書店を回っていますと、少し前から豊臣秀長に関する本がたくさん並んでいるのが目に付くようになりました。豊臣秀吉も加えて、豊臣家、豊臣政権などを扱った本が増えています。特に手頃な新書が激戦区になっています。
その理由ははっきりしています。来年の大河ドラマです。ですから、いまは豊臣秀長ですが、その一年前には蔦屋重三郎や田沼意次、松平定信などを扱った本が大量に出版されましたし、さらにその一年前には紫式部や藤原道長、源氏物語に関する本がたくさん刊行されていました。
いずれの時代や人物も興味があるので、あたしも何冊か買っていまして、今年も秀長に関する本を何冊も買ってしまいました。既に二冊ほど読んだのですが、同じ人を扱っているわけですから、内容の過半は同じようなことが書かれています。著者が変われば書きぶりも変わりますが、それでも同じ人、同じ時代や地域を扱っているのですから、既視感があるところもあります。
好きだから、興味があるから何冊でも買って読む、という読書スタイルもありますが、やはり飽きちゃうと言うと語弊がありますが、もう少し視点を変えたものも読みたくなるものです。
そんな中で見つけたのが岩波新書の『豊臣家の女たち』です。多くの出版社が秀吉・秀長兄弟にフォーカスした本ばかりを出しているのを尻目に、こちらは豊臣家の女たちをです。こういう変わり種を出してくるところが岩波新書らしいなあと感心してしまいます。