ジャンルは異なりますが……

Uブックスの『見えない人間』は非常に面白かったのですが、いかんせん、あたしにはアメリカにおける黒人の立ち位置やその苦難の歴史に関する知識が欠如しすぎています。

漠然とアフリカから連れてこられて、白人たちの農園で酷使され、ほとんど人間扱いもされて来なかったのだろう、という程度のあやふやなものです。南北戦争で奴隷の立場はよくなったのか、相変わらずだったのか、その後の黒人の地位向上の歴史というのはどんな感じだったのか、まるでわかりません。

そんなモヤモヤした思いを抱えていましたら、タイミングよくちくま新書から『アメリカ黒人史』という一冊が刊行されました。もともとはNHKブックスで出ていたものに大幅加筆した全面改訂版だそうです。不勉強で、NHKブックスから出ていたことを知りませんでした。

それにしても、この三冊、同じ新書なので書店では一緒に並べてみることはできないものでしょうか? 新書って、どうしてもレーベルごとに配置されていて、テーマごとに並べている書店ってほとんどないですからね。でも、こんな風に並べてみるのも面白いと思うのですが。

洋書のような感じを受けました

来週に見本出し、下旬に配本予定の新刊『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』ともともとの単行本『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』です。Uブックスになるのです。

Uブックスは新書サイズなので、こうして並べてもそれほど大きさの違いは感じられないでしょうか? そして、単行本の装丁を踏襲したカバーデザインになっています。ちょっと、いつものUブックスとは異なり、よい感じです。

今回のUブックス版、カバーからは日本語を極力排して欧文をメインにあしらっているので、パッと見には洋書のような雰囲気がありませんか? 少なくともあたしはそんな印象を受けました。こんな洋書のペーパーバックってありそうですよね。

そしてバスク文学に興味を持たれた方には、『ムシェ 小さな英雄の物語』や『アコーディオン弾きの息子』などもございます。前者は《エクス・リブリス》の一冊ですが、後者は新潮クレストブックスの一冊です。どうぞお近くの書店でお求めください。

無料で、しかも紙という媒体は……

本日の朝日新聞の読書欄です。そこにこんな記事が載っていました。

みすず書房、東京大学出版会、そして白水社の三社が、それぞれで出している自社のPR新聞「パブリッシャーズ・レビュー」がこの年末年始ですべて休刊になるという記事です。既に東京大学出版会は最終号が出ていて、みすず書房も今月発行のもので最後、年明け1月に出る白水社のものが殿ということになります。

三社とも無料で、書店店頭などのラックに入っているのを見たことある人、貰って帰ったことがある人、大勢いらっしゃると思いますが、それももう出来なくなるのですね。

東京大学出版会とみすず書房は、それぞれPR誌を発行していますので、そちらに統合されるのようなものですが、白水社に関してはそういったPR誌がないので、果たして今後はどうなのでしょうか? 近々アナウンスがあるのではないでしょうか?

そう言えば、この秋は全国の書店で「レビュー合戦」という、三社共同のフェアをやっていました。そういう枠組みは、パブレビが休刊になっても維持したいですね。無料の紙媒体の配布物は、今の時代、なかなか厳しいのでしょうか?

酒が呑める?

毎年恒例になりましたが、新潟の酒舗から日本酒を取り寄せました。

毎年のようにいろいろ飲んできまして、できればまだ飲んだことのないものを試してみたいなあ、と思っていたので今年はこういうチョイスになりました。この週末はまだ飲みません。もう少し眺めてから飲みたいと思います。

あまり早々と飲み始めてしまうと、年明けまで持たず、年内で飲みきってしまう恐れもありますし……

コンプリートはしていませんが……

温又柔さんが『魯肉飯のさえずり』で織田作之助賞を受賞されたということで、あたしの勤務先も何点か刊行物があるので書店に案内をしました。

翻って、あたし自身はと言いますと、温又柔さんの作品をこれだけ(右の写真)読んでおりました。温さんの作品のすべてではありません(汗)。

なんだかんだ言いながらも『台湾生まれ 日本語育ち』はエッセイですので、最初の一冊としてはとても読みやすい作品だと思いますが、個人的に好きなのは『真ん中の子どもたち』だったりします。

その理由は、作品中では主人公が中国への語学研修に参加するのですが、そこに描かれている時期が、ちょうどあたしも中国へ語学短期研修に行っていた時期と近かったからです。日本を抜いてアメリカに迫ろうかという昨今の中国ではなく、それよりも少し前、まだまだ日本ははるか先を走っていた時代の中国です。そんな感じが、あたしにはとても懐かしく感じました。ただし、主人公が訪れたのは上海で、あたしは北京でしたけど。

一か月間(4週間)の語学研修を北京で受け、その後の一週間は卒業旅行として洛陽、西安、上海を巡りました。上海滞在中には一日蘇州へ行ったりもしたのですが、上海自体は二日くらいの滞在でした。

そのころの旅行記と写真はこちらのページに置いてありますので、ご興味がおありの方は読んでみてください。時期を正確に記しますと、1988年の2月下旬から3月下旬までのことです。円と元と相場は今とはかなり異なりますが、中国の物価が今とは比べものにならないくらい安かったので、それほど持ち合わせがあったわけではないのですが、なんか自分がものすごい金持ちになったような気分味わいました。

そうそう、当時はまだ兌換券が使われていた時代でしたし、王府井には「東安市場」ではなく「東風市場」があったのです。上記ページに載せているその当時の写真は、今の北京っ子に見せても信じられない情景なのではないでしょうか?

チラシ、いろいろ

続けざまに、同報ファクスを送信しましたので、まとめてご案内します。

 

まずは受賞関係です。齋藤真理子さんが韓国文学翻訳賞を受賞されました。受賞自体は少し前のことですが、ここへ来てYahoo!ニュースで取り上げられ、世間に周知されたようので、改めてのご案内です。小さい文字ではありますが、他社観光の主立ったものも載せてあります。

続いては発表間もない、温又柔さんの織田作之助賞です。受賞作は残念ながら、あたしの勤務先の刊行物ではありませんが、温又柔さんと言えばこれ、という代表作はむしろこれらだと思いますので、受賞作と一緒に並べていただければ幸いです。

 

続きましては、好評既刊の重版が決まりましたので、そのご案内です。文庫クセジュの『脱成長』と、こちらは単行本『民主主義の壊れ方』です。

どちらも月末出来予定です。なんとか年内店着できるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

比べてみました

同じタイトルの本というのが、時々あるものですが、最近こんな書籍を発見しました。

 

中央公論新社の新刊『クルスクの戦い 1943 第二次世界大戦最大の会戦』です。そしてもう一冊が、あたしの勤務先の『クルスクの戦い1943  独ソ「史上最大の戦車戦」の実相』です。

副題こそ異なりますが、正題は共に「クルスクの戦い1943」です。著訳者は前者がローマン・テッペル著、大木毅訳で、後者はデニス・ショウォルター著、松本幸重訳です。四六判で400ペイジを超える分量はどちらも同じです。

公式サイトによる内容紹介は、前者が

独ソ戦の研究の最前線。第二次世界大戦の帰趨を決した戦いの一つ、クルスクの戦いをドイツ、ロシア両国の資料から精緻に分析し、著しく歪曲されてきたそのイメージを刷新する。

で、後者は

「ツィタデレ作戦」の背景、準備、戦闘の経過、圧巻のプロホロフカの戦車遭遇戦、作戦の挫折を、米国の長老軍事史家が新資料を駆使して精緻に描写。地図・口絵・索引収録。

です。同じ素材に関する書籍ですから煮てしまうのは仕方ないですが、書店店頭や読者が迷ったり、間違えた発注が起きないか、そこがちょっと心配です。

林檎とトリュフ

毎年この時季になると、あたしの勤務先に創業者のご実家から林檎が届きます。林檎農家ではなかったと思うのですが、毎年恒例のお歳暮です。

函で贈られてくるので、社員一人に一つずつ分けられますし、何個かは勤務先でお昼に剥いて美味しくいただいたりしています。みずみずしくて、とても美味しい林檎です。

自宅へ持ち帰るのはよいのですが、あたしのように書店営業回りをしていますと、どうしても荷物が多くなりがちで、そこに林檎が、一つとはいえ、持って歩くとなると、なかなかのスペースを占めてしまいます。

というわけで、本日午後のあたしのカバンを開くと、このように真っ赤な林檎が顔を覗かせているというわけでした。

そして帰路。

最寄り駅の駅ビルには成城石井が入っているのですが、そこで少し前から気になっていたトリュフ味のポテトチップスを買おうと寄ってみました。

しかし、少し前までは棚に並んでいたそのポテトチップスが見当たらないのです。「あれ、どうしたのだろう?」と探していて目に入ったのがこちらの商品。

ポテトチップスではなく、ポテトスティックです。

帰宅後に早速賞味しましたが、ちょっと塩っぱいものの、とても美味しかったです。トリュフというものをきちんと食べたことがないので、これがトリュフの風味なのかどうなのか、よくわからないのが悲しいところです。