
アブドゥルラザク・グルナ 著/粟飯原文子 訳
舞台は20世紀初頭、現在のタンザニアの架空の町。主人公ユスフの12歳から18歳までの成長の過程が辿られ、東アフリカ沿岸地域の歴史的な大転換期が、少年の目から語られる。宿を経営するユスフの父親は借金に行き詰まり、裕福な商人アズィズに借金の形に息子を差し出す。ユスフは使用人(奴隷)として働き、内陸への隊商で莫大な富を得ているアズィズの旅に加わる。互いに争うアラブ人、インド人、アフリカ人、ヨーロッパ人のいくつもの勢力を目撃し、さまざまな経験を積んだユスフは次第に自らの隷属状態について疑問を抱きはじめる……。
ヨン・フォッセ 著/河合純枝 訳
2023年ノーベル文学賞を受賞した、ノルウェーを代表する劇作家の代表作「だれか、来る」とエッセイ「魚の大きな目」を収録。邦訳の単行本は初となる。巻末の訳者による解説では、文学的出発点になった出来事、原風景、創作のテーマ、影響を受けた世界文学や、主要作品の紹介のみならず、著者との長年の親交のなかでのエピソードから貴重な素顔も伝わってくる。
ティモシー・タケット 著/松浦義弘、正岡和恵 訳
憲法がほぼ完成しようとしていたこの重要な時期に、立憲制の要である君主が、革命支持の厳粛な誓いを破り、パリから逃れた――その衝撃は凄まじかった。感情の巨大な波が国中を駆けめぐった。フランス革命を変えた夏の真相に迫る記念的名著。
岩波新書で『ケアの倫理』という本が来年1月に刊行されるそうです。なんとなく見覚えがあるタイトルだなあどころか、全く同じタイトルの本『ケアの倫理』が、あたしの勤務先からも出ています。それも岩波新書とほぼ同じ判型の文庫クセジュで(汗)。
ちなみに岩波新書の副題は「フェミニズムの政治思想」で、内容紹介には次のように書かれています。
身体性に結び付けられた「女らしさ」ゆえにケアを担わされてきた女性たちは、自身の経験を語る言葉を奪われ、言葉を発したとしても傾聴に値しないお喋りとして扱われてきた。男性の論理で構築された社会のなかで、女性たちが自らの言葉で、自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想、ケアの倫理を第一人者が詳説する。
そして、文庫クセジュの方の副題は「ネオリベラリズムへの反論」で、内容紹介は如下、
「ケア」とは、脆弱と依存にある他者に配慮することである。人間は依存しあって生きるため、競争社会の中で「ケアの行動」は大切になる。配慮をめぐって社会的な絆の問題を提起する。現代のネオリベラリズムの社会とは、自律した個人が競争しあう社会である。しかしそれだけで、社会は成り立つのだろうか。人間は、実は傷つきやすく、ひとりでは生きていくことができないため人との関係、他人への依存を必要としているのだ。「ケア」とは、人の傷つきやすさに関わることであるが、その活動はこれまで私的なこととされ隠されてきた。自律した個人が競争できるのは「ケア」する人が存在するからであり、「世話をすること」の概念を見つめ直す。その倫理は社会関係の中枢に位置づけられるものであり、配慮しあう世界をめざす。本書はアメリカで始まった議論をフランスの哲学的背景からいっそう深めた解説書となっている。
同じタイトルなのに全く異なる内容の本なのか、それとも非常に近しい内容の本なのか、門外漢にはよくわかりません。ただ文庫クセジュの目次を眺めますと、「「ケア」の主題/女性たちの声」「「ケア」は母性ではない」といったように岩波新書と関わるような文言が見て取れます。
いずれにせよ、ケアという言葉から連想されるような福祉や介護などの実用的な内容ではなく、もっと人文寄りの内容の本のようです。同じ新書判なので、是非とも一緒に並べて置いていただきたいものです。