2023年10月のご案内

2023年10月に送信した注文書をご案内いたします。

  

まずは毎月恒例「今月のおすすめ本」です。続いては、ドラマ「VIVANT」で勢いづいたモンゴル語の案内、そして三刷りが決まった『ハルムスの世界』を送信しました。

  

続きまして、年明けに実写版の映画「ゴールデンカムイ」が公開になるので重版が決まった『第七師団と戦争の時代』、こちらも書評が続いて重版が決まった『リスボン大地震』、さらに中東情勢の緊迫化から注文が届くようになった『近東の地政学』のご案内です。

  

下旬には、こちらも恒例の「今月のおすすめ本[語学書]」、また中東情勢が影響しているのかわかりませんが売行き好調のアラビア語学参三点、最後はしばらく品切れでしたが、注文が途切れない『インド外交の流儀』の重版が決まったので、ご案内を送信しました。

おじいちゃんおばあちゃんが気軽に入れる町の本屋さん

光村図書から年に四回発行されている『飛ぶ教室』という雑誌があります。光村図書といえば、あたしも学生時代に国語の教科書でお世話になった思い出がありますが、この雑誌も児童文学を中心とした雑誌のようです。

その『飛ぶ教室』の最新号、第75号(2023年秋号)を買ってみました。雑誌の存在は知っていましたし、手に取ったこともありましたが、そもそも『飛ぶ教室』を買うのが初めてのことでした。

どうして購入したかと言いますと、今号の巻頭、「本屋さん探訪」にあたしが時々営業回りで訪問している、世田谷の千歳書店さんが登場しているからです。実は同店を夏に訪問した折に、「三浦しをんさんが来店され、こんど『飛ぶ教室』に載るから」と聞いていたので、発売をちょっと楽しみにしていたのです。

そして昨日、同店を訪問したところ店頭に同誌が並んでいたので、上記の話を思い出して買ってみたというわけです。三浦しをんさんが訪問した様子は二枚目の写真のように載っていました。

対談の中でしをんさんが「千歳書店さんの棚を見ていると、ノンフィクションが充実しているな~っていつも思います。みすず書房さんや、白水社さん岩波さんの本もあるし」と、あたしの勤務先の名前を挙げてくれています。確かに、この手の版元の本も並んでいます。お店の大きさからすると違和感を感じる人もいるかと思いますが、かつてはこのくらいの規模の町の書店でも、岩波やみすずなどの本がしっかり並んでいたと思いますし、そういう書店も少なくなかったと思います。

それぞれのおすすめの本を挙げる中、しをんさんがあたしの勤務先の『ヒトラーとドラッグ』を挙げてくれました。ありがたいことです。しをんさんはかつて朝日新聞の読書欄で『バンヴァードの阿房宮』を絶賛してくれたことがありましたが、そんなことを思い出しました。

私は昔、本屋さんでアルバイトをしていたことがあったので、今の本屋さんをめぐる状況、本当に危機感を覚えています。セレクトショップ系の本屋さんは徐々に増えてきたと思いますが、おじいちゃんおばあちゃんが気軽に入れる町の本屋さんがないですよね。週刊誌などが確実に揃っていて、ふらっと来店して買っていける、そういう本屋さんが私は好きなんです。

しをんさんが最後の方で語っていたのが上のセリフです。あたしも同感です。

ちなみに、対談の中で取り上げられていた本、『ヒトラーとドラッグ』以外は『純粋理性批判』(カント、古典新訳文庫)、『カンディード』(ヴォルテール、古典新訳文庫)、『ケチャップマン』(鈴木のりたけ、ブロンズ新社)、『飛ぶ教室』(ケストナー、岩波書店)、『捜査線上の夕映え』(有栖川有栖、文藝春秋)の五点でした。

犬の日です!

去年も書いたような気がしますが、今日、11月1日は、ワンワンワンで犬の日なのだそうです。2月22日の猫の日に比べて、あまりにも影が薄いということも、やはり去年のこのダイアリーで書いたように思います。その気持ちは今年も変わっていませんので、今年も書いてみました。

あたしの勤務先で犬の本と言ったらこの二冊、ヴァージニア・ウルフの『フラッシュ』と閻連科の『年月日』です。話の内容は対照的な2作品です。いずれも比較的短い作品なので、気になった方から手に取っていただけるとうれしいです。

そして、今日は灯台の日でもあるそうです。猫に比べて影が薄いと上で書きましたが、それでも犬に関する作品はコミックや小説、エッセイなど、それなりの数が出版されています。動物ものとしてはやはり犬と猫は断トツに多いのではないかと思います。

それに比べると灯台に関する本は写真集など何冊かあると思いますが、小説は極端に少なくなるものです。それでも、あたしの勤務先からはジャネット・ウィンターソンの『灯台守の話』を刊行しています。こちらも読み応えのある一冊です。

と言いつつ、今日11月1日は、業界としてはやはり「本の日」で盛り上げなければいけないのでしょう。111という数字の並びが、本棚に並んでいる本をイメージなのだそうですが、だったら11月11日の方がいいんじゃない、というのは言いっこなしです。

今日の配本(23/10/31)

ヴェトナム(上)
壮大な悲劇 1945-1975

マックス・ヘイスティングス 著/平賀秀明 訳

戦場で何があったのか、戦闘に至る歴史的背景と政治的思惑、その結果もたらされたものを冷徹な筆致で描いたノンフィクションの白眉。

緊急事態です!

関西ツアーから帰京しました。今回のツアーは火曜から金曜までの四日間、やはり短いなあと感じます。回る書店もかなり端折ってしまいました。

それはともかく、ホテルの部屋にいる時間には、注文書の整理やメールのチェックなど、持ち込んだノートPCから勤務先のPCにリモート接続して作業をしていました。ホテルのWi-Fiが遅くて、多少のストレスを感じましたが、それよりも勤務先に置いてあるPCの状態がひどいので操作が不安定になることがありました。

少し前に、勤務先のPCのHDDが容量不足であると書きました。その後、数GB単位で容量が突然復活したりしたのですが、それも束の間、また容量不足が深刻化しています。それが窮まったのが①枚目の写真です。Cドライブ、とうとう残量0バイトになってしまいました。

これではちょっとしたワード文書すら起動できません。エクセル文書だって同じです。ワードとエクセルが使えなかったら仕事どころではありません。ここまで来ると作業状態を保存することも困難になってきます。とにかくPCをリモートで再起動させ、少しでも容量が復活するのを期待するしかありません。

そんな騙し騙しの作業は精神衛生上もよくないですね。やはり勤務先のPCを買い直すしかなさそうです。しかし、まだ一年も経っていないので勤務先が新しいのを買ってくれるとは思えません。ここは自腹を切るしかないのでしょうか。

ホテルでの作業はそんな感じで綱渡りでしたが、書店ではこんなフェアが開催中でした。はい、カルヴィーノ生誕100周年フェアです。あたしの勤務先の書籍以外に岩波文庫まで揃っています。いま日本で手に入るカルヴィーノの邦訳がすべて揃っているのではないかと思われます。ありがたいことです。MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店です。

今日の配本(23/10/27)

デリダのハイデガー講義を読む

亀井大輔、長坂真澄 編著/峰尾公也、加藤恵介、齋藤元紀、須藤訓任 著

『存在と時間』などハイデガーの哲学から、「脱構築」はどのように生まれたか? デリダによる読解の革新性を解明するガイドブック。

板ばさみのロシア人
「プーチン時代」に生きる狡知と悲劇

ジョシュア・ヤッファ 著/長﨑泰裕 訳

米国の特派員がロシアの各世代、各立場の人々に取材、権威主義体制下での葛藤と妥協、したたかな「ずる賢い人」の心奥に迫る密着ルポ。

失われた〈重商主義〉の探求
ジェイムズ・ステュアートの商業・利潤・貨幣

塩見由梨 著

マルクスによって発見され、ケインズに見出された重商主義者ステュアート。スミス以降かき消された商業・利潤・貨幣の根源的世界へ。

本当に持続可能なのかしら?

東京メトロの溜池山王駅構内に「ほんたす ためいけ」という無人書店がオープンしたことが話題になっています。テレビなどでも紹介されているのを見ましたし、ネットでも取り上げている記事を何本か読みました。そんな中のこの記事

記事のタイトルは「持続可能な新しい書店モデル、完全無人書店「ほんたす ためいけ 溜池山王メトロピア店」がオープン」です。とにかく景気が悪く、閉塞感の漂う出版業界なので、何か新しいことを試みるのは基本的によいことだと思います。いろいろ試してみて、ダメだったら修正する、よかったら更に伸ばす、それを根気よく続けていくしかないのでしょう。

人手不足もありますが、あまりにも利幅の少ない書籍という商品。人件費や家賃(テナント料)が書店にとって大きな負担となっていることは周知のことでしょう。そこで思いきって無人にしたというわけですが、時々は商品の補充に誰かがやって来るのでしょうから、完全に無人というわけでもないでしょう。

記事の中に

現代の人々のライフスタイルに合った本との新たな出会いを提供し、人々のニーズを満たす

という文章がありましたが、無人の書店でライフスタイルに合ったものをどうやって提供するのでしょう? 人のスタイルは十人十色ですから、限られたスペースで展開するには、ある程度こちら側で選別したものを並べることになると思います。そうなると「新たな出会い」とか「人々のニーズ」といったものにどのくらい応えられるのか、なかなか難しいのではないでしょうか。

であるならば、ネット書店の方がはるかに豊富な在庫を取り揃えているので、「ライフスタイルに合った」ものを提供できるでしょうし、出会いの機会も多いと思いますが、そのあたり、ニーズをどうやって判断するのでしょう。売れたものの傾向はデータ収集できると思いますが、お客さんがどんな本を手に取っていたか、どの棚の前に長くいたのか、そういう肌感覚をつかめるのがリアル書店のアドバンテージだと思いますが、無人書店だとそんな肌感覚はどうやって集めるのでしょう。

なにはともあれ、しばらくは推移を見守るしかないでしょうね。