完結しましたね

ハルキ文庫から『親王殿下のパティシエール』という作品が刊行されています。単行本が先に刊行されたり、どこかの雑誌に連作されていたものをまとめたり、といった作品ではなく、文庫オリジナルのようです。

カバー装画を見ると、少女向けの作品なのかなという気もしますが、清朝の康熙帝時代を舞台にフランス人と中国人のハーフである主人公マリーを中心に描かれる宮廷絵巻。否、正確には康熙帝の息子の屋敷が舞台ですから「宮廷」ではありませんが、上流階級の生活という点で括ってしまえば、皇族も多数登場するので宮廷絵巻と呼んでも構わないでしょう。

そしてそんな清朝の宮廷や歴史的背景、そして首都北京の空気感。これらは多少なりとも中国史をかじっていないと理解しづらいところがあるのかもしれません。そういう意味では、あたしには非常に興味深く、そして面白く読めた作品でした。

その『親王殿下のパティシエール』ですが、このたび刊行された第八巻で完結しました。康熙帝が没して嘉慶帝の世となり、主人公とその主人である皇弟にどんな運命が待ち受けているのか、史実とにらめっこしながら楽しく読んでいました。ちなみに主人公はフランス革命を逃れてフランスの首都パリからはるばる清国へ渡ってきたわけで、当時のヨーロッパ情勢、そして清国における宣教師の生活など、清朝史に感心を持っている人であれば、より楽しめた作品ではないでしょうか。まあ、専門家の目から見ると粗があるのか否か、あたしにはわかりませんが、とにかくエンタメ作品です、楽しめればよしとしましょう。

それにしても、中国史のようにゆったりと進んでいた最初の巻に対し、この最終巻は時間が一気に流れました。こんなに早く終わらせる必要があったのか、もう少しマリーの奮闘、そして周囲の人の物語など描いて欲しかったという憾みが残ります。とはいえ、最後はあたしも目頭を熱くしてしまいました。

次は何年後になるのでしょう?

今日は8月9日、長崎の原爆の日です。8月6日の広島と共に、平和を祈念する日です。

ただ今年は、その8月9日が水曜日です。ということは、ハクスイの日になります。単なるダジャレですが、これが社内では意外と盛り上がりまして、Twitter(いまはXと呼ぶべきでしょうか?)で《ガイブン祭り》が行なわれました。否、現在も行なわれています。

そして、この企画が読者の支持を得まして、一部ではかなりの盛り上がりになっているようです。さすがに「バズる」と呼ぶのはおこがましいですが、弱小出版社のSNS企画としてはまずまずなのではないでしょうか?

そして、勤務先の正面には写真のような、オシャレなのかダサいのか、よくわからない掲示が出現しました。なんか文化祭とかで高校の教室の窓ガラスに貼ってあるものを懐かしく思いだしてしまいました。

ちなみに、ネットで調べてみますと、次のハクスイの日は2028年になるようです。