背景は大事?

Zoomを使ったオンライン書店商談会に初めて参加いたしました。ただし、本日は在宅ワークの日。というわけで、自宅からの参加となったわけです。

自宅から参加しますと、あたしの部屋からの中継(参加?)となるわけで、あたしのバックは写真のような感じです。ずらりと本が並んでいる書架があたしの背後にある部屋なのです。商談会が始まって、ひとしきりこのバックの本について雑談。話のきっかけとしては申し分ないのでしょうか?

写っている本は、ほぼすべて中国の書籍です。学生時代に東方書店や内山書店などで買ったり、中国へ行ったときに買ったものです。とはいえ写っているのは、その本の一部です。この書架の向こう側に背中合わせで別の書架があって、そこにも本がぎっしり詰まっています。

あたしの部屋にある本は、8割方が中国の本(台湾、香港も含めた中国で刊行された本)です。こういう本をこの業界の人間は「中文書(ちゅうぶんしょ)」と呼びます。洋書の中国版と考えていただければわかりやすいと思います。そして、最近よく読んでいる海外小説など日本の本(つまり和書)は、この部屋にもそれなりに置いていますが、廊下に置いた薄型書架に並べてあります。

さて写真の本ですが、一番左に写っているやや薄汚れたような黄緑色(?)の背は中華書局の点校本二十四史です。『史記』から『清史稿』まで揃っています。その右側は主に歴史系の中文書になります。

わかりにくいですが、一番右、鉛筆立てが見える、その上の方に写っているのは大修館書店の『大漢和辞典』です。鉛筆立ての載ったラックで隠れてしまっていますが、ほんのチラッと見えているのは『皇清経解』『皇清経解続編』です。

これらの本、あたしが事故か何かで急死したら、どうなってしまうのでしょう?

読み方で立ち位置がわかる?

香港が揺れていますね。

実は今回揺れているだけでなく、雨傘運動のころからずっと揺れ続けていて、時々大きな揺れになる、そんな印象を持っていました。香港の地面は常に微弱な振動がもう何年も続いている感じに思えます。

しかし、今回の揺れは揺れどころではないと思います。激震です。国際社会が今後どう反応するか注視していかないとなりません。もちろん声明などの形で抗議をしているようですが、相変わらず中国政府は「内政干渉には断固反対」の一点張り。

それにしても、これほどの強硬姿勢、いったい中国政府は何を恐れているのでしょう? それほど自分たちの統治に自信がないのでしょうか? ある程度の言論の自由や民主化をしたからといって、すぐに共産党が政権から引きずり下ろされることになるとは思いません。そうなるには十数年はかかるのではないでしょうか?

さて、日本を含めた欧米諸国はどう出るのでしょうか? 海外企業もどんどん香港から逃げ出すのでしょうか? 人もいなくなり、企業も金も逃げてしまった香港にいったいどんな魅力が残されるのでしょうか? アヘン戦争以前ののどかな漁村に戻ってしまうことはないでしょうが……

早速施行された国家安全法で逮捕者が出たというニュースを見ていて気づいたのですが、こんなプラカードがありました。

#我愛HongKong

#不愛XiangGang

「私が愛するのは香港(HongKong)であって、香港(XiangGang)ではない」

HongKongは香港の広東語による発音、XiangGangは標準中国語の発音です。学生時代に中国語を習い始めて「香港」は「ホンコン」ではなく「シアンガン」だと知ったときはちょっとした驚きでした。

香港の人々はもともと広東語を話していて、いまも大多数はそうなのでしょうが、このところ標準語が大々的に流れ込んできて学校教育の現場でも広東語は少数派に追いやられているそうです。言葉はアイデンティティーと密接不可分ですから、このプラカードが表わすところは極めて明白です。

うちでも出しています

朝日新聞第一面の「折々のことば」です。今日登場しているのは『パンセ』です。

『パンセ』は多くの翻訳がありますが、最後の訳者の名前を見ると、今回は「中公文庫」版ではないかと思われます。この手の古典作品ですと「岩波文庫」版が使われることが多いのかなと思いましたが、違いましたね。

ちなみに、あたしの勤務先からも『パンセ』は出しておりまして、文庫ではなく単行本なのですが、実はよく売れています。ロングセラーです。年間で売り上げ順位を出してみると、毎年しっかり上位に食い込む人気商品です。

この機会に、改めて手に取って見るのは如何でしょうか?