310年と260年

本日6月28日は、あたしの勤務先絡みでは二つのアニバーサリーです。

まず一つは、ジャン=ジャック・ルソーの生誕310年になります。刊行物で言いますと、主著の『社会契約論』がUブックスで出ています。また代表的な著作のコレクションが、白水iクラシックスから四冊、『ルソー・コレクション 孤独』『ルソー・コレクション 政治』『ルソー・コレクション 文明』『ルソー・コレクション 起源』として刊行されています。

ルソーは教科書にも載っている有名人ですから、他者からも翻訳や関連書籍がたくさん出ているはずです。この機会に店頭でちょっとしたフェアなどは如何でしょうか?

二つめのアニバーサリーは、ロシア帝国の女帝・エカチェリーナ二世の即位260年です。

ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアそしてプーチンは、かつてのソビエト連邦ではなく、さらにその前のロシア帝国の再現、復興を目指しているのではないかと言われています。その復興すべきロシア帝国の象徴なのが、このエカチェリーナ大帝です。

現在も尾を引く、クリミア半島領有など、歴史を遡って考えるのであれば必ずエカチェリーナ女帝に行き着きます。いま現在のクリミアとロシアの戦争を理解するのであれば、この数ヶ月で陸続と刊行された書籍で十分なのかもしれませんが、もう少し歴史の流れを知りたい、どうしてこういう事態になっているかの根源を知りたいというのであれば、本書は外せない一冊、否、二冊になるでしょう。

今日の配本(22/06/27)

フランス革命史
自由か死か

ピーター・マクフィー 著/永見瑞木、安藤裕介 訳

1789年以降、フランスの革命家たちは人民主権、国民統合、そして市民的平等の諸原理に基づいて自分たちの世界を再建しようと努めた。それは、絶対王政と身分特権、地方特権に彩られた王国において、途轍もない挑戦だった。本書は、なぜ革命が起きたのか? また革命は誰にとってのものだったのか? そして革命が残した遺産はなにか? 世界的権威が描き切った「全史」である。

帰りたい

カミーラ・シャムジー 著/金原瑞人、安納令奈 訳

イスマ、アニーカ、パーヴェイズは、ロンドンで暮らすムスリム(イスラム教徒)の三人きょうだい。イスマは長女、下の二人は双子の姉弟。パキスタン系英国人の父親はイスマが幼い頃に家族を捨て、ジハードのためにボスニアに旅立ち、グアンタナモ収容所への搬送途中で病死した。3人に父親の記憶はほとんどない。母親も7年前に死んだ。長女のイスマは妹と弟を育てるために学業を中断して働いた。妹のアニーカは高校卒業後、奨学金を得て大学に。弟のパーヴェイズは音響関係のキャリアを目指す。イスマは渡米し、研究助手として大学院で勉強を続ける。そんなある日イスマは、カフェでエイモンという青年に出会う。エイモンもロンドン育ちだが、パキスタン系の父親は英国の国会議員で裕福な家庭だった。ロンドンに戻ったエイモンは、イスマの妹アニーカに会い、強く惹かれる。一方、ロンドンに残ったパーヴェイズはパキスタンの親戚に会いにいくと嘘をつき、旅に出た。行き先は、シリアのラッカ。ジハード戦士だった父に憧れ、イスラム国に参加していたのだ。

人口比で考えると

昨日で文教堂赤坂店が閉店になりました。

何年か前までは赤坂あたりも営業担当でしたので、同店も何回も通っていました。近所にはもう一件、金松堂という街の本屋さんもありましたが、それも文教堂よりも前に閉店してしまいましたね。

冒頭でリンクを貼った記事にも書いてありますように、

オフィス街という立地条件から、特に昼休みの時間帯は多くの人でにぎわい、3台のレジ前に行列ができた。距離的に国会が近く、首相就任前の岸田文雄首相や、首相在任中の菅義偉前首相が来店したこともあるという。徒歩数分の距離にTBSホールディングスがあり、利用客にはテレビ関係者も多い

というのは営業回りで訪問したときに文教堂でも金松堂でも聞いた話です。「TBSで領収書をお願いします」なんていう場面がしょっちゅうあったのでしょうね。あたしの勤務先に限らず、堅めの本を出している出版社の本も以前はよく売れていました。そういうお客さんが大勢周囲にはいた、働いていた、ということなのでしょう。

同じく記事にあるように「赤坂店の周辺では、飲食店が軒並み営業休止に。在宅勤務が広がり、人出も減った。海外からの観光客が激減したことも響いた」ようですが、それ以前から、本をよく買ってくれるサラリーマンが定年退職で減ってしまっていたようです。在宅勤務の広がりで、往時と比べ赤坂あたりは昼間人口がどれくらい減っているのでしょうか?

この手の「街から本屋が消えた」というニュースでは地方が取り上げられることが多いです。本屋が一軒もない自治体も話題になります。確かにそれはそれで深刻な問題なのですが、周辺人口(昼間の就業人口も含め)で考えると、東京の方が実は深刻なのではないか、という気がしています。

今日の配本(22/06/16)

中級ドイツ語会話ハンドブック[新版]

谷澤優子、ガブリエラ・シュミット 著

第1部は毎日使う定型表現。第2部はドイツ語会話パターンを実例と合わせて解説。第3部は日本紹介の200以上の表現集。全例文音源付き。

シャルル・ドゴール伝(下)

ジュリアン・ジャクソン 著/北代美和子 訳

世界を牽引した指導者、「最後の偉大なフランス人」シャルル・ドゴール。彼は巧みな戦略家であり、ひとつの政策に固執する反面、融通無碍な政治家でもあった。派手さを嫌う性格でありながら、ショーマンシップも発揮した。悲観と楽観のあいだを揺れ動き、自信を喪失したかと思うと、自己をフランスと一体化させ、君主であるかのように振る舞った。人びとの心にほとんど宗教的な崇敬の念を吹きこんだ。国民の統一を希求したが、その手法や政策はフランス社会に分断と対立を生み、ドゴールが憎悪の対象ともなった。従来のドゴール伝が礼賛か批判かに偏りがちだったのに対して、本書は時代ごとの世界情勢や政治的状況、経済的環境のなかにドゴールを位置づけ、著作、書翰、発言、さまざまな同時代人の証言、新公開されたフランス国立文書館収蔵のドゴール文書など膨大な資料を駆使して、その全体像を中立かつ客観的な視点から記述する。さらに本書の大きな魅力は、資料の綿密な分析に基づいて、「人間ドゴール」の複雑な性格を浮びあがらせている点にある。英国の世界的権威による、ドゴールを主役にした「20世紀フランス史」。

受賞が続きますね

今朝の朝日新聞です。岡田利規さんのインタビュー記事が載っていました。

文中にある『三月の5日間』『未練の幽霊と怪物 挫波/敦賀』はあたしの勤務先から刊行されています。ご興味のある方は是非どうぞ。

今回、三島由紀夫賞を受賞した『ブロッコリー・レボリューション』は単行本未刊なのですね。