モニュメンツメン

土曜、日曜は新聞各紙で本の紹介、いわゆる書評が載る日です。ただ今日の朝日新聞に、あたしの勤務先の刊行物は載っていませんでした。

その代わりと言ってはなんですが、こんな記事が載っていました。ナチスが略奪した美術品が発見されたという、戦後80年に相応しいニュースです。

これで思い出したのが、現在は品切れになってしまいましたが、かつて刊行した『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』です。この記事には載っていませんが、モニュメンツメンはいまも活動しているのでしょうか。そんなことが気になりました。

それにしても、まだまだ元の持ち主に戻っていない美術品ってあるのでしょうね。もちろんナチスとは限らず、どさくさに紛れて盗みを働いた連中もいたでしょうが、そうなると見つけ出すのは非常に困難ではないでしょうか。

ドイツとロシアと東ドイツ

画像は昨日の朝日新聞夕刊です。

朝日新聞は先日から土曜の夕刊は廃止となりました。日曜祝日は以前から夕刊がありませんでしたので、夕刊は平日のみとなります。そして、こういう盆休みに入ると「休みの日じゃないの?」という気持ちになってしまうので、夕刊が配達されるとちょっとした違和感を覚えてしまうのも事実です。

そして話は戻って昨日の夕刊です。「にじいろの橋」というコーナーで伊豆田俊輔さんが寄稿されています。同氏の訳書として挙がっている『ドイツ=ロシアの世紀』はあたしの勤務先から刊行されています。

ちなみに正式には『ドイツ=ロシアの世紀1900-2022』というタイトルで、年代が後に付きます。それに上下本なのです。それぞれが400頁弱、なかなかのボリュームです。また伊豆田さんには他にも『東ドイツ史1945-1990』という訳書もあります。ドイツ、特に東ドイツ史の専門家としての真骨頂です。

戦後の歩みについて日本とドイツの比較はしばしば行なわれるものですが、こうして改めて語られると気づかされることが多いですね。

なんと2点も

本日の朝日新聞読書欄、予告どおり『ナチ時代のドイツ国民も「犠牲者」だったのか』が載っていました。

考えてみますと、あたしの勤務先ってドイツ史の本が比較的多いですね。今月後半には『ホロコーストを知るための101の質問』という新刊も刊行になりますし、そもそも上下巻の巨冊『ヒトラー』なんていうのも刊行しているくらいですから。

ところで本日の読書欄は上記だけでなく、新書の紹介コーナーで文庫クセジュの新刊『環境地政学』も取り上げていただきました。地政学と名の付く書籍はこの数年非常に多くなっていますが、環境と地政学というのはこれまでなかったのではないでしょうか。環境問題も現代社会では非常に大きく重要な問題ですから関連書籍の多いジャンルです。この両者が合わさった本書は、やはり気になる一冊なのではないでしょうか。

新聞記事から少々

二つほど、朝日新聞記事からご紹介します。まずは昨日の夕刊に載っていたものです。少し前にこのダイアリーでも取り上げた、10代がえらぶ海外文学大賞の記事です。

海外文学はなかなか売れないと言われるジャンルですが、だからこそ、こうやって頑張っている取り組みが紹介され、一般の方にも広まってくれると嬉しいなあと思います。

あとは、あたしの勤務先の翻訳作品も選ばれるようにすることですね。もちろん10代ばかりを狙って刊行するわけにはいかないですが、将来の読者として若い人たちにもっと海外文学を読んでもらえるようになればと思います。

続いては今日の朝刊です。鈴木忠志さんの記事です。このところ関係書籍が各社から出版されていまして、この後もまだ刊行予定があるようです。

そんな中、あたしの勤務先からも自伝『初心生涯』が少し前に刊行されたところです。これは日本経済新聞連載の「私の履歴書」を書籍化したものです。お陰様で、よい感じで売れています。この調子で伸びてくれればと思っています。

ちなみに、不勉強にして、あたしは鈴木忠志さんってこの企画が出るまで存じませんでした。一般の方には著名で、あたしだけが無知すぎたのか、そのあたりのところはよくわかりませんが、こういう記事で知ったという方もそれなりにいるのではないでしょうか。

民主主義の危機?

この夏は選挙があるので、選挙や政治に関係する書籍が好調です。あたしの勤務先では日本の政治や選挙に直接関連する書籍は刊行していませんが、もう少し広く、俯瞰で政治や選挙を見るような書籍を何点か出しています。

そんな書籍の一つが、本日の朝日新聞読書欄で取り上げられました。『民主主義』です。あまりにも直球なタイトルですが、だからこそ偏りなく、民主主義そのものについて知ることができる一冊になっています。目先の選挙や日本の政治を考えるには迂遠かもしれませんが、だからこそこういう本が読まれるべきなのではないかと思います。

そんな感じで読書欄を眺めていましたら、非常に馴染みのある名前が目に飛び込んできました。温又柔さんの『恋恋往時』が同じく紹介されていたのです。

あたしの勤務先では『台湾生まれ 日本語育ち』がロングセラーで、毎日のように注文が入ります。

呉明益と高座海軍工廠

台湾の人気作家・呉明益の作品を何作か読んだことがありますが、第二次大戦の影が色濃いのが特徴的だと思います。もちろん作家自身が実際に戦闘に参加したような年齢ではないので、親の体験、親から聞いたことを作品に昇華しているわけですが……

そんな呉明益作品を読んで知ったのが、高座海軍工廠です。高座とは神奈川県にある地名で、あたしも薄ぼんやりと、そこに軍需工場があるのは知っていましたが、それ以上のことは何も知らず、『眠りの航路』でより詳しく知った次第です。もちろん小説ですから脚色はあるでしょうし、あくまで呉明益の取材に基づく描写ですから、細部においては事実と異なるところもあるでしょう。でも雰囲気はよく伝わってきました。

そして、今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。記事の石川さんは、当時の「宿舎の舎監の息子」とありますから、呉明益の父親と面識があるのかもしれません。ハッキリとした記憶はないかも知れませんが、恐らくたぶん実際に顔を合わせたことはあるのでしょう。そんなことを考えるととても不思議な気がします。

なお『眠りの航路』は小説ですが、もっと気軽に読めるエッセイとしては『我的日本』所収の「金魚に命を乞う戦争」があります。こちらには『眠りの航路』執筆に至る取材のことなどが描かれています。

「まち」or「ちょう」

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。東京のいろいろな土地を紹介する記事で、今日登場していたのは「神田小川町」でした。

神田小川町と言えば、あたしの勤務先の所在地です。さすがに記事中に勤務先のことは出て来ませんが、やはり親しみが湧きますね。

ところで「神田小川町」ですが、「かんだおがわまち」と読みます。都内には「神田○○町」という地名がたくさんありますが、そのほぼすべてが「かんだ○○ちょう」と読むのですが、「神田小川町」は「かんだおがわまち」と読みます。

かつて、何かの本だったか記事だったかで「神田○○町」の「町」を「まち」と読むのは「神田小川町」とあと一つあると読んだのですが、そのもう一つが思い出せません。たぶんネットを検索すればすぐに出て来ると思うので、興味がある方は是非検索してみてください。

ケプラーとガリレイ、そしてピタゴラス

今朝の朝日新聞に雑誌『ニュートン』とのコラボ記事が載っていました。あたしは子供のころから本や歴史が好きな文系人間だったので、『ニュートン』はもちろん知ってはいましたけど、ページを開くことはほとんどありませんでした。

ですからそっち方面には非常に疎いのですが、本日の記事は非常に興味深く読みました。なぜなら取り上げられているのがケプラーとガリレイだったからです。上にも書いたように、根っからの文系人間ですので、ケプラーもガリレイも名前くらいを知っていても、どんな業績を上げた人なのか正確なところはよくわかっていません。まあ、ガリレイなら地動説だったっけ、くらいの知識はありますが。

それなのにどうして興味を持ったかと言いますと、あたしの勤務先からその名も『ケプラーとガリレイ』という本を出しているからです。同書は

科学史上に輝く巨星の対照的な生涯と大発見、時代背景を活写した評伝。二人を結んだ「絆」として、交わした書簡が重要な役割を果たす。独の科学ジャーナリストによる「最良の科学書」

という内容のもので、朝日新聞の記事を読んだ方なら興味を持たないはずがない一冊ではないでしょうか。ケプラーとガレイが同時代ということは知っていても、どれくらい親交があったのか詳しくない方も多いはず。本書はそんな方にお薦めです。

そして今回の朝日新聞の記事にはもう一人、外せない名前が載っていました。それがピタゴラスです。記事中には「天球の音楽」という言葉も出て来ていますが、なんとあたしの勤務先では『ピュタゴラスの音楽』という本も出していたのです(現在、品切れ)。この本は

「ピュタゴラスの定理」で知られる紀元前6世紀のギリシアの賢人。その数奇に満ちた生涯を辿り、人類の思考を導いてきた自然の原理と現在に至るまでの思想の継承史を明らかにする

という内容の本ですが、「思想の継承史」の中にはケプラーも入っているのです。品切れなので古本屋をあたっていただくしかないですが、本書も朝日新聞の記事に興味を持たれた方には食指が動く本ではないでしょうか。

この三社の並びに気づかれた方は!

土曜日と言えば、新聞の読書欄が気になるというのはこの業界の恒例です。日曜日に載る新聞もありますが……。そして先々週の『陽だまりの昭和』、先週の『日本の反戦非戦の系譜』に続き、今週はこちらの書籍が掲載されています。

それが『厨房から見たロシア』です。著者はヴィトルト・シャブウォフスキ。あたしの勤務先からこれまでに『踊る熊たち』『独裁者の料理人』を刊行しています。どちらも話題となり、好評をもって受け入れられた二冊です。

そして本日の評を読むと、これもまた面白そうな一冊ですね。自社の本なのに読んでいないのが、営業としては申し訳ないのですが、改めて面白そうな本だと認識した次第です。ちなみに本書もそうなのですが、『独裁者の料理人』もレシピが掲載されていますので、日本でどれだけ食材や調味料が揃うのかわかりませんが、ご興味がある方は挑戦するのもよいのではないでしょうか?

ところで二枚目の画像は、本日の読書欄を引きで撮った写真です。写っている書籍をご覧になって気づかれた方はいらっしゃるでしょうか。

とはいえ、何に気づけばよいのか、気づく点はいろいろとありますよね。申し訳ありません。実はここに写っている出版社に注目してほしいのです。

東京大学出版会、みすず書房との三社で、四年に一度「レビュー合戦」というフェアをやっていますが、その三社が勢揃いしているのです。「レビュー合戦」は三社の社員がそれぞれ他社の書籍をお互いに批評し合うというフェアで、オリンピックイヤーに書店で開催しているものですが、いみじくも朝日新聞紙上でレビュー合戦っぽいものが再現されてしまったわけです。

鼻ではなく目が……

今朝の朝日新聞の文化欄で、先頃完結したコミックのことが載っていました。中世のヨーロッパを舞台にしたコミックですが、最近はこういう史実にかなり忠実なコミックも多いように感じます。

史実に忠実なだけでなく、よくもまあこんなニッチな時代や人物を選んだなあと思ってしまうような作品も多いようです。そして、今回紹介されているコミックの主人公はアンナ・コムネナです。

となると、記事中でも触れられていますが、あたしの勤務先から『歴史学の慰め アンナ・コムネナの生涯と作品』が重要な参考文献でしょう。たぶん、アンナ・コムネナを扱った本は日本ではこれしかないのではないでしょうか。

ですから、このコミックを読んでいる人であれば、本書のことも既に知っているのかも知れません。たださすがに、書店の店頭でコミック売り場に『歴史学の慰め』を並べているようなところはないでしょう。でもこの記事を見たら並べてみるのも面白いのではないでしょうか。

ところでいよいよ花粉症のシーズン到来です。あたしは花粉症ではあるのですが、比較的症状が軽い方で、専用の眼鏡を装着することもなければ、マスクをすることもなく外出しています。点鼻薬をシュッシュッとスプレーすれば鼻づまりも解消するので、あまりこの季節を苦にしていませんでした。

しかし、この土曜日から目がちょっと痒くて、ゴロゴロする感じがし始めました。掻いてしまうとよくないのですが、目の周りがちょっと赤くなり、なおかつカサカサになってしまいました。これはちょっとツラいなあと思い、近所のドラッグストアで買ってきたのが写真の塗り薬です。保湿になるので、カサカサはだいぶ収まりました。痒みはまだありますが、症状はだいぶよくなりました。