似て非なるもの

書店店頭でこんな本を見かけました。

珈琲と煙草』という本です。文芸書売り場で見かけたので、海外小説なんですかね。この本を眺めていたら、「あれっ、前にも似たようなタイトルの本があったよなあ」と思いました。

それがこれ、『幼女と煙草』です。

思い出してみると、「と煙草」が共通するだけなんですね。これだけですと、似てるとも言えますし、似てないとも言えます。あたしが、煙草が大嫌いなので、煙草という文字を目にすると必要以上に心にインプットされてしまうせいかもしれません。

そうそう、似ていると言えば、こんな本も気になりました。

偽情報戦争』という本です。こちらは似たタイトルの本を思い出したわけではありません。思い出したのはこちらです。

あたしの勤務先から刊行された『ウエルベック発言集』です。

どうでしょう、似ていませんか、装丁が。

どちらも、装丁は本を横に向けないと読めないような文字の並びです。また白地に黒の文字一色というシンプル(?)なところもよく似ています。

ただし、この両書はジャンルが異なるので、並んで置かれることはないので迷うこともなければ、間違えることもないと思います。

しかし、改めて並べてみると、そんなに似てなくもないか、という気がしてきました。

記憶に残る愛の本

東京の西側、京王線沿線に展開する書店チェーン、啓文堂書店の店頭でこんな小冊子を配布していました。「記憶に残る愛の本」というタイトルで、各店でフェアを展開中のようです。

もともとは「記憶に残る本」というテーマで、昨年フェアを開催したところ好評だったので、こんどは「愛の本」に絞って「記憶に残る本」フェアPart2として開催していることらしいです。

愛なんて言葉、久しくどころか生まれてこの方使ったことがあるのでしょうか、というくらい愛に飢えているあたしには、なかなか魅惑的でもあり、切なく感じるフェアでもあります。

冊子を開くと各店が選んだ書籍が紹介されていて、コメントも載っています。どんなのが選ばれているのかは、店頭で展開しているフェアを見ればわかりますが、この冊子を見ればお店を離れても反芻することができます。

そんな店頭のフェアを眺めていて飛び込んできたのが、あたしの勤務先の刊行物、リディア・デイヴィスの『話の終わり』です。選んでくださった書店員さんの名前が明記されていないのが残念ですが、下高井戸店の選書です。ありがたいことです。

『話の終わり』は確かに愛をテーマにしていますが、果たして「愛の本」というタイトルでイメージするような「愛の本」なのでしょうか。いや、愛にはいろいろな形があるものです。「話の終わり」が描く世界も、一つの愛の形なのでしょう。と、愛とは無縁に半世紀以上を生きてきたあたしが語っても何の説得力もありませんが……

ちなみに、Twitterにもフェアの様子がいろいろアップされていますので、そのうちの一つ、吉祥寺店のつぶやきを引用しておきます。『話の終わり』は左下の方に並んでおります。

今日の配本(23/04/03)

アントンが飛ばした鳩
ホロコーストをめぐる30の物語

バーナード・ゴットフリード 著/柴田元幸、広岡杏子 訳

ポーランドでの平穏な子供時代から死と隣り合わせのナチス支配下の日々、悲喜交々の戦後を、写真家の精緻な目で綴る記録文学の傑作。

2023年3月のご案内

2023年3月に送信した注文書をご案内いたします。

  

最初は恒例の「今月のおすすめ本」、そして春先の恒例、語学辞典のご案内です。またこの時季は語学書の重版も多いので、重版出来だけもご案内しました。

  

続いては、4月の初めに日本経済新聞に広告掲載予定の『経済学の壁』『インド外交の流儀』の二点のご案内です。そして突然飛び込んできた訃報、黒田杏子さんの著作のご案内です。それから月の後半の恒例、「今月のおすすめ本」の語学書篇です。

  

下旬になって朝日新聞の天声人語に取り上げられて注文が殺到した『カモメに飛ぶことを教えた猫』のご案内、4月のNHK「100分で名著」が新約聖書の福音書なので関連しそうな書籍『キリストの言葉』『イエス』をご案内しました。そして最後に、初動が好調な文庫クセジュ『ルネ・ジラール』のご案内でした。

社会を変えるための(?)フェア

書店店頭でミニフェアをやっていて、こんなチラシが置いてありました。

なんとなく閉塞感の漂う現代社会にピッタリの企画ですね。ハッシュタグは「社会運動の現在形」となっています。SNSで検索すれば、いろいろヒットするのでしょうか?

チラシを広げてみますと、

そういえば、知ってたら協力できたのに…と思ったことはありましたよね。

そういえば、理不尽なこと、耐え続けてる人いますよね。

そういえば、非暴力で戦ってる人、いますよね。

そういえば、民主主義って ことば ありましたよね。

という惹句が踊っています。これだけを見ると、あたしの勤務先から刊行している書籍も一緒に並べてほしいなあと思ってしまいますが、このフェアはその書店の方が企画したものなのでしょうか? それともどこかの出版社が企画したフェアなのでしょうか?

このチラシには主催者とか問い合わせ先、発行元が書いてありませんが、多くの書店でやっているフェアなのでしょうか?

今日の配本(23/03/30)

独裁者の料理人
厨房から覗いた政権の舞台裏と食卓

ヴィトルト・シャブウォフスキ 著/芝田文乃 訳

歴史の重要な瞬間に彼らは何を目にしたか? 20世紀の独裁者5人に仕えた料理人たちの悲喜こもごもの人生。2021年度〈グルマン世界料理本賞〉受賞作。本書に登場する独裁者はサダム・フセイン(イラク)、イディ・アミン(ウガンダ)、エンヴェル・ホッジャ(アルバニア)、フィデル・カストロ(キューバ)、ポル・ポト(カンボジア)。彼らに仕えた料理人たちは、一歩間違えば死の危険に見舞われた独裁体制下を、料理の腕と己の才覚で生き延びた無名の苦労人ばかりである。

今日の配本(23/03/29)

長い物語のためのいくつかの短いお話

ロジェ・グルニエ 著/宮下志朗 訳

「陽気なペシミスト」「短篇の名手」「パリ文壇最長老」などとして知られる、グルニエ生前最後の傑作短篇集。思わず泣き笑いしてしまうような心に沁み入る全13篇を収録。人生の旨味と苦味と可笑しみを洒脱な筆致で描く、著者92歳の到達点!

アーダの空間

シャロン・ドデュア・オトゥ 著/鈴木仁子 訳

500年の時空を超えた、輪廻転生の壮大な物語  〈Ada〉という同じ名前を持つ4人の女――1459年、アフリカの海浜の村で、赤子を失って悲嘆に暮れる若い母アダー。1848年のロンドンで、ディケンズと逢瀬を重ねる伯爵夫人で数学者のエイダ。1945年、ドイツの強制収容所で慰安婦をさせられているポーランド人のアダ。そして2019年、現代のベルリンで、差別に苦しみながらアパート探しを続ける大学生アーダ。まったく異なる女として別の生を生きながら、いずれも時代の変動期に、権力構造によって周縁に追いやられ、苦しみ、同じような運命をたどる。

今日の配本(23/03/28)

一八世紀の秘密外交史
ロシア専制の起源

カール・マルクス 著/カール・アウグスト・ウィットフォーゲル 序
石井知章。福本勝清 編訳/周雨霏 訳

資本主義の理論的解明に生涯を捧げたマルクス。彼はこの『資本論』に結実する探究の傍ら、1850年代、資本の文明化作用を阻むアジア的社会の研究から、東洋的専制を発見する。他方、クリミア戦争下に構想された本書で、マルクスはロシア的専制の起源に東洋的専制を見た。ロシア社会の専制化は、モンゴル来襲と諸公国の従属、いわゆる「タタールの軛」(1237-1462)によってもたらされたと分析したのである。このため、マルクスの娘、エリノアの手になる本書は歴史の闇に葬られ、とりわけ社会主義圏では一切刊行されなかったという。